今年は選挙の年だが、フランスの総選挙はマクロン大統領の解散権によって、つけ加えられたれた選挙である。6月30日に行われた第1回投票の結果では、移民排斥や自国第一主義を掲げる野党・国民連合(RN)が最多の票を獲得する見通しとなった。RNは女性のルペン前党首で有名である。フランスの総選挙は初回投票で有効投票の半分以上、かつ有権者数の4分の1以上を得票した候補者の当選が確定する。だが、そうでない選挙区では上位2人による決選投票が実施される。あるいは有権者数の12・5%以上の票を得た候補者は全員が決選投票に進めるが、3人や4人の候補による決選投票の例はあまりない。フランス国民議会(下院)は定数577で、これまでは与党250議席、左派系が150議席、右派系が90議席だった。それが今回の選挙結果と7月7日に行われる第2回投票の予測も合わせると右派系が230~300議席、左派系が120~200議席、与党が60~125議席と与党の惨敗となった。なぜ、マクロン大統領は解散したのか、EU銀選挙の惨敗を受けてのものだが、失敗である。予想されるのは、RNを中心とする内閣とマクロン大統領が統治を分担する「コアビタシオン(共存政権)」の誕生である。メデイアはRNを極右と決めつけているが、政策的にはアメリカのトランプ氏に近い。隣国イタリアでもメデイアに極右だと決めつけられていたメローニ首相が2022年から政権を運営している。(くちなし亭、2024.07.01)
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