風塵社的業務日誌

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空の青み

2020年08月18日 | 出版
2週間ほど前までは、なんだか夏らしくない夏空だなあと思っていたものであった。朝、妻と歩きながらそんな話をしていたら、「そうだねえ、すじ雲が広がっているし」とわかったようなことをのたまいやがる。8月にすじ雲があったっていいじゃないかとは思いつつも、しかし、入道雲などまったく見ていないことに気がついた。そのうえ、空の青さがくっきりしていない。カキーンとはっきりした、いかにも夏らしい空などお目にかかっていなかったのだ。
そして1週間ほど前になると、気温が急激に上がってきた。しかし、空の青さはそれまでとたいして変わらないように感じる。どこか白みが含まれたような青色なのだ。ただし、湿度も高くなってきたように思う。おかげで歩いていると汗が止まらない。そして、入道雲をいまだ目にしていない。入道雲が出やすい午後の時間帯に、こちらは社内にこもりっきりというのも一つの理由ではあるだろう。それでも、ガキのころは毎日のように目にしていたような夏の色彩が、今年はどこにも見当たらないというのはいささか寂しくさせる。
もちろん、記憶なるものが正確であるわけがない。それは現在の小生の脳ミソが作り出した幻影である。しかし、小生の腐れた脳内に浮かぶ空の青さくらいは、1年に1度くらいは拝みたいものだと思ってしまう。そういえば、バタイユの小説に『空の青み』(河出文庫、伊東守男訳)というのがあったのを思い出した。途中まで読んでみたものの、あまりにつまんなくて放り出してしまった1冊である。したがって内容を鮮明に覚えているわけもないのであるものの、なんだったっけなあ、フランスの左派系知識人がスペイン革命にどう関わっていくかという話だったっけなあ、忘れちゃった。ローザ・ルクセンブルクをどこか髣髴させるようなユダヤ系の美人アジテーターがいて、主人公がそのケツを追っかけていってどうのこうの、だったか。
ついでに、スペイン革命についてのルポルタージュとしては、ジョージ・オーウェルの『カタロニア讃歌』が有名である。その書誌情報を確かめるべく、社内のどこかに転がっているからと探してみたものの、なかなか見つからない。したがって、書誌情報は割愛する。読んだのが大学に入ってからなのかどうかは覚えていないけれど、読みながら、当時のスペイン革命内部の党派対立をおのれがまったく理解していないことに気がついた。本書を読む前提としてそこを理解していないと、オーウェルの主張内容がまったく理解できない構造になっている内容なのだ。それでも、「これが、初めて私がファシストを撃った瞬間であった」というような一文があったようには記憶している。
例によって、話が適当にズレていく。随想なので、話がどのように展開しようがそんなことはどうでもいいのだけれど、そもそもは、最近、暑いなあと記したかっただけなので、そこにまたもどることにしよう。そこで、今週に入ってみたら、暑い、暑い。暑いのいや! しかし! 低気圧下ではウツ状態に陥ってしまう。ならば、高気圧下での精神のアッパー化か、体力の消耗か、いずれを選択するのかということになる。そうすると希望としては、冬場の高気圧ということになるのだけれども、いかんせん現在は夏である。ナメた選択肢のあるわけがない。
そこで、おかげさまとでも表現すべきことになるが、体力的には辟易していても精神的には意気軒昂という状態ではある。その辟易の実例としては、体重が55キロまで落ちてしまった。しかも、もっと落ちそうな勢いである。そのうち力石徹にでもなってやろうかとも思ってみる。確か彼は53キロくらいまで無理やり落とし、それでジョーの一撃をくらって死んじゃうんだっけな。現在の小生にしてみれば、53キロなんてまったく無理のない射程距離内なのだ。ただし、現在の体脂肪率は15%なので、これを一けた台まで落とすのは大変なことだろう。そういえば、大学に入ったら飢餓状態に陥ってしまい、体重が50キロを割りそうになったこともあった。力石徹って、ただの甘チャンやんか。
いやいや、したがって体力面においては問題がないので、意気軒昂な精神面について述べるつもりであった。これまで最大の懸案であった某経理作業に立ち向かう意欲がようやく湧き上がり、まずは某所に電話し面会のアポを入れる。小生はしょせん弱い人間である。締切設定のない作業となると、いつまで経ってもあと回しにしてしまうのだ。とにかく、逃げ場のない状況に自分自身を追い込み、そこで最大の実績を見せつけるしかない。いやしかし、これはまちがえた。経理作業に最大も最小もあるわけがない。求められているのは正確さだけである。その正確さを迅速に処理する状態におのれをようやく追い込んだ、ということなのだろう。
そして本日も7:30に家を出、妻と二人して本郷方面に歩いてみることにする。当然ながら、小生は出社するためだ。暑いけれどしかし、空の青さはやっぱり白みがかかっている。2020年の空は、どこかとち狂っているのだろう。

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