なぜ、８年前、アメリカでトランプ政権が誕生したのか。その時にも、驚きのこととして、報じられていたのが、彼の熱狂的な支持基盤は白人貧困層だといわれたことだ。白人の貧困層がアメリカの大統領選挙を左右するほどにいるのか。アメリカ社会はどうなっているのかと思ったものだった。その答えがだんだんと明らかになってきている。その理由の一つが直前のオバマ政権の大失政だった。オバマ政権が誕生した直前、世界はリーマンショックと言う荒波の中にいた。選挙に勝利すると、オバマはそれまでの金融業界批判をやめて、クリントン政権でおなじみのウォール街人脈を経済担当閣僚や高官に任命する。オバマは財政赤字の縮小に、もっぱら関心を示し、現状の高い失業率や住宅ローンの破たんで苦しむ人たちをないがしろにした。その結果、白人を中心とするアメリカ社会の中間層は大きく下層へと流れ込み、アメリカの格差は広がっていったのである。さらに、オバマ大統領肝いりのオバマケアも富裕層からの富を超貧困層のケアに回すものでは無かった。貧困層のケアは中間層の保険料の増額によって賄おうとするものだった。自分たちの生活が苦しくなる白人中間層の不満はマグマのように広がったのである。（くちなし亭、2024.07.16）
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