味の素グループになったり、アサヒグループになったり、時代に翻弄されてきた
カルピスが里帰りしたがっています。
カルピスのふるさとはモンゴル。
創業者の三島海雲氏が大陸で体調を崩した時、モンゴル遊牧民に勧められた
「酸乳」を飲んで健康を取り戻したそうです。
この酸乳という名の乳酸発酵飲料をヒントにして作ったのが、カルピスなのです。
創業は1919年の七夕、7月7日。
第1次世界大戦の好景気を受けて全国に広がったというのですから、歴史は
かなり古いですね。
その後、1989年に黒人のトレードマークが廃止され、1995年頃から台湾、
インドネシア、タイに進出。
そして2005年、とうとう韓国、中国に上陸を果たしました。発祥のきっかけともなった
モンゴルに近くなって来たのです。
台湾、中国での名称は「可爾必思」(クールゥピースゥ)」。
商品名の「可」は、昔の表現の「可人=かわいい」に由来。
「爾」は、古語で「あなた」。そして「必思」は、「必ず思う」。
まさに、伝説のコピー「初恋の味」の4文字熟語版なのです。
中国の硬水でカルピスを希釈するとどんな味になるのか、判りませんが、
より一層、「初恋の味」に近づくのでしょうか。
こうして中国内陸部にまで浸透して来ただけに、無事、モンゴルに里帰りできる日を
願うばかりです。
ところで、カルピスの理想的な希釈率は原液1に対して水4。つまり、5倍希釈です。
高校時代、いまや古語となってしまった「純喫茶」で、4倍希釈の濃厚カルピスを注文。
途中、水をつぎ足して300円のカルピスを500円分くらい堪能していました。
純喫茶の終焉とともに家庭の冷蔵庫からカルピス瓶が消え、オレンジカルピスへの
憧れも昔日の思い出となってしまいましたが、夏になると実家にカルピスが常備されるのです。
冷蔵庫を開けたら、天の川をイメージしたという水玉模様が目に飛び込んできます。
なんとなく心安らぐ里帰りなのです。