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李心潔(リー・シンチエ)/ 愛像大海

2007年09月14日 22時21分10秒 | 台湾のあれこれ
 李心潔(リー・シンチエ)は、マレーシア出身だが、台湾でシャンプーのCMだかなにかでデビュー。その後同じく台湾のアイドルグループ、キラキラ美少女(少女標本)のメンバーとして活躍したりしているから、私的にはこの人「台湾のシンガー」である。本作は彼女が2000年に出した、おそらくソロ第2作である。彼女は1976年の生まれだから、本作がリリースされた時、既に23,4才だった訳だが、ジャケの写真を見ても、やっている音楽を聴いても、ほとんど10代後半というイメージである。それも正統派のアイドル路線という訳ではなくて、そこはかとなく「アーティスティックなシンガー的な雰囲気のアイドル」という感じなのがおもしろい。日本でいったらデビューしたての頃の中谷美紀みたいな感じ。もっとも李心潔の方がもっとはつらつとしたイメージだけど。

 1曲目は懐かしい風情すら漂うウェストコースト風なアコスティック・バラード。彼女の声は明るく澄んでいて、テクニック的には稚拙だけれど、想いが伝わってくるような情感があって、まずはこの曲でぐっと引きこまれる。2曲目のタイトル・チューンは一転してテクノ風なポップ・チューンで、アコスティック・ギターとアコピのアルペジオ、飛び散るシーケンス・パターン、それにストリングスが奏でるチャイナ風なエキゾシズムをスパイスに、最高にキャッチーに仕上がりを見せる。このアレンジ、おそらく坂本龍一をお手本にしているのだろうが、本家顔負けのハイブリッドなセンスと李心潔のはつらつとした、瑞々しいボーカルのおかげで、単なるエピゴーネン以上の仕上がりとなっているのはさすがだ....と、まぁ、こんな感じで、それ以降の曲も正統派バラード、ニュー・ウェイブ風なリズミックな曲と、このアルバム全体も非常に素晴らしい出来。どうして、他のアルバムをフォロウしなかったのか、今聴いても不思議になってしまう。

 ちなみにこの人、今は女優さんとして大成功しているようで(台湾のシンガー、ターシー・スーに限らずこのパターン多いような)、ベルリン国際映画祭で最優秀新人女優賞とか、香港台湾の映画賞を総なめにしているらしい。ネットで最近のお姿を拝見したら、はつらつとしたカワイコちゃんから、ぞくっとするような美人さんになっていた。

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