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SACDの音 [2]

2007年09月15日 15時43分48秒 | PC+AUDIO
 先日購入したもう一枚がSACDがアシュケナージがチェコフィルを振ったマーラーの7番で、これはエクストンというレーベルから出ているものだ。エクストンはこのところアシュケナージを中心にして、良い録音のディスクを頻発しているレーベルで、江崎というエンジニアが録音は仕切っているらしいが、日本のレーベルだけあって調度デンオンあたりに近い、ホールの響きをまるごと収録したような音調(ワンポイントでは明らかにないが)である。デッドで近接した楽器群が非現実的なパノラマの演出する昔のグラムフォンやデッカ調のハイファイ録音で育った私としては、この音はあまりにも自然すぎ、優等的なバランスが勝ち過ぎていて、イマイチおもしろみに欠ける気がしないでもないのだが、この「まるでホールで聴いているかのような音」は心地良くないはずはない。某オーディオ誌上で10点満点をとっていることが納得できる素晴らしい音である。

 さて、このディスクにはCD層がないので、SACDとの聴き比べはできないが、おそらくもっとグレード高いキカイでかけたら、特にホールの残響みたいなところはもっと雰囲気豊かに再生されるのではないかと思う。SACDの良いところはなんといっても高域成分にあるワケで、やっぱりそのあたりを期待させる音ではある。ただ、まぁ、このディスク、CDはHDCD盤として出ているので、この盤に限っては、むしろそちらのディスクをラックスで再生した方が断然期待できそうなのだが....。
 それにしてもSACDは高い。一枚3~4,000円はする。思わずCD創世記の頃を思い出す価格で、一枚2,000円くらいなら、つべこべ考えずに買えたりする私でも、さすがに「これはオレにとって本当に必要なソースか?」なんて、ちょいマジで考えたりしてしまう。まぁ、これは私にとっては良いことなのかもしれないけれど....。

 で、いくら音が良くても演奏がつまらないんじゃ、話にならないワケだがこのアシュケナージとチェコ・フィルの演奏は、良くも悪しくも中庸。大きな破綻もないが、とりたてて際だった個性も感じられないってところ(彼の弾くピアノのキャラと全く同じね)。
 マーラーの7番は、マーラーの交響曲の中ではもっとも「とりとめがなく、散漫な構成に感じられなくもない曲」であって、演奏によっては、真ん中に配置された叙情的な2つの夜曲とシュールでやたらとテクニカルなスケルツォと、両端のケバケバしい楽章とがどうもバランス悪かったりするワケなのだが、アシュケナージの演奏はこのあたりは差異を際だたせず、割と統一感をもたせ一貫した演奏になっているあたりは買える。が、反面どれもぬっぺりとして、この曲が内包する情報量みたいところも相殺してしまっている感もあって、やっぱりこのあたりがこの曲の演奏の難しさというところなんだろう。(2002年1月3日(木) 14時34分)

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