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ウィントン・マルサリス/スタンダード・タイム第1集

2009年12月16日 00時01分16秒 | JAZZ
 都合第6集まで続いたウィントン・マルサリスの「スタンダード・タイム・シリーズ」だが、1989年のこれがその最初のものとなる(個人的には、これらに先駆けてウィズ・ストリングス物として製作された「スターダスト」をこのシリーズの0番としたいところだが....)。メンツはマルサリスの他、ロバーツ、ハースト、ワッツという第2期マルサリス・バンドの面々、つまり「ライブ・アット・ブルース・アレイ」「Jムード」と同じ最強のワン・ホーン・カルテットである。この時期はある意味マルサリスがストレートにジャズしていた頃でもあり、音楽的には悪かろうはずがない....といったところだろう。しかも、このアルバムでは全面的にスタンダードを取り上げているという点が、すくなくとも私にとっては、非常にポイントが高い。今改めて振り返ってみると、この時期のマルサリスのアルバムは、本作に加えて、これに続く第2集、そして「ライブ・アット・ブルース・アレイ」の三作あたりにとどめを指すのではないか。ジャズ名盤集みたいなセレクションがあったとすると、この三作はそれにラインナップされる価値が十分にある傑作だと思う(だいたいこの人、アルバムを作りすぎたと思う-笑)。ハイライトとなる曲を拾ってみたい。

  ラテン・リズムとよくスウィングする4ビートを交互に使う「キャラヴァン」は、こねくり回した印象になる直前でオーソドックスなジャズに収まっているバランスがいいし、マイルスを思わせる中間部のインプロヴィゼーションの段取りもいいムードだ。「パリの四月」と「枯葉」は、この時期特有のテンポの増減がマルサリスらしいテクニカルさを感じさせるが、やはりスタンダード作品ということでジャズ的ムードを逸脱していないのがいい。私の好きな「グッドバイ」は、この曲にありがちな、情念だの哀感といった側面でみると、今一歩真に迫ってこないうらみはあるが、それでもここまで美しく洗練され、非の打ち所がないバラード演奏となっているのもあまり例がないだろう、ロバーツのゆらめくようなピアノ・ソロも良く、これはこれで十分に傾聴に値する名演だ。ガーシュウィンの「霧の日」と「ザ・ソング・イズ・ユー」は軽快で都会的な演奏。例によってテンポの増減させる部分があって、そこは妙にテクニカルだったりするが、まぁ、ここでは隠し味程度だ。あと、2ヴァージョン収録された「チェロキー」はどちらも2分余りで終わる短い演奏だが、短いからこそ、マルサリスのスタイリッシュで洗練された完璧なトランペットが凝縮されているともいえ、すべからく堪能できる演奏になっている。

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