あんなこと こんなこと 京からの独り言

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文系と理系のコラボサクセス

2016年09月12日 | うんちく・小ネタ



消費者に認められ、高いお代を払ってくれる価値を生み出すことは容易ではありません。
地味な加工食品分野では特に・・。
そんな食品業界で、教科書的成功事例として紹介される商品に、A社の「ピュアセレクトマヨネーズ 65%カロリーカット」というものがあります。
文系のマーケッターと理系の研究員がコンビを組んで、画期的な価値を生み出した商品なのです。



まず、マーケッターの企画力が生んだ価値。
マヨネーズの主成分は卵と酢と油。そこで、卵の鮮度感をアピールポイントにしたのです。
キャッチコピーは「とれて3日以内の国産新鮮たまごだけを使用」。

「生みたて」は無理でも「とれたて」ならなんとかなるだろうと鶏卵業者と交渉し、物流を整え、工場を説得したとか。
世界第2位の卵消費国で、生卵を好んで食べる日本の消費者は、卵の鮮度にうるさいのです。
「3日たまご」の価値はすぐに受け入れられ、売上増につながったそうです。




次に、研究員の技術力が生んだ価値。
マヨネーズのカロリーを下げるため、単純に油の配合量を減らしたのでは味が落ちてしまいます。
そこで、油の中に水を閉じ込める技術を開発。具体的には、酢の中に浮かぶ油滴の中に水を閉じ込め、酢/油/水という「Wエマルジョン」状態を作ったのだそうです。
水を注入することで油の含量が減ってカロリーも下がのですが、水が油の中に包まれた状態なので、油滴のサイズ自体は変わらず味もほぼ同じなのだとか。すごい価値ですね。




さらにすごいのは、油を水に置き換えた分、原材料費が下がったということ。
安くできるのだから、メーカーにとっての有難い価値も生まれたことになります。
普通の3日たまごマヨネーズが400gで200円。65%カロリーカットが360gで265円。

価値があるから高くても売れる。けど、原価は安い。
価値を生み出し、高くても喜んで買ってもらい、そして儲けてお給金を上げてもらう・・・。
これが「仕事」なのですよね。