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バーバー 管弦楽作品集 第5巻/オールソップ&ロイヤル・スコッティシュ・ナショナルO

2010年04月27日 20時45分39秒 | クラシック(20世紀~)
・ノックスヴィル~1915年の夏
 テネシー州にあるノックスビルという街で過ごした子供の頃の思い出を綴ったジェイムズ・エイジーの詩にバーバーが音楽をつけた曲とのことである。訳詞をみると、原典はノスタルジックな散文詩のようなものであり、音楽の方もそれに沿ってソプラノをリリカルな美しさとオケのゆったりとしたサウンドを生かし、あまりドラマチックなところはないが、ヴァイオリン協奏曲と相通じるようなノスタルジックな抒情を随所に見せた仕上がりになっている。
 ソプラノの少年という設定なので、歌そのものが非常に清涼感を湛えていて、そのリリカルな美しさは歌手にとって腕の見せ所になっているのか、アメリカ人のソプラノはこぞって歌いたがる曲でもあるようだ。バーバーは時にシリアスで晦渋な面も見せるが、本作はそういう部分があまりなく、大変美しくかつまた聴きやすい作品になっている。訳詞を読みながら聴くと、さらにその美しさを味わえそうな曲でもある。

・管弦楽の管弦楽のためのエッセイ第2番。第3番
 第2番は冒頭展開される夜明けの田園風景を描写したような冒頭が、第1番に負けず劣らず魅力的だ。しかも、管弦楽はより巧緻にもなっていている。ただその後の展開は、やや一筋縄ではいかないような複雑さのようなものがあり、漫然と聴いているとどこにいるのか分からなくところがある。オールソップはいつも通り、冒頭部分などはふっくらとして実に美しい丹念な演奏を聴かせている。
 第3番は以前にも書いたとおり、作曲時期がこれだけぐっと後年になるためか、抒情的に曲が開始された2曲と異なり、開幕でいきなりリズムが乱舞し、パーカスの鋭い響きが随所に聴こえてくる。もちろん、前の2曲の線ともいえる田園風な音楽もやがて聴こえてはくるのだが、どことなく苦みが感じられる。演奏の方は、鋭角的なリズムがフィーチャーされた曲故、以前聴いたスラトキンとセントルイス響の演奏に比べると、この演奏はややおっとりと構えている感じで、約2分も長くかけて演奏している。それなり克明な足取りがあるのだが、やはりリズムのシャープさは多少後退気味という感じがする。

・祝典トッカータ
 この曲はオーマンディとフィラデルフィア管を想定して作曲されたらしい。なるほどあのコンビに相応しい豪快でパワフルなオーケストラ・ピースになっている。しかもこの曲にはパイプ・オルガンが加わっており、パイプ・オルガン特有に荘重でややエキセントリックな響きがスパイスとなって、ユニークな響きが充満した作品にもなっている。
 曲はトッカータらしくダイナミックなリズムを使った動的な部分とバーバーらしい鄙びた風情の音楽が交互に出てくる感じで進むのだが、中間部などオルガンのヴィルトゥオーゾ的なフレーズが登場するし、オーケストラの方も打楽器、金管を動員し、華麗なオーケストラ・サウンドを満喫できる仕上がりだ。ラストなどまるで「スターウォーズ」のように締めくくられ、かなりのハリウッド調といった風情だが、聴きどころになっているのは間違いない。

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