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諸井誠/ピアノ名曲名盤100選

2010年04月03日 23時02分26秒 | Books
 本棚をあちこち探していたら懐かしい本が出てきた。マコトニオ・モンロイこと諸井誠が書いた「ピアノ名曲名盤100本」である。発行年月日をみると昭和55年6月20日とあるから、調度私がクラシックに耽溺していた真っ最中だった21歳の時である。これを出した音楽之友社は、当時オン・ブックスという名の新書による音楽入門シリーズを多数出していて、これもその一冊だったと思う。
 諸井誠は諸井三郎のご子息で当時気鋭の作曲家だったのだが、なぜだかこの手の文筆業も盛んで、オン・ブックスでは「これがクラシックだ」とか「名曲名盤100選」の交響曲編なんかもあったし、他社でも多数の新書による入門書の類を書いていて、私もその大半は購入して愛読していたような記憶がある。そもそも私が諸井誠の文章を読んだのは、中学の時に購入した「これがバッハだ」というCBSソニーから出た2枚組のバッハ入門アルバムのライナーだったと思うのだけれど、「群盲像をなでる」をキーワードにバッハを指南した解説はとてもわかりやすく、バッハが身近に感じられたものだった。

 さて、この本を探してみようと思ったきっかけは、このところ聴きまくっているリストのピアノ・ソナタである。確かあの本にはアルゲリッチの弾くリストのピアノ・ソナタを、なんだか膝をうつような文章があったような記憶があり、それがなんだったか、無性に確かめたくて、探してみたという訳だ。で、読んでみると、くだんのフレーズはこうであった。曰わく『アルゲリッチのような情念的、発散的な演奏は、七面倒くさい複雑な構造を感情の推移に還元して、理屈抜きに、この曲をショパンの幻想曲とか、バラードのように楽しませてくれることだろう』。先日、私がアルゲリッチのところで、くどくどと素人臭く書いた趣旨というのは、まさしくこういうことだったのだ。しかも短くて簡潔、さすがである。ひょっとして、私がアルゲリッチの演奏を聴いた感じた印象は、実はこの文章を私が無意識に覚えていて、それが影響しているかもしれないと思うくらいだ(笑)。
 ともあれ、この部分をきっかけにブラームスだのチャイコだの項目をあれこれ読んでいくうちに、当ブログで書いているいくつかの駄文は、ずいぶん諸井誠氏の文章を、無意識に頂いしまっているところが、実に多いなとも感じた次第だ。恥じ入るしかないのだが、それだけ20代前半に読んだこの本の影響が大きかったということでもあるのだろう。

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