定年を迎えたおじさんたちが最初に悩むことは、自分の居場所がないということだ。これまでなら、ほとんどの時間を会社の中で過ごしてきたので、いざ、それから開放されてみると、いつの間にか、自宅の粗大ごみ化してしまうのである。それもこれも、自分の居場所が家の中に無いからである。コロナ禍の中で、自宅勤務に変わった人たちは自分の居場所をしっかりと作っている。それも家の片隅に、自分の仕事スペースをこしらえることが家の誰もが容認するからである。だが、定年を迎えたおじさんには家人の認める仕事などない。仕事ない人に仕事のスペースもないのである。だから、私の知人の一人はひたすら、愛車に乗って、全国をさまよう。それが会社時代からの夢だったとほざくが、所詮、家に自分のスペースがないからである。さて、私はそのような人たちに、家で自分のスペースを創ることを勧める。最初から、個室と言うわけにはいかないだろうから、間仕切りである。机だけでは、家人の目から開放されることは無い。そこで、間仕切りである。ただ、完全な間仕切りでは圧迫感なり、閉塞感なり、家人から見ての異様感なりがあるので、そこは微妙に開けておくことが大事だ。（くちなし亭、2024.07.11）
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