
1984年4月1日、精神錯乱状態にあったマーヴィン・ゲイは、同じく錯乱状態にあった父親と口論の末、射殺され他界しました。享年45歳。実の父親に殺されるという衝撃的なニュースに、当時大学生だった私は大きなショックを受けたものです。
その2年前に出たアルバム「ミッドナイト・ラブ」(結果的に彼の遺作となった)を私は小笠原・父島で繰り返し聴いていました。なんだかあやしく耳元でささやくようなイントロに始まるアルバム。心地よいレゲエのリズム、しかし決してソウルもR&Bも忘れていないメロディ。それは父島のけだるく暑い夜にぴったりだったのです。
このアルバムをきっかけに私はあの名曲「ホワッツ・ゴーイン・オン」WHAT'S GOING ONを知ることになります。同名のアルバム(1971年)を初めて聴いたのは彼の死の前年でした。
Mother,mother
There's too many of you crying
Brother,brother,brother
There's far too many of you dying
母さん、たくさんのことがあなたを泣かせている
同胞よ、多くの仲間が死んでいく
スタジオかどこかの喧噪の中から静かに歌い出すマーヴィン。この上なくやさしく高い声。当時は珍しかった多重録音により、彼自身の様々な声が重なり合い一つに溶け合う。スローナンバーではないのに泣きたくなるような切ないメロディライン。
当時は「愛のゆくえ」というとんでもない?邦題がつけられていましたが、それは甘いラブソングではなく、ヴェトナム戦争への反戦歌だということを、私は訳詞を見て初めて知ったのでした。
You see,war is not the answer
For only love can conquer hate
Talk to me,so you can see
Oh,what's going on.......
戦争は何の解決にもならない
愛だけが憎しみに打ち勝つことができるんだ
さあ、話してごらん、そうすれば分かり合える
いったい何が起こっているんだ…
3分54秒という短い曲ですが、マーヴィンはわかりやすい言葉で、静かに強烈なメッセージを私たちに示してくれています。
2001年、米国を中心としたミュージシャンたちによって結成されたプロジェクト「アーティスツ・アゲインスト・エイズ・ワールドワイド」(AAAW)がレコーディング曲に選んだのは、まさにこの曲でした。レコーディングの予定日が2001年9月5日と7日。ところが、その直後の11日にあの連続テロが起きたのです。プロジェクトは予定を変更して、利益の半分をテロ犠牲者のための基金に寄付することになったのだそうです。
このアルバムは、ほかにも「マーシー・マーシー・ミー」MERCY MERCY ME(THE ECOLOGY)や「イナー・シティ・ブルース」INNER CITY BLUES(MAKE ME WANNA HOOLER)といった名曲が含まれています。「マーシー…」はトヨタのラウムのCMで使われていましたね。「何もかもが昔と変わってしまった」と彼は自然破壊や女性への暴力といった問題を、こちらもやさしいメロディに乗せて深刻に歌っています。
「WHAT'S GOING ON」>>Amazon.co.jp
その2年前に出たアルバム「ミッドナイト・ラブ」(結果的に彼の遺作となった)を私は小笠原・父島で繰り返し聴いていました。なんだかあやしく耳元でささやくようなイントロに始まるアルバム。心地よいレゲエのリズム、しかし決してソウルもR&Bも忘れていないメロディ。それは父島のけだるく暑い夜にぴったりだったのです。
このアルバムをきっかけに私はあの名曲「ホワッツ・ゴーイン・オン」WHAT'S GOING ONを知ることになります。同名のアルバム(1971年)を初めて聴いたのは彼の死の前年でした。
Mother,mother
There's too many of you crying
Brother,brother,brother
There's far too many of you dying
母さん、たくさんのことがあなたを泣かせている
同胞よ、多くの仲間が死んでいく
スタジオかどこかの喧噪の中から静かに歌い出すマーヴィン。この上なくやさしく高い声。当時は珍しかった多重録音により、彼自身の様々な声が重なり合い一つに溶け合う。スローナンバーではないのに泣きたくなるような切ないメロディライン。
当時は「愛のゆくえ」というとんでもない?邦題がつけられていましたが、それは甘いラブソングではなく、ヴェトナム戦争への反戦歌だということを、私は訳詞を見て初めて知ったのでした。
You see,war is not the answer
For only love can conquer hate
Talk to me,so you can see
Oh,what's going on.......
戦争は何の解決にもならない
愛だけが憎しみに打ち勝つことができるんだ
さあ、話してごらん、そうすれば分かり合える
いったい何が起こっているんだ…
3分54秒という短い曲ですが、マーヴィンはわかりやすい言葉で、静かに強烈なメッセージを私たちに示してくれています。
2001年、米国を中心としたミュージシャンたちによって結成されたプロジェクト「アーティスツ・アゲインスト・エイズ・ワールドワイド」(AAAW)がレコーディング曲に選んだのは、まさにこの曲でした。レコーディングの予定日が2001年9月5日と7日。ところが、その直後の11日にあの連続テロが起きたのです。プロジェクトは予定を変更して、利益の半分をテロ犠牲者のための基金に寄付することになったのだそうです。
このアルバムは、ほかにも「マーシー・マーシー・ミー」MERCY MERCY ME(THE ECOLOGY)や「イナー・シティ・ブルース」INNER CITY BLUES(MAKE ME WANNA HOOLER)といった名曲が含まれています。「マーシー…」はトヨタのラウムのCMで使われていましたね。「何もかもが昔と変わってしまった」と彼は自然破壊や女性への暴力といった問題を、こちらもやさしいメロディに乗せて深刻に歌っています。
「WHAT'S GOING ON」>>Amazon.co.jp
知ったときの(それも彼の死後)何とも言い難い衝撃を思い出します。
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P.S. 初めまして、映画評HPから覗きにやってきました。
ポキプシといいます。どうぞよろしく。
コメントありがとうございます。
洋楽って、たいていの日本人には、聴いただけでは歌詞が聞き取れないし、聞き取れたとしても意味が分からないことが多いので仕方のないことですが、もう少し歌詞に注目して聴いてもいいのでは?と思うことがありますね。
貴サイトで見つけた「WebCamに語りかけるGandhi」にすっかり感動してしまいました。ありがとうございました。
母さんと同じように泣いている人が大勢いるんです。
弟たち。
君らのような若者が沢山死んでいるんです。
だから僕らは見つけなくちゃいけない。
愛に至る道を、今すぐに。
ねえ父さん。
もう沢山じゃないですか。
気づいて下さい。戦争が答えではないと。
愛だけが憎しみに打ち勝てるんです。
だから、僕らは見つけなくちゃならないんです。
愛に至る道を、今こそ。
デモ隊の列とプラカード。
僕らを乱暴に罰したりしないで。
話をしましょう。気づくはずです。
何が起きているのか。
何が起きているのか。
意味のある時を、今こそ。
今すぐに。
父さん、父さん
僕らが悪いっていうんですか。
僕らを裁いているのは誰なのですか。
長い髪が悪いことなのですか。
僕らは見つけなくてはならないんです。
理解するということを、今日、ここで。
デモ隊の列とプラカード。
僕らを乱暴に罰したりしないで。
話をしましょう。気づけるはずです。
何が起きているのか。
何が起きているのかを。
話して下さい、何が起きているのか。
話しますよ、何が起きているのか。
今すぐに。
今こそ。
http://jp.youtube.com/watch?v=Y9KC7uhMY9s
子供たちが、男たちが、女たちが
聴き入っている。
貧しい街並み。