アメリカのＦＲＢ（米連邦準備制度理事会）は苦悩している。今年は選挙の年であり、そこで当選した大統領が新しいＦＲＢ議長を決める。だから、パウエル議長らのＦＲＢの理事たちは利下げをして、アメリカ経済にＦＲＢが貢献している姿を見せたいはずである。しかし、できないのである。3月の米消費者物価指数は前年同月比3・5％上昇した。直近のピークの22年6月の9・1％上昇に比べ鈍化しているが、依然としてFRBが目標とする2％を上回っている。政策金利を5・25～5・5％という高値にしているにもかかわらず、インフレが落ち着かないのである。かといって、インフレ退治を名目に、景気を冷やすような利上げも、この選挙の年にはとてもできない。こうして、ＦＲＢのパウエル議長は苦々しい思いで、「利上げの可能性は低い」と明言したうえで、「インフレ率が2％に向かって低下していくとの確信を深めるまで、利下げは適切ではない」との従来の見解を述べざるを得ないことになったのである。（くちなし亭、2024.05.02）
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