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ウィントン・マルサリス/アップタウン・ルーラー組曲

2010年02月25日 22時42分42秒 | JAZZ
 「ソウル・ジェスチャーズ・イン・サザン・ブルー三部作」の中核をなす第2作。今回はゲストは前作のような大物ゲストなし、レギュラー・メンバーのみによる演奏になっている。もっとも、マルサリスとマーカス・ロバーツは前作のままだが、ベースがボブ・ハースからレジナルド・ヴィール、ドラムスがジェフ・ワッツからハーリン・ライリーへとそれぞれスイッチして、新たにサックスにトッド・ウィリアムスが入って、一応、形の上では以前の二管編成に戻っているのは興味深い(やがてどんどん編成は拡大していくことになるのだが)。なにしろ前作ではジョー・ヘンダーソンが参加していたこともあり、ブルースやディキシーへの先祖返りというコンセプトからすると、やはりサックスのブルージーな響きは不可欠と判断したのだろう。

 さて、本作の内容だがアルバム全体がひとつの組曲の体裁をとった作品になっている。マルサリスはこうした先祖返りコンセプトの作品を、何故か非常に大規模な作品でやりたがるクセがあり、これ以前には「ザ・マジェスティ・オブ・ザ・ブルース」があったし、その後は「ブルーインターリュード」とか「シティ・ムーブメント」など続々と、かつ規模を肥大させながら作り続けていくことになるのだが、これもそうした作品の「走り」のひとつのもいえるだろう。
 構成としては、アルバムの両端に「詩篇23」というややトラッドな香りのするコラール風の短いインストがテーマ曲のように配置されていて、トータル・アルバムとして体裁を整え、その間に比較的独立した7曲が挿入された体裁になっている。ライナーによれは、元々は「アップタウン・ルーラー」、「プレイヤー」、「ハーモニーク」、「ダウン・ホーム・ウィズ・ホーミー」の4曲で構成されるはずだったそうなのだが、アルバム制作に当たってよりトータルで大規模な形に拡大したのだろう。

 演奏は大半の曲がスタティックで洗練されたブルースである。この組曲の中核となるのは、「アップタウン・ルーラー」と「ダウン・ホーム・ウィズ・ホーミー」だろうが、後者はよくスウィングし、演奏のテンションも高いアルバムのハイライトを飾るに相応しい仕上がりなのだが、とにかくそこまでがやたらと長い。最初の「アップタウン・ルーラー」はまだいいとしても、それ以降、延々と似たような曲調、均質な演奏が淡々と続くので、真面目に聴こうとすると、いささか単調な感がどうしてもしてしまうのだ。やはり、当初のコンセプト通り4曲で、せいぜい2,30分くらいの分量とした方が、組曲としてもタイトな仕上がりになったのではないか、と聴くたびに思ってしまう。
 とはいえ、実はこのアルバム、深夜のBGMとしてさらりと流すのなら、実にハイセンスなムード・ミュージックではある。実際、昨年末から新年にかけての休み中、寝室での睡眠導入音楽としてこれがずいぶんと活躍した。なので、個人的にはけっこう愛着があるアルバムなのだが、それではあの生真面目なマルサリスはきっと喜ぶまい(笑)。

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