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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

STAX SR-404 LIMITED (EarSpeaker)

2010年01月03日 23時22分06秒 | PC+AUDIO
 大分前にも書いたけれど、もうここ十数年くらい私が使っているヘッドフォンはSTAX の「Lambda Nova Signature」である。SR-007に浮気したこともあったけれど、あまり長く続かず、結局はこれに戻して現在に至っている。このヘッドフォンは私にとって、もう標準機のようになっているから、いまさらメインのシステムで使うヘッドフォンを他のメーカーにものに替えるつもりもないが、市場ではLambda Nova Signatureは既にSR-404という旗手に代を譲っており、個人的にはこの後継機種が実は何年も気にかかっていたのだ。しかしながら、Lambda Nova  Signatureについては、予備機としてもう1台あり、実はSR-αPRO、SR-ΣPRO、SR-003 SR-007まで、いまだにしっかり所有していたりするから、ヘッドフォンについては、もうこれ以上は増やしたくないということで、見送りを決め込んでいたのである。

 さて、この「SR-404 LIMITED」は、機種名からも分かるとおり、SR-404をチューンナップした1000台限定のスペシャル機である。内容的には銀メッキハイブリッドケーブル採用、本革イヤーパッドを搭載というのが売りらしいが、そんなことは割とどうでもよく(笑)、個人的にはようやくSR-404を購入する決定的な理由を出来たという感じであり、先の年末、目減りは激しいものの(笑)、とりあえずボーナスが出たのを幸いに思い切って購入したという訳だ。お値段は5万3千円(SR-404より約17kも高いぞ!)。色がブラウンから精悍な黒となり、本革のパッドの装着感はなかなかだが、うーん、たかだかヘッドフォンごときでにこの値段とは、不況下にいい買い物をしてしまったな。
 この年末年始はもっぱら録りため&買いためていたクラシック・ソースや映画ばかり観ていたせいで、ヘッドフォンで音楽を聴こうという、深夜になると、たいていこちらが酔っぱらっているせいで、勇んで購入したはいいが、実はあまり聴き込んでもいなかったのだが、昨日あたりからとりあえずLambda Nova Signatureに替えて、これで音楽を聴いている。

 ここ数日聴いた印象としては、基本的な音の出方というかキャラクターは、Lambda Nova Signaturesとほとんど変わらないと思う。ただし、高域の繊細はさすがに時代を趨勢をしてか、高域をぐっと伸ばした感じであり、SR-404 LIMITEDの方が高域に絹ごしのような滑らかさがある。ホールトーンがたっぶりと収録されたクラシックソースや編成の少なめのジャズなど聴くと、ホールやスタジオの鳴りが実によくわかり、弱音もより明瞭に聴こえてくるような感じだ。ついでに書くと、これはSN比が相当高いから....という言い方もできると思う。オーバーに例えると、Lambda Nova Signatureから、これに替えると、調度CDからSACDに替えたような感じで、エッジを明確にするのではなく、情報量と静けさが向上した結果、楽器の輪郭がたくまずして明瞭になったような感じ...とでもいったらいいかもしれない(あまり信用しないように-笑)。なまじキャラクターがLambda Nova Signatureと同じなので、あれをそのままリファインしたようなこのヘッドフォンの場合、あっという間にレギュラーの座を奪いそうな気配である。
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レオンガヴァレロ 歌劇「道化師」/カラヤン&ミラノ・スカラ座O

2010年01月03日 18時54分08秒 | クラシック(一般)
 ついでに録りためてあった「カラヤンの芸術」からもう一本。レオンカヴァルロの「道化師」である。私はこのオペラについては、漠然と「ヴェリズモ・オペラ」の先鞭をつけた作品くらいの予備知識しかなかったのだが、「ばらの騎士」のように3時間も上演時間のかからない、1時間15分ほどの作品ということもあって、「こういうのを観ようという気も正月の今くらいしかなかろう」と、気楽な気分で観始めた。もっとも、Wikiによれば『妻である女優の浮気に怒り、次第に現実と芝居との区別がつかなくなり舞台上で殺人を犯す老座長カニオの悲哀を描いている』といういかにもイタリア臭い愛憎劇なことが分かったので(そらーそーだよな、だから「ヴェリズモ・オペラ」なんだろうし)、始まってすぐさま「中身はあまり気楽じゃないかもしれんねー」とかちょっと後悔もしたのだが(笑)。

 第1幕はまず道化師の口上から、街にやってきた道化師一座を迎える喧噪、一座の女優にネッダに言い寄るトニオ、ネッダが愛するシルヴィオとの二重唱(これは美しい)と進んでいく。「カルメン」などでもそうだったが、カラヤンの演出はテレビ的なショットを軽快に積み重ねていくスタイルで、ほとんど舞台であることを感じさせない独特のものだ。妻の不貞を知った座長(ジョン・ピッカーズ)がそれでも道化師を演じなければいけない苦悩を歌った部分もドラマチックな美しさがある。
 第2幕は劇中劇がメインとなり、徐々に現実と劇を混同しはじめる座長のカニオが、やがてネッダを殺害するところがハイライトとなる。第1幕の後半と同様、ジョン・ピッカーズが重厚な歌と演技でドラマチックに演じている。オペラブッフェ的な音楽から次第にシリアスな音楽に変わっていくあたりのプロセスは(ここも歌手のアップを交互に切り替えていく非常にテレビ的演出だった)、カラヤンらしくオケを雄弁に語らせ、劇のいっそう迫真性をもたせている。

 という訳で、観終わって感じたのは、この種の情念に満ちた不倫愛憎劇でもって、どちらかの死で終わるカタルシスみたいところは、大昔のイタリア映画なんかでもお馴染みのパターンだが、このオペラにもそうした「イタリアっぽさ」を感ぜずにはいられなかったといったところである。ちなみに、「道化師」と並ぶヴェリズモ・オペラの双璧である、マスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」も「カラヤンの芸術」でオンエアされたものを録画してあるのだが、こちらはどんな内容なのだろう?。
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R.シュトラウス 楽劇「ばらの騎士」/カラヤン&VPO 他

2010年01月03日 15時23分24秒 | クラシック(一般)
 しばらく前にNHKのBSのプログラム「カラヤンの芸術」というシリーズ(フィルム時代に残した彼の映像が大量にオンエアされた)での1本。カラヤンが振るオペラで十八番といえば、なんといってもR.シュトラウスの「ばらの騎士」か「こうもり」だろうが、これはほとんど幻と化していた1960年のザルツブルク祝祭大劇場の杮落とし公演を映像である(DVDでも出ているようだ)。
 私はそもそもR.シュトラウスが苦手の部類だし、この「ばらの騎士」もLD時代に一度挑戦したことがあったのだが、3時間を越える長さや艶笑劇風な雰囲気に違和感を感じ、その良さがさっぱり分からないまま、途中で放棄してしまったことがあったのだが、これだけ「音楽的お膳立て」が豪華絢爛に揃った演奏なら話は別....とばかりに録画してあったものを、新年ということもあり、こちらの気分がゆったりしている今なら(笑)、「あれから大分年月もたったことだし、存外楽しめるかも」という期待を込めて観てみた。

 舞台は非常に豪華である。1960年の舞台の映像化だが、コンサートの中継というより、明確に映画化という意図した作品なので、ライブソースに併せて映像は別撮りしたらしく、こと映像に関してしては専門のスタッフが腕をふるい、カメラ・アングルや構図など、実に完成度の高い仕上がりになっている。とにかく落ち着いて観ていられる。少なくとも、後年カラヤン自ら演出したものなどに比べれば、スタンダードな良さに満ち満ちていることは確かだ(モノラルだが音質も非常に良好で、この時期のカラヤンらしく実に俊敏にR.シュトラウスの音楽を演奏しているのもよくわかる)。
 出演陣もこれも十八番なシュワルツコップの元帥夫人を筆頭に、オットー・エーデルマン、アンネリーゼ・ローテンベルガー、クルト・エクヴィルツ、ジュゼッペ・ザンピエーリなどなど、ちょい役ですら、今では「伝説の人」が続々と出てくるのは楽しい。有名なシュワルツコップの元帥夫人は、なるほど「若い男にうつつを抜かしているはいるが、そろそろ自らの寄る歳を感じないではいられない」という微妙な設定を実に巧みに演じている。第一幕のモノローグ以降など、一歩間違えば「単にお盛んな年増女が何を気取ってるんだ」みたいな感じないでもないと思うのだが(笑)、その高貴な容姿といい、凜とした歌唱といい、ほとんど下世話な雰囲気を感じさせず、微妙な女心を格調高さを湛えているのはさすがで、やはり十八番なだけはあると納得。また、ローテンベルガーの溌剌としたゾフィー役もチャーミングで好印象、エクヴィルツのスケベ心と俗物根性満開のエーデルマン役も楽しい。

 ただ、まぁ、おとそ気分で漫然と観ている分にはいいんだけど、これを存分に楽しめたかといえば、やはりそうでもない。第1幕の後半や第3幕のラストの哀しさなど、確かに心に染みるもの美しさがあるし、第2幕の銀のばらの贈呈の場面と二重唱だとか有名なワルツの場面などは楽しめたが、とにかく長い。音楽が時に瀟洒過ぎて「もう、ごちそうさま」みたいなになってしまうこともしばしばだった。やはりこれだけ古典的な舞台設定に、この妙に豊満な響きな音楽つくと、ちと違和感がないでもない感じか....まぁ、R.シュトラウスのマジックが効かない私故の印象なのかもしれないが。
 それにしても、このストーリー考えてみれば凄い。表向きモーツァルトの時代の設定でありながら、基本的には「若い男が逢瀬を重ねる人妻が、相手となる男が他の若い女と結ばれるのをお手伝いして、自分はそろそろ恋愛の現役を引退する年齢だと感じる」みたいなものだろうが、ドラマはいきなりダブルベッドで始まっちゃうことではあるし(笑)、ベルクの「ルル」みたいなエグさとは無縁だが、やはりこういう「苦み」というのは、これで20世紀のオペラゆえの味だろうと思った。
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