風塵社的業務日誌

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)

腹巻仰天

2006年06月02日 | 出版
今日は午前少し書店を回った後、あきやまみみこさんと打ち合わせ。
そのときあきやまさんが持ってきた講談社から出た彼女の新刊『名曲のぬり絵』を
手に取りじっくり観察する。
とたんに腹巻オヤジ、ビックリ仰天。
中を開けてみるとホチキス留めになっているのだ。
二つ折りにされた本文から表紙までが、ホチキス2ヵ所で留められている。
カバーがかかっているので店頭で見たときは気がつかなかったが、見返し、別丁のページもなく、無造作に留められているだけだ。

オヤジに教わったところによると、製本には上製と並製があり、世間的には上製をハードカバーと呼び、並製をソフトカバーと呼んでいるが、編集・製本の現場ではそういう呼び方を使っていない。
印刷され予定している判型に折られた本文用紙と、それを巻く外側の表紙は、糊で接着されて書籍の形になる。
次にその本文の束ねかたにはアジロと糸かがりの二通りがある。
アジロ製本とは本文を糊で束ねてしまう方法で、糸かがりとは本文の折り束ごとに糸で綴じる方法のことだ。
この他にもいろいろあるらしいが、この2パターンが一般的な方法らしい。
また、上製の場合は丸背・角背、溝のあるなし、紐のあるなしなど、細かい技術的なちがいとか、フランス折り、和綴じなどの特殊な製本方法もあるが、風塵社ではほとんどやったことがないので、教えてもらう機会がない。

オヤジによると、風塵社としてはこれまでそういう真面目な製本しかしていなかったので、ホチキス留めという発想がそもそもなかったらしい。
ホチキス留めの本では、福音館の『こどもの友シリーズ』が代表的だが、それ以外ではお目にかかったことがない、とオヤジ。

目からうろこが落ちたオヤジは、会社に戻ると早速製本所に電話を入れ、
ホチキス留めのやり方と金額を聞いていた。
安っぽい印象を受けるが、たしかにノドまで本が開きやすく、ぬりえには好都合かもしれない。
制作費も低く抑えられ、一石二鳥である。
天下の講談社がホチキス留めをやっているのだから、風塵社がやってもどこからも苦情はこないだろう、というのがオヤジの判断のようだ。
オヤジは講談社の本の作りをバカにしながらも、目的にかなった選択に感心していた。


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