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WYNTON MARSALIS / Levee Low Moan

2010年02月26日 23時51分32秒 | JAZZ
 「ソウル・ジェスチャーズ・イン・サザン・ブルー三部作」の最終作。本作では前作のメンバーに、アルトサックスのウェッセル・アンダーソンが加わり、三管+ピアノ・トリオの6人編成になっている。多分、そのせいだろう、本作は前二作に比べると、まず音楽全体の重量感が増し、サウンドの色彩感や多彩さがぐっと広がった印象強い。それは、冒頭に収録されたタイトル曲のテーマ部分などを聴けば一目瞭然だ。一見、何気ないような落ち着いた響きに見せつつ、分厚い三管の響きの中でピアノやベースが複雑に絡みあう様は、実はかなり考え抜かれた色合いというかタペストリーがあって、良い意味で複雑なサウンド(隠し味満載というか)になっているのだ。マルサリスは本作の後、更に管を増強して七重奏団、そして八重奏団、やがてジャズ・オーケストラへと編成をどんどん拡大していくが、このあたりは彼の作曲家&編曲家指向みたいなところが良く出ていると思う。つまり、トランペッターとして演奏することもさることながら、音楽全体を存分にコンポジションしたい人なのである。

 アルバムは全部で5曲で、組曲スタイルでアルバムをきっちりかっちりまとめていた前作よりは、三部作の第一作「シック・イン・ザ・サウス」と似た感じで、7分から12分程度の曲が割と散文的に並んでいる。前述の通りタイトル・トラックはかなり重厚な響きに満ちた落ち着いたブルース、2曲目「Jig`s Jigs」はタイトル通りジグのデフォルメしたようなリズムの中、各種楽器が非常に多彩なソロを響かせる作品。3曲目「ソゥ・ディス・イズ・ジャズ、HUH?」もアンサンブル主体のスタティックな作品。4曲目の「イン・ザ・ハウス・オブ・ウィリアムス」は本作では一番、アーシーなブルースっぽさを見せつつ、比較的ダイナミックに進んでいく作品で、個人的にはアルバム中もっとも気に入った曲となった。最後の「スパーブ・スターリング」は冒頭のタイトル曲の意味深なムードの解決編とでもいえそうな曲で、この飄々として明るさはエリントン的ともいえそうだ。という訳で、本作は響きが多彩になったのが売りといえるが、どうも決め手になる曲が見あたらないのが難点かもしれない。個人的にはこの三部作の中では一番地味な印象だ。

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