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エルガー ヴァイオリン協奏曲/キョンファ,ショルティ&LPO

2009年03月18日 23時02分23秒 | クラシック(20世紀~)
 ショスタコ、コルンゴールドに続いて、ここ数日挑戦中なのがエルガーのヴァイオリン協奏曲である。エルガーという作曲家は英国出身ということもあって、一応ブリティッシュ・ロックでもって音楽に開眼した当方にとっては、詳しい事情は省くがとても興味ある存在だ。しかも、エルガーという人は保守的な英国らしく、20世紀に入っても当時の最新モードである12音だの無調だのというモダンな方法論は採用せず、ひたすら品格のある重厚な作風で、節度をわきまえたブラームス的な情緒にベースにしたような作風となればなおさらである(ちなみに英国の作曲家はこの手の保守系が多く、デューリアスやヴォーン・ウィアムスなどもそうした作風だったと思う)。

 そんな訳で、私は20代の頃、彼の代表作である「エニグマ変奏曲」を、確かスコフスキーとオーマンディの演奏で聴いてすっかり気に入ってしまい、それでは....とばかりに、彼の交響曲の方にも挑戦したのが、「エニグマ変奏曲」の親しみやすさに比べると、これが実に難物だったのだ。ブラームス風な堅牢な構成に、あまりに感情を抑圧しすぎて、よくよく聴かないと感得できないロマン派的ムードなどなど、とにかく渋い、あまりに渋い曲だったのである。確か記憶によれば、私は交響曲の一番をずいぶん聴き込んで、「あぁ、もう少しだ、あと何回か聴けば、きっと気に入る....」くらいまでいったと思う。だが、どうしてそうなったのか、よく覚えていないのだが、そこで終わってしまったのだった。以来、エルガーといえば、「エニグマはいいけど、あとはちょっとねー」みたいなイメージになってしまったのである。

 以来、実に久々のエルガーである。しかも曲は晦渋かつ長大をもって知られるヴァイオリン協奏曲である。ヴァイオリン協奏曲史上、演奏時間が50分に迫ろうかという作品というと、これ以外には数えるほどしかないという程の巨大さ、また、エルガー自身がヴァイオリニスト出身だったせいもあって、これを弾ききるテクニックもすさまじく高い(ネットで調べたら「空前の難曲」という形容をみかけた)....ということで、私が20代の頃はこの曲はあまりレコードやCDもなく、作品そのものエルガーの事大主義的な面が裏目に出た空疎な仕上がり....のようにも形容されていた作品なのである。演奏はチョン・キョンファのヴァイオリン、ショルティとLPOが伴奏を務めるものを聴いてみた。多分、70年代にはこの曲のスタンダードな演奏だったと思う。

 目下、あまりあれこれ考えずに自宅やWalkmanで繰り返して聴いているところで、たぶん十数回くらいは聴いたのではないかと思うが、案の定、実に晦渋である。ショスタコのようなトリッキーなおもしろさ、抉るように沈痛な表情がある訳ではないし、コルンゴールドみたいな甘さももちろんない。とにかく全体をがっちりと構成してあるのはわかりるのだが、聴きはじめて、「今、どこだっけ?」と、すぐに迷子になってしまう。まずテーマがすすっと頭にはいってこない、構成で例えばソナタ形式に展開部だとか、再現部みたいな区別が容易に判別できない。下手をすると、快速調な第一楽章なんだか、緩徐楽章である第二楽章なのかもわからなくなってしまうといった具合だ。

 つまり、もう笑うしかないくらいお手上げという感じなのだが、それでも人間努力はいつか実るものだ(努力なんてもんじゃねーか、ただ聴いてるだけだもんな-笑)。ここ数回くらい、ようやく-仄かにだが-テーマだの、曲のメリハリだのが見えてきたような気もするし、ヴァイオリンで超絶的なテクニックを駆使している部分なんてところも楽しめそうな気分がしてきたのは収穫である。この曲、ヒラリー・ハーンのSACDも購入してあることだし、もう少しがんばって聴きこんで、なんとか物にしてみたいと思う。これが好きになれば、きっと交響曲だの、チェロ協奏曲、セレナードなんてところもイケるようになるかもしれないし....。

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