Blogout

音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

バーバー 管弦楽作品集 第3巻/オールソップ&ロイヤル・スコッティシュ・ナショナルO

2010年04月13日 21時27分41秒 | クラシック(20世紀~)
・ヴァイオリン協奏曲
 協奏曲的な対立や競合というより、ゆったりとした空間を作り出すオーケストラの中で、ヴァオリンを自在に泳ぎ回るといった演奏。オールソップの指揮振りは相変わらず力感やシャープさといったものより、女性らしい細やかな神経を感じさせる指揮振りで、ふんわりとした柔らかなオーケストラ・サウンドになっている。なにしろ、曲がこういう抒情が勝ったものだけに、この指揮者の特質が良い方向に作用しているのだろう、特に第2楽章など水彩画を見るような美しさがあり、なかなかの好演奏だ。ヴァイオリンのジェームス・バスウェルは初めて聴く人だが、流麗で良く歌いつつも、よくコントロールされた歌い回しでオーケストラの良く調和した演奏になっている。

・バレエ組曲「思い出」
 どういう筋書きのバレエなのかは不明だが、この組曲は全体的にライトクラシック風な音楽で、気取ったレストランなどで流れていたら似合いそうな、上品でモダンなセンスが横溢した作品になっている。「ワルツ」はR.シュトラウスを思い切りあっさりさせたようなワルツで、「パ・ドゥ・ドゥ」は物憂げなムードに彩られたしっとりした作品。「タンゴ」は、新古典派風な乾いたユーモアがいいスパイスになった不思議な心地よさがある作品で、どれも極上の映画音楽を聴いているような魅力がある。残りのリズミカルな3曲もそれぞれ楽しい出来だ。それにしてもこういう音楽であったから、バレエの物語はきっと現代を舞台にした、ソープオペラ風のものであったに違いない。そういう意味でも音楽が多少ハリウッド風なるのは当然というべきなのだろう。

・弦楽セレナード
 疑似バロック風な衣を纏ったメランコリックな音楽。タイトルやスタイルからしてチャイコの同曲に影響を受けたのは明らかだが、意外にもバーバー風な抒情はあまり出てこず、モダンで響きが随所に聴かれる。第一楽章は第一主題はなかなかの抒情味だが、他の主題はけっこうバーバー流の「変な感じ」がある。第二楽章は夜想曲風のしっとりした音楽だがやはり、新古典派風なシニカルなところも感じられる、バルトークなどにも近い。第三楽章は前半は擬古典的な舞踏曲風の明るい音楽で、スケルツォとフィナーレを合体したような作りになっているのだろうが、トリオに相当するところでやはり変な感じになる。ちなみに本作は作品番号1、つまりバーバー最初の作品である。こんな小規模で比較的軽い曲でデビューしたというのは彼らしいというべきなのだろうか。

・シェリーによる一場面のための音楽
 「シェリー」が何を意味するのは不明だが、出典元が何もクレジットされてないことから大規模なバレエなどから抜粋した音楽ではなく、単体で作曲された一種の交響詩のようなものだと思われる。音楽はほの暗い瞑想的な導入から、次第にミステリアスな音楽へと発展していく。中間部は瑞々しい抒情はバーバーらしいものだが、そのピークでダイナミックな後半に雪崩れ込む構成になっている。かなりティンパニのドロドロ、金管の咆哮などおどろおどろしい感じだが、この部分は何故かあっという間に終わってしまい、再び瞑想的な音楽で幕を閉じる。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ⇒ Tweets of 2010.04.12_1 | トップ | ⇒ Tweets of 2010.04.13_2 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

クラシック(20世紀~)」カテゴリの最新記事