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サラ・ヴォーン/イン・ザ・ランド・オブ・ハイ・ファイ

2006年02月19日 00時38分23秒 | JAZZ
 エラ・フィッツジェラルドと並ぶジャズ・ヴォーカルの女王サラ・ヴォーンには傑作が沢山ありますが、これもその50年代中盤のモノラル期にマーキュリーに残した傑作で、個人的にも特に好きな作品です。知名度の高い作品ばかりを取り上げ、ビッグ・バンドが伴奏に回っている点などからすると、比較的ポピュラー寄りなボーカル・アルバムかと思われがちですが、ここでのサラ・ヴォーンはほとんどライブと思わせるようなスウィング感を縦横に発揮していますし、スキャットをはじめてジャズ的なインプロバイズという点でも傑出しています。おまけにキャノンボールのアルトという豪華なオマケまで付いて訳で、個人的には「もうたまらん」的なジャズ・ヴォーカル・アルバムなんですね。

 そんなこのアルバムのいいところが、1曲につまっているのが6曲目の「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」ということになるんでしょうか。実はこの曲2分半しかないのですが、豪快にスウィングするビッグ・バンド・サウンドをバックに、サラがワン・コーラス歌うと、すぐさまキャノンボールのアルトが登場、チャーリー・パーカーを思い起こさずにはいられない歌いまくるフレーズを披露して、今度はそのままサラのスキャットとキャノンボールのソロの掛け合いでホットに展開するあたりは、私の考えるジャズ的な音楽的感興のひとつの理想像という感じで、ジャズのおいしいところがつまっているのです。いや、今聴いているところなのですが、やっば最高、この4倍は聴かせて欲しいという気がするほどです。ちなみに「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」といえば、エラの十八番な訳ですが、このスキャットを聴くとエラに全く負けていません。さすがです。

 他の曲も押しなべて出来が良く、この時期のサラがもっていた天衣無縫としかいいようがないヴォーカルと、ダイナミックにスウィングするアニー・ウィルキンズのビッグ・バンドがぴったりと合って、しばし幸福な時間を過ごさせてくれます。「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」と同傾向なアップテンポな作品というと、3曲目の「チェロキー」あたりが楽しめます。ここでもキャノンボールがこれ以上ないというくらいに曲のムードにあった都会的なソロを披露していて聴き物。一方、ビッグ・バンド・サウンドとサラが絶妙に絡むのが、5曲目「ドント・ビー・オン・ジ・アウトサイド」や11曲目の「ホワイ・キャント・アイ」あたり。あと2曲目「スーン」もちょっとアーシーなスウィング感もなかなか....という訳で、やっぱこのアルバム大好きです。

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