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マーラー 交響曲第5番/テンシュテット&ロンドンPO

2007年02月10日 00時28分05秒 | マーラー+新ウィーン
 テンシュテットのマーラーは、彼が売り出し中だった80年代前半、アナログ盤の頃からあれこれ聴いてますし、CD時代になってからもいろいろ買い込んだりもしてますが、正直に告白すると、何がいいのかさっぱり分からなかったんですよね。当初購入したのは、確か第5番のアナログ盤で、当時、廉価盤か中古盤ばかりを購入していた私がレギュラー・プライスの2枚組を購入したのですから、その期待度がわかります(笑)。しかし、実際聴いてみると、なにしろ音像がやけに遠いホールトーンを重視した録音に大きな違和感を覚えたのが致命的でした。とにかく音が遠いのに加え、ダイナミック・レンジを大きくとろうしたのか、第1楽章や第4楽章の冒頭の音量がやけに小さいのが、聴いていていらいらしてしまい、欲求不満になりがちだったのです。

 なにやら意味深で大きなドラマが展開していそうなのだが、それが眼前に迫ってこない、まるで対岸の火事のような他人事に感じるような音....に感じたのですね。これは次に購入した第7番も同様でしたし、CD時代になって少しは改善したかもと、期待して購入した5番から10番まで収めた各3枚組のセットを聴いてもあまり好転しませんでした。結局、私は「テンシュテットのマーラーは自分に合わない」と思うようになり、最近に至る訳ですが、今回5番のはしごをしている関係で、テンシュテットも折りにふれて聴いてます。
 今回聴いているのは最新のリマスターをほどこしたボックスセットですが、多少改善されているとはいえ、音質的な印象はほとんどかわりません。音がクリアになった分逆に混濁が目立つような気もします。ただ、メータとハイティンクという、個人的には決定盤というには、いささか躊躇するような演奏と平行して聴いたせいもあって、演奏そのものはなかなか良いものではないか?と多少思うようになってきました。

 まず、感じるのはマーラーの音楽が持つ、過剰な文学性や情緒のようなものを尊重しつつ、かなりモダンに表現されている点です。マーラーの音楽は70年代後半からそうしたところとは決別した、「あまり入れ込まない演奏」が主流になってきたように思いますが、テンシュテットはマーラーの世紀末的な情緒を全面に出しつつも、現代的な繊細さや端正な美しさ、そしてある種の軽さのようなものにも不足しないあたりが、80年代にあれほどもてはやされた理由だったのではないか思いました。実際、第1~3楽章あたりでは、テンポの設定や歌い回しにマーラーらしいエモーションを全面に出しつつも、楚々とした風情のようなものあって、相反する要素を違和感なくひとつの演奏として収束させているあたりはなかなかだと思いました。
 ただ、オケがいまひとつ機動性に欠けるというのは目をつぶるとしても、しつこいようですけど、なんとしても音質が自分の好みとあいません。この演奏をデッカ、あるいはフィリップスで収録したら、ひょっとすると大絶賛だったかもしれないと思うと、かえすがえすも残念ですね。

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