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バーバー 管弦楽作品集 第1巻/オールソップ&ロイヤル・スコッティシュ・ナショナルO

2010年03月22日 14時11分05秒 | クラシック(20世紀~)
 ナクソスのシリーズ「アメリカン・クラシックス」の一枚。さすがにバーバーは大作曲家という位置づけなのか、主要な管弦楽曲を全てフォローする勢いで、現在まで5,6巻までいっているようだ(ついでにピアノ曲集も購入した)。これはその第1巻である。指揮は全巻を通じて、最近ぼちぼち女流指揮者では出世頭ともいえるマリン・オールソップ(なにしろ、メジャーオケのボルティモア交響楽団の音楽監督というから凄い)、オケはヴァレーズ・サラヴァンデのサントラでお馴染み、ロイヤル・スコッティ・ナショナルッシュ管弦楽団である。先日聴きながらツイートしたログを元に収録曲をメモしておきたい。

・序曲「悪口学校」
 スラトキンとセントルイス響の演奏を聴いたばかりだが、かなり落ち払った風情で演奏している(逆に言えば、スラトキンはかなり推進力と迫力に富んだ演奏だったということになる)。冒頭の賑々しい第一主題の後に登場する田園風景が広がるような第二主題では、なかなか詩情溢れる演奏を展開。先入観かもしれないが、木管の歌わせ方、バランスとなどの美しさは女性ならではのもの....なのかもしれない。

・交響曲第1番
 こちらはかねてから注目していた交響曲。スタンダードな交響曲の4楽章を、例えばシェーンベルクの室内交響曲みたいな感じで、1楽章にまとめたスタイルをとっている模様。第1部は交響詩風なけっこう劇的な風情で進み(非常にアメリカ的....というか、ハリウッド映画っぽい)、第2部はプロコかショスタコかといった感じのモダンな軽快なスケルツォで間奏曲風に進む。木管を中心した楽器のリレーションがかなりテクニカルでおもしろい。
 第3部はほの暗い抒情が横溢するバーバーらしい音楽。冒頭、クラリネットのソロにハープが絡むあたりの美しさは絶品。弦を中心した半音階風の場面も良く、ハイライトではRシュトラウスの「ツァラトゥストラ」ばりのドラマチックな展開となる。第4部はパッサカリアのようだ。金管を重層的な響きを中心に嵐の如く進み、これまで登場したもろもろの主題が再現するあたりはなかなかの構築度である。

・管弦楽のためのエッセイ第1番
 これもスラトキンとセントルイス響の演奏を聴いたばかり。全体に入念というか、かなり慎重な語り口で演奏を進めている印象で、重厚さはほどほどだが、この曲のほの暗い抒情みたいなところはいいムードで演奏している。ただし、途中スケルツォ風になる動的な部分など、決して重いわけではないのだが、いささかもっさりした感なくもなく、この部分の複音楽的なおもしろさは、今一歩という感がある。

・交響曲第2番
 作曲者自ら破棄したらしい作品。第一部はドラマチックで激烈な部分とバーバーらしい民族的な鄙びた部分が複雑に交錯する。作曲家が語りたい音楽の風景のようなものは、たぶん第1番のそれとほぼ同じような世界だと思うが、こちらの方がより響きがモダンだし(新古典的な響きが随所にあね)、とっ散らかっている感はあるものの、戦争交響曲的なオーケストラ・ピースとしてはなかなかの迫力。
 第2部はバーバーらしい田園の風情に心地よい冷気のような抒情をプラスしたような音楽。でも、時に無調にも近寄ったりするのは、作曲した1944年という時代故なのかもしれない。そういえば「管弦楽のためのエッセイ」も1942年に発表された第3番ではかなりモダンな音楽になっていた。第3部はバルトークのオケコンの最後みたいな派手な音楽で、金管も活躍してなかなか爽快。

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