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バーバー 管弦楽作品集 第2巻/オールソップ&ロイヤル・スコッティシュ・ナショナルO

2010年03月27日 20時16分40秒 | クラシック(20世紀~)
・チェロ協奏曲
 イッサーリスとスラトキンが組んだものに続いて二つめの演奏。この曲はバーバーにしてはかなり大きな構えの作品で、それほどガチガチにシリアスな訳でもないが、それなりに晦渋さも高めの作品になっている。またチェロにはかなり特殊な奏法らしきものも要求しているようで、聴き慣れない音色が随所に出てくる。第1楽章は民族風に始まりが、エキゾチックな旋律なども織り交ぜて進行するが、一筋縄ではいかない複雑さがある。8分過ぎからのカデンツァはかなりモダンなテクニカルさがある。第2楽章は、バーバーらしい抒情に満ちた楽章で、晦渋な前楽章に比べればかなり聴きやすい仕上がり。ソロ楽器がチェロなせいか、主題にせよサウンドにせよ全体に地味ではあるが、落ち着きある音楽で安らかに聴くことができる。
 第3楽章はかなりダイナミックな音楽で、さぞやチェリストにとっては難しいであろう、テクニカルなフレーズが頻出する。全体は彼の交響曲などにも共通するダイナミックな感じだが、やや無調的な響きも随所にあるのはヴァイオリン協奏曲と似ていなくもない。ただし、こちらは10分近くあるので、一気呵成という訳にはいかず、また、あちこち寄り道しながら進んでいくようなところがあるので、ヴァイオリン協奏曲のような突き抜けた感はイマイチだが。ちなみにチェロはウェンディ・ワーナーという女流で、彼女のセンスなのか、オールソップなのか、よくわからないが、イッサーリスとスラトキンのものに比べ、最終楽章は1分近く長い演奏になっている、

・バレエ音楽メディア
 こちらはバレエ音楽からの組曲、スラトキンのアルバムには「メディアの瞑想と復讐の踊り」というタイトルの曲が収録されていたが、この組曲の後半から更に改訂抜粋されて作られようである。バレエの内容は不明だが、なんとなくサロメを思わせる古代風な趣に感じた。1曲目の「パロドス」は古代風なエキゾチックなリズム(シロフォンの固い響きが印象的)と旋律でもって、古代風の雰囲気を盛り上げる。第2曲「コロス、メデイアとイアソン」は、情景風な音楽で乾いた木管の響きと弦が絡みあってじわじわ進行する。第3曲は「若き王女/イアソン」は、スケルツォ風なリズムにのって、田園的でファンタジックな音楽が展開、後半はファンファーレ風な音楽だ。
 第4曲「コロス II」、第5曲「メデイア」そして、第6曲「カンティコス/アゴニアス」は、「メディアの瞑想と復讐の踊り」となった部分と思われる。「コロス II」はタイトル通り瞑想風な音楽で異国風な音階が心地よいリラクゼーションを誘う。「メデイア」はドラマのハイライトに向けじわじわと盛り上がっていく、後半は嵐のような展開となる。「カンティコス/アゴニアス」は、新ウィーン風な無調音楽。7曲目の「エクソドス」は再びファンファーレ風な音楽で金管が活躍。全曲でこれがラストに来るのかどうかは不明だが、冒頭の主題なども回帰して、大規模作品として体裁を整えている。

・弦楽のためのアダージョ
 7分50秒弱でサクサク進む、ほとんど胃もたれしない演奏。深刻味も悲愴感もそこそこだが、ここではむしろ幾重にも絡み合う、線が織りなす美しさを全面に出しているようだ。とにかくすっきりとした演奏で、ともすればザッハリッヒな感じになるところを、ここではロイヤル・スコティッシュのややくぐもった柔らい響きが、すっきり感を中和する方向で作用して、全体としてはいい感じの仕上りになっている。バーンスタインのようなこってりした演奏もいいが、これはこれで悪くないと思った。

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