南米ベネズエラはかって、豊かな産油国だった。しかし、有名な反米大統領だったチャベス氏がアメリカによる経済制裁を受けながらも、放漫財政を続けて、それが後継者に引き継がれた。その後、原油価格の暴落なども起きて、国家財政は破たんしたのである。ベネズエラは今、ハイパーインフレに見舞われている。中銀によると、インフレ率は2019年に9500％以上、2020年に約3000％を記録した。経済関連のコンサルタント会社、エコアナリティカは、2021年のインフレ率が1600％前後になると予測している。これでは国民は生活できない。政府は5月に月額最低賃金を3倍に引き上げたが、それでは肉1キロさえ買えないのである。この現状に、多くの国民が国外への脱出を図り、政府はデノミを繰り返している。今回のデノミは通貨単位を100万分の1に切り下げるというもので、通貨単位を「ボリバル・ソベラノ」からゼロを六つ減らした「ボリバル・デジタル」に切り替わった。市民はもはや紙幣に価値を見出さない。何の役にも立たない紙幣を燃やしているのである。（くちなし亭、2021.10.03）
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