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カクレマショウ

やっぴBLOG

『青森へ』

2010-12-10 | ■本
東北新幹線全線開業を記念して、様々なイベントや企画モノが目白押しですが、この本もその一環なのでしょう。小学館STORY BOX JAPAN別冊として出た『青森へ』。8人の作家による、青森を舞台とした読み切り短編小説を収録したもの。ラインナップに、県内の関係場所をメモしておくと、  夏川 草介「寄り道」…嶽温泉  井上 荒野「下北みれん」…恐山  島本 理生「捨て子たちの午後」…弘前  西 加奈子 . . . 本文を読む

「希望学」。そして、100sの「希望」。

2010-11-22 | ■本
1ヶ月くらい前に読んだ何かの機関誌に、玄田有史さんの講演録が載っていて、タイトルは「希望を語る」。中学校の校長先生を対象とした講演らしい。 玄田さんは、去年『希望学』全4巻を出版し、話題になったのですが、もちろん私は読んでいません。でも、講演の中で、中学生や高校生に読んでもらいたいと思って『希望のつくり方』という新しい本を書いていて、それが秋ぐらいに新書で並ぶかも、とあったので、さっそく本屋で探 . . . 本文を読む

今邑彩『ルームメイト』

2010-10-27 | ■本
朝日の書評で紹介されていました。例によって、書店のポップで売れているミステリーだそうです。なんでも1997年にノベルズ版で初版、2006年に文庫化されていたのが、昨年暮れ頃からじわじわと売れ始めたという、珍しい作品だとか。1997年って、ほんの13年前のことなのに、読んでみると何かにつけ「古いなあ」と感じることが多かった。恐ろしいことに、それだけ時代の変化が激しいということなのでしょう。インターネ . . . 本文を読む

桐野夏生『東京島』─新しい「無人島モノ」

2010-10-19 | ■本
なんだろう、桐野夏生の小説って、男も女も全然感情移入ができなくて、救いようがない人たちばっかりで、いつも読後感わるーいんだけど、つい読んでしまう。 映画「東京島」は、予告編を見て面白そうだなと思って見に行ったのですが、原作が桐野夏生だなんて全く知らなくて、見終わって、原作もあるらしいから読んでみるかと思って本屋で探したら文庫本はどこも売り切れだという。え?そんなに人気あるのと思って聞いてみたら、 . . . 本文を読む

梅棹忠夫『知的生産の技術』の先見性

2010-08-03 | ■本
7月3日に90歳で亡くなった民族学者の梅棹忠夫さん。大学時代、民族学や比較文明学に惹かれていた私にとって、憧れの人でした。 民族学者として世界各地でフィールドワークをこなし、それまでにないユニークな文明論を展開したこともさることながら、ベストセラーになった『知的生産の技術』(岩波新書)では大人の学びの方法について独自のアイディアを世に紹介し、あるいは、大阪万博の跡地に国立民族学博物館を建て、初代 . . . 本文を読む

湊かなえ『告白』─私たちの「心の闇」を見せてくれる。

2010-06-09 | ■本
先日行ったビアガーデンで、同僚が面白くて一晩で読んだと話していました。その2~3日後、わざわざ持ってきてくれて、私も、その日のうちに一気に最後まで読んでしまいました(眠い目をこすりながら)。 文章は多少荒削りのところはありますが、設定といい、構成といい、展開といい、確かに一気に読ませる力を持っている小説です。 愛美は事故で死んだのではありません。 このクラスの生徒に殺されたのです。 先週から . . . 本文を読む

『食堂かたつむり』─「名前をつけた豚」を食べるということ。

2010-02-28 | ■本
小川糸という作家のことはよくわからないのですが、この小説に出てくる料理のレシピ写真集『食堂かたつむりの料理』 (オカズデザイン、小川糸著)とか、『豚ごはん』(オカズデザイン著)まで出ているのを本屋で見て、そんなにスゴイ料理が登場するのかと思い、小説を読んでみました。 しかし、川上弘美を知ってしまったから、あの研ぎ澄まされた言葉の選び方、文のこしらえ方と比較すると、どうにもこの人の文体は「軽す . . . 本文を読む

「あわあわと、そして色濃く、流れた。」─川上弘美『センセイの鞄』

2010-02-21 | ■本
2001年の谷崎潤一郎賞受賞作。川上弘美作品の中でもすごく「売れた作品」として知られています。売れ筋作品によく見られるように、この作品も賛否両論あって、週刊朝日では「『センセイの鞄』に涙するバカなオヤジたち。」なんていうタイトルでこきおろされてました。 オヤジが涙して何が悪い! フン! ま、私は涙しませんでしたけどね。ちょっと、あの、じわっとはきましたけどね。 37歳の独身女性ツキコと、高校時 . . . 本文を読む

「仕組み化」も大事だけど。

2010-02-02 | ■本
仕事の効率を上げるには? 会社での良好な人間関係を築くには? 新しい発想を得るには? いわゆる「仕事術」とでもいうのか、仕事関係のノウハウ本が、最近書店に行くと山積みにされています。ペラペラと立ち読み拾い読みすると、確かに、なるほどねーと思うこともたくさん書いてあるんだけど、そういう本を100冊読んだって、仕事が急にできるようにはなれんわい!と思うので、そういう本は結局レジに持って行くことはない . . . 本文を読む

川上弘美『真鶴』─いるのにいない。いないのにいる。

2009-12-26 | ■本
夕暮れの本屋で、平積みされた文庫本の中から、なぜか『真鶴』にすーっと引き寄せられました。 川上弘美の文体って、こんなんだったのか…と思って読んでいたところ、実は、他の作品は、『真鶴』ほどはひらがなも多用していないし、ぶつぶつ切れ切れの文章ではないということを知りました。『真鶴』を書くために、こんな文体にしたらしい。 わたし=京(けい)と、娘=百(もも)、そして、12年前に失踪したきりの夫=礼の . . . 本文を読む

奥田英朗『イン・ザ・プール』&『空中ブランコ』

2009-12-06 | ■本
しばらく前の東京出張の折りに、帰りの新幹線で読もうと思って何気なく買った『イン・ザ・プール』。面白くて、一気に読んでしまい、なになに、続編がある?というわけで、日を置かずに『空中ブランコ』も買って読んでみました。『空中ブランコ』の方は、第131回(平成16年/2004年上半期)直木賞を受賞していたのですね!(さらに、3作目の『町長選挙』も出ていますが、未読!) 両作品とも、主人公は伊良部一郎。伊 . . . 本文を読む

『聖(セイント)☆おにいさん』っていったい…。

2009-11-18 | ■本
中村光の『聖☆おにいさん』、ずっと前から気になっていたのですが、たまたまある人から面白いと勧められたこともあって、これまで出たコミック4巻を一気に読んでみました。 知っている人も多いとは思いますが、この漫画の主人公は、「イエス・キリスト」と「ブッダ」なんです…。しかも、「世紀末を無事乗り越えた」二人は「天界」から降りてきて、東京・立川のアパートで共同生活をしている…。 しかもしかも、二人(「二 . . . 本文を読む

『1Q84』─スリリングでエロティックな村上春樹の世界は楽しめます。

2009-06-04 | ■本
村上春樹の新作『1Q84』。5月29日に全国発売されたのですが、事前の予約がものすごく、「異様なハイペース」で売れているのだそうですね。発売開始から4日で2巻の累計部数が5刷77万部=(1)40万部、(2)37万部=に達したというのですから、確かにこれはすごい。 私もAmazonで予約注文していたのですが、ふと気がついたら、(1) (2) の2冊セットのうち、(2)しか注文していなかったことに気 . . . 本文を読む

『谷川俊太郎の質問箱』─さすが詩人・谷川俊太郎。

2009-06-02 | ■本
昼休み、本屋をぶらついていると、読みたい本が次々と目に飛び込んできます。でもこれ以上「積ん読」を増やしたくないので、とりあえず買わないでおく。こうして買わないでおくと、いつの間にか買うのを忘れてしまうんですけどね。 結局、平積みコーナーでふと見つけた『谷川俊太郎の質問箱』(新潮社)だけは買うことにしました。 その足で公園に向かい、初夏の日差しの中で買ったばかりの本を開く。 この本は、「ほぼ日 . . . 本文を読む

みうらじゅん『アイデン&ティティ24歳/27歳』─ロック魂はわからないけど、泣ける。

2009-05-31 | ■本
みうらじゅん自身を反映している主人公「中島」は、大学時代に結成したロックバンド「SPEED WAY」のボーカルを担当しています。折からのバンドブームに乗って、SPEED WAYはまずはインディーズで人気を博し、ヒット曲も出て「メジャー」となっていく。テレビにも出るようになる。言い寄る女の子も引きも切らない。言われるままに地方にもキャンペーンに出かける。 しかし、人気が出れば出るほど、中島の心は冷 . . . 本文を読む