カクレマショウ

やっぴBLOG

「仕組み化」も大事だけど。

2010-02-02 | ■本
仕事の効率を上げるには?
会社での良好な人間関係を築くには?
新しい発想を得るには?

いわゆる「仕事術」とでもいうのか、仕事関係のノウハウ本が、最近書店に行くと山積みにされています。ペラペラと立ち読み拾い読みすると、確かに、なるほどねーと思うこともたくさん書いてあるんだけど、そういう本を100冊読んだって、仕事が急にできるようにはなれんわい!と思うので、そういう本は結局レジに持って行くことはないわけで…。

たとえば、仕事の効率を上げることだけに熱心になっても、「無駄」に見えるようなことが、実はとても大切なことだったりします。「仕事の成果」は、「効率」で測ることができるかもしれませんが、世の中、「仕事の成果」だけがすべてではないですよね。仕事の上での成果以外にも、仕事から得るものは大きい。そしてそれは、仕事の効率という観点からは「無駄」な部分から得られるものです。「無駄」と言ったら聞こえが悪いかもしれないので、「余裕」と言っておきましょうか。

この前訪問した企業の方もおっしゃっていました。「余裕」が大事だと。「のりしろ」がないと会社の利益も結局伸びないんだと。

なんて言ってるくせに、『「仕組み」の仕事術』(泉正人、ディスカヴァー)という本、しばらく前のことですが、ちょっと面白そうかなと思って買ってしまいました。(最初この本を見たとき、著者・泉正人のことを「泉麻人」だと思い込んでしまって、わ、泉麻人氏、いつの間にこんなビジネスのノウハウ本を書くようになったんだーと驚いてしまいました。ああ勘違い。著者の泉麻人ならぬ、泉正人氏は、「5つの会社を経営し、世界を飛びまわりながら 仕事は毎朝2時間で片づけ 週末はサーフィンを欠かさない」…んだってさー!)

「最小の時間と労力で 最大の成果を出す」というのが帯のうたい文句で。「才能に頼らない」「意志の力に頼らない」「記憶力に頼らない」と続く。なかなか挑戦的な惹句ではありませんか。だって、仕事って、才能も記憶力もある人が、やり遂げようという強い意志をもってやるのが一番いい成果が出るもんじゃないですか。さて、ではいったいそのココロは?

泉氏は、特に「作業系」の仕事などは、すべて「仕組み化」すべしと言う。つまり、誰でもができるような仕事は、一定の「仕組み」さえつくれば、その中に落とし込んでいけばできてしまう。人が変わるたびにやり方を教えたり変えたりするのは、時間と労力の無駄。効率化によって余った時間は、「考える系」の仕事、つまり新しい企画のアイデア出しなんかに回せるというわけです。

そして、仕組みをつくるための「チェックシート」をつくれと、実際に彼の会社で使っているチェックシートの例まで見せてくれています。それから、彼自身がやっている「TO DOリスト」。毎日、毎週、毎月やるべきことを、彼はマイクロソフトのアウトルックを活用してリストアップしているという。

「仕組み化」は大切だと私も思います。3時間かかる仕事が、仕組み化することで10分で終わるとしたら、それはスバラシイことだと思います。ただ、仕組み化は、中途半端ではかえって逆効果で、やるなら徹底してやらなくちゃいけない。そこが難しいところです。組織で仕事をしている以上、自分だけの仕組みをつくったって何も意味がない。つくるなら、組織全体で取り組まなければいけないわけで…。そこまで徹底するのは、まあ、無理だろうなあと思ってしまうのですな、ふつーの人間は。

「仕組み化」を徹底するためには、泉氏みたいな、「才能も記憶力もある人」が、「やり遂げようという強い意志をもって」取り組まなきゃね。いや、でも、仕事の効率化、という点では大変参考になりました。

ところで、以前、シェリー酒を得意とするあるバーのマダムが嘆いていたことを思い出しました。カウンターに座ったある若いお客さんが、シェリー酒の話をしたら、やおら携帯を取り出して、一生懸命調べてるんですよ、シェリー酒のことを! …あきれてモノも言えなかったわ。どうして、目の前にいる私に訊かないんでしょうねえ…?

きっと、その若者は、仕事でも同じようなことをしているに違いない、と思う。わからないことは同僚や上司に尋ねればいいものを、自分で調べて解決しようとする。もちろん、自分で調べようという気持ちはよしとしよう。でも、調べりゃわかることでも、あえて人に訊くことがどんなに大事なことか、そのこともわかって欲しい、と思う。

わからないことを調べる時に、手っ取り早いのがネットだし、ノウハウ本です。前者は、検索エンジンを使えば新しい知識(信用できるかできないかは別として)を一瞬にして仕入れることができるし、後者は、以前ならたぶん上司や先輩から盗んでいた仕事のノウハウをこっそり手に入れることができる。便利といえば便利。でも、確実に、コミュニケーションの絶対量は減っていくのです…。

仕事の仕組み化より、先に考えなきゃいけないことがごまんとありそうです。

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