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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
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WALLACE RONEY / Prototype

2005年05月29日 21時54分14秒 | JAZZ
 アルバムは数枚聴いただけですが、ウォレス・ルーニーっていうと、トニー・ウィリアムの庇護下で成長した、マイルス風なトランペットを凄いテクニックでもって吹く秀才ってイメージでした。ただ、非常に優等生ではあるんだけど、例えばウィントン・マルサリスのような学究的というか、考えすぎなところがなく、「マイルスに似てて何が悪い、あれはもはやひとつのスタイルだ」みたいなある種の開き直りを感じさせつつ、豪快にマイルス風なフレーズを連打するのがかえって潔くて気持ちよかったです。また彼の豪快さっていうのは、割と「ジャズ的なあざとさ」というか、ある種職人的ラッパ吹きとしての潔さいなものも感じさせ、そういうところも良かった。

 ところが、昨年出たこのアルバムを聴いて、少なからず彼のイメージがかなりかわりました。このアルバムを表層的に語ると打ち込みリズムや各種シンセ等を多用した非常にモダンな今風の4ビート・ジャズということなるんでしょうが、なにしろこの音楽におけるウォレス・ルーニーにトランペットは、音楽におけるひとつのパーツにすぎないのです。もちろん出番は多くありますが、やはり強く感じるのは、彼のサウンド・クリエイターもしくブロデューサーとして存在感でしょう。前述のとおり私は彼のことは、職人的なトランペッターとして認識してましたから、「へぇ、実はこういう音楽やりたかった人だったんだぁ」とか妙に感心してしまった訳です。

 さて、このアルバムは先も書いたとおり、打ち込みリズム、各種シンセの白玉、SE風な音が入ったかなり今風でサイバーな音づくりですが、そこに土俗的なアフリカを感じさせる複合リズムとシグナル風なモチーフなどが複雑に混ざり混み一種独特な世界となっています。1曲目の「サイバー・スペース」や2曲目「シャドウ・ダンス」はバスクラリネットやエレピなども入ってかなり、同じマイルスっぽいといっても、こちらは「ビッチズ・ブリュウ」的な世界といえるかもしれません、アルバム最後の3曲もそういう色彩が強いです。なので、このアルバムをキャッチ風にいえば、「サイバー空間に再現されたビッチズ・ブリュウの幻影」あたりが当たらずともなんとやらという感じでしょうか....。ともあれこのアルバム。この半年間くらい、車やiPodで、意外なほどよく聴くアルバムになっています。
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