あんなこと こんなこと 京からの独り言

「京のほけん屋」が
“至高の薀蓄”を 京都からお届けします。

新型インフルエンザ考察

2009年12月07日 | うんちく・小ネタ

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新型インフルエンザ対策に関する情報が錯綜しています。
キムチが効く。ヨーグルトを20日間食べると抵抗力が増す。
麻黄湯はタミフルより効果的等々。

とりあえず季節性インフルの予防接種を済ませて様子をうかがう今日この頃。学術雑誌を精読し、新型インフルに関する情報をまとめてみました。

                                                                   夏でも流行
熱帯のベトナムやインドネシアでも、季節性インフルは毎年普通に流行する。
確かに、実験室レベルだとウイルスは高温多湿が苦手ですが、飛沫が主な感染経路となると環境はあまり関係ないことになります。

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                                                          先祖はスペイン風邪                                                    1918年のスペイン風邪流行時、ウイルスはブタに入って定着しました。畜肉用途が多いブタは免疫が形成される前に世代交代するので、ウイルス自体は免疫から逃れるための変異を必要としません。ですから、新型ウイルスはスペイン風邪当時の形質を保っていて、当時を生きた高齢者に免疫が残っている可能性が高いのだとか(米国疾病対策センターの調査だと、65歳以上の免疫保持率約30%)。

Photo_2                             スペイン風邪によるアメリカの隔離風景

                         567                           日本における「スペイン風邪」の被害報道


ブタ型
つまり、いま流行しているウイルスは完全なブタ型なのです。それでもヒトからヒトに感染するのですから、完全なヒト型に変異したら大変です。第2派が怖いのです。ヒトの免疫から逃れるためにどんどん変異して拡大することになります。

                                                             高温好き
新型ウイルスは高温好きだそうです。肺炎になる患者が多いのは、35℃前後の喉より40℃近くある肺を好むからだとか。

                                                           パラドックス
ウイルスの目的が増殖と感染拡大だとすれば、宿主であるヒトには健康で歩き回って、周囲にうつしてもらわなければ困るわけです。 エボラのような死亡率99%ウイルスは、決して広がりません。ウイルスにとって、ヒトは病気だけど元気でいてもらいたい存在ということですね。
・・妙に哲学的です。

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学習の結果、究極の予防グッズとしてダチョウマスクに行き着きました。ダチョウに作らせた抗体を卵から回収し、マスクにしみこませた抗体マスクがあるそうです。(「化学」「日経サイエンス」「日経メディカル」09年11月号掲載)20枚入り6720円。ダチョウの卵1個から8万枚のマスクが生産できるそうです。

                                                           塚本康浩教授のマスク
メスのダチョウに4種類のウイルス抗原を注射し、抗体量が最大になる2週間目以降に産卵した卵から抗体を取り出し、マスク素材の不織布にしみ込ませるそうです。卵1個から得られる抗体は約4gで、マスク8万枚分(ダチョウは半年で100個産卵するとか)。         (ダチョウの卵は鶏卵約25個分です)

なお、マスクは乾燥状態ですが、抗原抗体反応には水分の存在が必須だそうです。表面パリパリ、中しっとりの特殊な不織布を使用したことが成功のポイントだったみたいです。
京都府立大教授とオーストリッチ・ファーマ社の代表取締役を兼務する塚本先生ですが、ダチョウに囲まれるお姿は、ダチョウ博士の二つ名にふさわしい勇姿です。

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その他・・・

岡野雅行代表の注射針
マスク着用と同時にワクチン接種で自己防衛。予防接種で「痛くない注射針」が使われる日を願われています。
痛くない注射針とは、通常の半分サイズで蚊の針とほぼ同じ直径0.2ミリ(内径0.08ミリ)の注射針です。糖尿病患者をインスリン注射の苦痛から解放する画期的商品を開発したのは、従業員6人の岡野工業を仕切る岡野代表。
この加工を100社以上に断られたテルモ社の思いに、ステンレス素材の神業的プレス加工で応えたのだそうです。

ちなみに、小泉元首相も同社を訪問し「痛くない」と感嘆したそうで、今では笑い話のように語られています。

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                                                           鼻にスプレーするインフルエンザワクチン
米国では今年10月5日、新型の豚インフルワクチンの接種も始まりました。使われたのが、鼻の粘膜にスプレーするタイプのワクチン。
このスプレー式ワクチンは、日本ではまだ承認されていないため、医師が個人輸入し、既に接種している病院もあるそうですが、自己責任、費用は自己負担だそうです。
日本で使われているワクチンは体に注射する方式で、最初にウイルスが感染する場所である鼻やのどの粘膜には増えにくい為。聖マリアンナ医科大学(川崎市)の清野研一郎准教授は「スプレー式だと、鼻や気道の粘膜にも抗体が分泌されるようになり、ウイルスの体内への侵入を防げると考えられている」と話しています。
国内の研究機関でもスプレー式の実用化を目指して研究開発が進められているそうです。                                                           

                                                             貼るタイプのワクチン
京都薬科大学の高田寛治教授らは、実用化に向けて肌にはるタイプのワクチン開発に取り組んでいます。 直径約1.5センチのシートに、長さ0.5ミリの突起が100~250本並んでいて、その突起はマイクロニードル(微小針)と呼ばれ、ワクチン液が付いています。
腕などに貼ると溶け出し、体内に吸収される仕組みとか。皮膚に刺さるのは突起の長さの半分ほどで、痛みを感じる真皮には届かない仕組みです。
海外では、貼るタイプのインフルワクチンが、注射式の5分の1の量で、同レベルの効果が得られたとの報告もありました。

               

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                                                                  予防対策としてのうがいと手洗いは当たり前のことながらも、まずは、病気の事を知り、その対策などについても、いろいろと日頃から聞きかじっておくことは、良いことだと思っています。
皆さんも、くれぐれもご自愛、ご留意のほどを。

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118 コメント

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うわー、とうとうこの生々しい話題ですね。 (NOいちご)
2009-12-07 02:46:18
うわー、とうとうこの生々しい話題ですね。
といっても、まだ身近に感じて無いのです。
周辺で感染者がいないからかな。
ほんとは、ちゃんと学んでおかないと怖いですよね。
そんな意味もあっての京のほけん屋さんの
今回の記事だと思いました。

新型インフルエンザとはどういう病気なのかを、
従来のインフルエンザと比較して教えて下さい。

タイトルの写真、かわいい~!
こういう写真を集めて、加工をしている作業も、
大変でしょうね。
心から「ご苦労様です」って、言わせて下さい。
お疲れがたまりませんように。

返信する
Unknown (凛凛蘭蘭)
2009-12-07 02:49:58
かからないための予防法も、
TVや新聞で報道してますが、
手洗いとうがいをいつするのが有効なのか、
なども今ひとつ予防として肝心なことなのに、
曖昧ですよね。
まずは、
感染経路から教えて下さい。
このブログで、最初から学びたいと思います。
タイトルのワンちゃん、お病気?
って思ってしまうこの記事との連動化は、
ちょっとした作戦ですね。
いつもどこかに、なにか仕掛けを作ってますね。
すごいとしか言いようがないです。
京のほけん屋さんの会社の凄さ、立派さまで、
これを読めば判りますね。
信頼できる、そして安心出来るほけん屋さん
ですね。
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NOいちご 様 (京のほけん屋)
2009-12-07 03:18:20
NOいちご 様
コメントを有難うございました。

インフルエンザとは、インフルエンザウイルス
が体のなかで増えて、熱やのどの痛みなど
の症状を引き起こす病気です。
ほとんどの方は、これまでにインフルエンザ
にかかったことがあると思いますが、
一度かかると、その原因となったウイルスに
対して抵抗する力(これを免疫といいます)
が高まります。
従来から流行っている季節性インフルエンザ
に対しては、多くの人が免疫をもっている
わけです。
2009年の春に発生した新型インフルエンザは、
その前年までは一度も流行したことが
ないもので、新しいウイルスが原因と
なっています。そのため、
誰もが抵抗する力をもたないと
考えられています。
かかったときの症状は、
季節性インフルエンザとほぼ同じです。

(参考)
新型インフルエンザの主な症状
・突然の発熱や咳、のどの痛み、
 倦怠感など。
・鼻みず、鼻づまりや頭痛なども
 みられる。

ただし、吐き気や下痢といった
胃腸の症状を訴える方も
一部におられます。
これは季節性インフルエンザと
少し違う点だと考えられます。
多くの方は、かかっても数日間で
軽症のまま回復しています。
ただし、一部の方で重症化することが
あるので注意が必要です。
とくに、糖尿病やぜん息などの持病が
ある方や妊婦、幼児や高齢者は、
重症化する可能性がその他の方々に
比べて高いということです。

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凛凛蘭蘭様 (京のほけん屋)
2009-12-07 03:27:19
凛凛蘭蘭様
コメントに感謝致します。

かからない方法をよく知ってもらうためには、
まず、インフルエンザが人から人へ
どうやってうつるのかをご理解ください。
インフルエンザの感染経路には、主に2つあります。

【インフルエンザの主な感染経路】

(1)飛沫感染・・感染している人の
くしゃみや咳で出るしぶきを吸い込むことによる感染。
くしゃみや咳を浴びる距離(2m程度)にいる人は
感染の危険性が高い。

(2)接触感染・・感染している人の唾や鼻みずが
手から手へ、あるいはドアノブやつり革などを
介して手に付着することなどによる感染。
ただし、インフルエンザは、ウイルスが手に付着した
だけで感染することはありません。
ウイルスが付着した手で、口や鼻、目などの
粘膜を触れることで感染します。
ですから、こまめな手洗いが接触感染のリスクを
減らすことになります。
マスクをつけずに咳やくしゃみをしている人の
そばにいると、そのしぶきを吸い込んで
感染する可能性があります。ですから、
流行している時期あるいは地域では、
人込みには行かないことが感染予防の
基本だと考えてください。
また、スーパーマーケットや電車など人の
多い場所に出かけた場合は、
どこにウイルスが付着しているのか判りませんから、
帰宅時の手洗いが大切です。
食事を準備する前など、なにか作業をするとき
にも手洗いをこまめにしてください。
手を洗うときは石けんを使って最低15秒以上、
指の間や手首も含めて丹念に洗いましょう。
そして、洗った後は清潔なタオルなどで
水分を十分に拭きとってください。
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京のほけん屋様 (南船場のおたんこナース)
2009-12-07 20:02:44
京のほけん屋様
今、どこの病院でも、風邪の患者さんが
増えてます。季節性が殆どですが、
その他にも、地域によってはおたふく風邪が、
この時期に流行ってしまい、
大変な熱を出して病院に来られる患者さん
もいらっしゃいます。

新型かそうでないのかの区別は、
医師でも検査結果を見ない判断出来ません。
患者さんにすれば発熱の症状が出たら
心配ですよね。
おかしい・・と体調に違和感を感じたら、
先ずは検温をして下さい。
そして、少しでも熱があれば、
近くの病院へ行って下さいね。

「感染」とは、インフルエンザウイルスが
体内に入ることです。その後、ウイルスが
増えると症状が出てきます。
これが「発症(発病)」です。
感染しても症状が出ないという場合もあります。
この点をご理解下さい。
過分に感染を恐れるのも、良くありません。

それにしても、素晴らしい記事ばかり。
今回のこのテーマには、写真とともに、
現場にいる者としては感銘を受けました。
きっとまた、この先のコメントで、
すごい情報へとたどり着くのでしょうね。
目が離せません!
返信する
大人と子供の初期症状を (腹立海苔)
2009-12-07 20:41:13
大人と子供の初期症状を
教えて下さい。
病院で尋ねたら、いつもの風邪と一緒!
と言われてしまいました。
そりゃぁそうでしょう。
インフルエンザっていうんですからね。
だけど、同じだろうがどうだろうが、
こうこうですよと、教えてもらうことで、
対応も出来るかもしれないし、
身構え方も違いますよね。
医者もいろいろ。
患者の事を親身に考えない医者は、
免許はく奪したいね。
特に、こんな世界的に広がった、
新型の病気なら、医師も勉強するべきですし、
僅かに得た情報でも、きちんと
説明出来るようになって欲しいものです。
返信する
京のほけん屋様 (ブラッシュアップ)
2009-12-07 20:51:34
京のほけん屋様
すごいなぁ。こういうテーマを、
衛生面からも追及されたんですね。
またまた写真も素晴らしいし、
このブログで得るものって大きいですね。
ブログのコメントで、
つまらない中傷を書き込む人がいますが、
少なくとも、これだけ熱心に対応される、
京のほけん屋さんのエネルギーを思えば、
そんなくだらないコメントは遺せないでしょうね。
皆さん、ここに来られる人は、紳士ですね。

同居している人が感染している場合、
その人から感染しないよう確実に
予防することって出来るのでしょうか。
家族が多いので、不安でいっぱいです。

豆柴、寝顔が可愛いですね。
でも、こういう記事の時に、
タイトルで掲載すると、
みんな記事の読み方も受け取り方も
変わりますよね。
こういうところの配慮には、毎回、
驚きと尊敬の念を持ちます。

返信する
京のほけん屋様 (ラウンドQ)
2009-12-07 20:52:29
京のほけん屋様
怖いと思うか、そうでないかは、
患者の立場と、医療関係者、
製薬会社などで違うでしょうね。
情報が錯綜したり、少ない実例から、
判断を求められるのは、
政治家以上に辛いかと思います。
でも人の生き死に関わる問題。
もう少し、公式の報道方法があっても
良いのではと思った次第です。

インフルエンザワクチンには、
インフルエンザに感染した際に、
発症を抑えたり、症状が重くなることや
死亡することを予防する効果が
あるとされてますね。
ただ、ワクチンを接種しても、
インフルエンザにかかることもあるし、
その効果も完全とは言えないみたいです。
接種するべきかどうか悩んでます。
返信する
新型インフルエンザとはWHOで (スズメランナー)
2009-12-07 21:38:50
新型インフルエンザとはWHOで
どんな風に認めた風邪なんでしょう。
危険と指定された場合、
日本では法律上、認定するような
仕組みなのでしょうか。
21世紀って、こんな危ないことが起きる
時代だなんて想像出来なかったです。

近所でも、新型にかかった人が居て、
可哀そうに、その家の人たちまで、
冷たい目で近所ではみてます。
こういうのって、大げさな病では
ないのですから、
もっと温かく見守ってあげたいですよね。

それにしたって、
錯綜する情報が悪いのだと思います。
返信する
新型インフルエンザウイルスは (堺市のトンビ)
2009-12-07 22:12:17
新型インフルエンザウイルスは
環境中でどれくらい生きていられますか。
目に見えないものだから、
あまり過敏に反応したくないけど、
不安ですよね。
それにしても、オーバーに言えば、
細菌兵器みたいに、
感染を恐れながらも、何も出来ない・・
という感じですね。
真剣に考えれば、気持ちは、
萎えて来ますね。

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