あんなこと こんなこと 京からの独り言

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COOL

2016年11月06日 | うんちく・小ネタ



スタジオに日本在住の外国人を招き、意外と知られていない「かっこいいニッポン」を発掘する番組があります。
過日のテーマは「和製料理」。ナポリタンのように日本で独自の進化を遂げた世界の料理を、各国の外国人7人が持ち寄る企画。

オムライス、カレーライス、ハンバーグ、天津飯、焼きギョーザ、ショートケーキ等が紹介されていました。
えっ、ハンバーグってアメリカにないの?  ・・・ハンバーガーはあっても、ハンバーグが単独で出てくる料理はないそうです。




そして、イチゴショートは7人全員が「COOL!」。食後に食べても胃もたれしない、甘味あっさりでふわふわスポンジのケーキは日本にしかないのです。



ふと、石原裕次郎主演の日活映画、「太平洋ひとりぼっち」(1963年公開)を思い出しました。小型ヨット「マーメイド号」による太平洋単独航海を成功させた、堀江謙一氏の同名航海記を映画化した作品です。
映画の中で、裕次郎さんが備蓄の食糧を利用して、ショートケーキもどきを作るシーンがあるのです。
砂糖、バター、クリープをマグカップの中で混ぜた後、スプーンですくって食べ「本物のショートケーキが食べたい」とつぶやきます。
この「もどき」、けっこう本物の配合に近いのです。当時全盛だったバタークリームのショートケーキなら、足りないのはスポンジ部分の小麦粉と卵ぐらい。
胸焼けしそうなバターが、裕次郎さんの熱いイメージにぴったりの名シーンでした。



元来、発祥であるアメリカのショートケーキはスポンジ部分がビスケットであり、このビスケットにショートニング(食用油脂)が練り込まれていることが語源という説もあります。
大正時代に日本に伝搬した元祖ショートケーキは、菓子メーカー不二家の手で日本風にアレンジされ、スポンジタイプで世に広まりました。
そして、バタークリームが生クリームになり、甘さも固さも控えめになったのです。
今の軟弱日本を象徴するようなショートケーキ、ギラギラした裕次郎さんが食べたら「COOL!」と言ってもらえるでしょうか。
そんな妄想にふける一日となりました。