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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

An Evening Of FOURPLAY <vol.1>

2010年01月04日 23時12分48秒 | JAZZ-Fusion
 1993年のFourplayが全盛期のLiveDVDである。1993年といえば、彼らの最高傑作の一枚である「Between the Sheets」が発売された年だが、おそらくこのアルバムの発売に併せたパフォーマンスを収録したものであろう。1993年だからギターは当然、ラリー・カールトンではなくリー・リトナー、いつもの3人の他には、バックに元EW&Fフィリップ・ベイリー、リトナーの作品ではよくクレジットを見かけるフィル・ペリーの顔も見える。会場は映像の様子からして、どこかの大きめのスタジオを使い、そこに少数のオーディエンスを入れているのだろう。こういうスタイルは大昔観たチック・コリア・アコースティク・バンドのライブなんかもそうだったし、この他にもジャズやフュージョンのライブ・ヴィデオというけっこう多いような気がするのだが、ジャズの場合、狭いクラブに機材を持ち込むより、いっそのことスタジオに客を呼び込んでしまい、照明でも工夫すれば、大して変わらんだろ....とったところなのだろうか。

 さて、問題のパフォーマンスだが、実に素晴らしいとしかいいようがない。ライブだからして、各人のソロ・パートは当然スタジオ盤よりたくさんフィーチャーされているし、ライブらしいノリも横溢しているが、本編部分ではスタジオ盤と同様なストイックな端正さをきっちり保持しているのは意外だった。こういうジャズ・ミュージシャン達のライブだから、スタジオ録音のようなタイトさは後退させても、当然ソロ・パフォーマンスを優先させているのだろうと思っていたのである。1曲目に収録された名曲「Chant」はほぼスタジオのアレンジをなぞっているし、2曲目の「Monterey」は冒頭でリトナーのソロがフィチャーされるものの、本編は意外にもオリジナル通りに進んでいく。まぁ、それだけきっちりとアレンジされていた曲ということなのかもしれないが....。
 3曲目「101 Eastbound」と4曲目「Midnight Stroll」では、ふんだんにソロ・パートが出てくるが、伸び伸びとソロをとっているようでいて、きっちりとフォープレイ的な、スカスカだが妙に質感が高く、饒舌ではないが、各々パートが存在感のアンサンブルから、あくまでも逸脱していないバランスで行っている点がいい。ついでにいえば「101 Eastbound」のイントロで見せる、ちょっと遊んだグルーブ感など、まさに超一流ミュージシャン達のみが持つ、以心伝心の凄さを見せつけてくれる。

 5曲目「After The Dance」はフュージョンというより、もろにソウル風な作品でここではフォープレイの4人はバック・ミュージシャン的スタイルで、スタジオ盤同様練りに練った黒光りするようなアンサンブルを披露している。ラストの「Bali Run」はフォープレイ(というかボブ・ジェームスというべきかも)名曲中の名曲だが、ここでもほぼスタジオに忠実な演奏だ。もっともスタジオ盤にあったドラマチックなシンセ・オーケストレーションを、ボブ・ジェームスひとりで全てを再現できないので(ヤマハのMIDIピアノという多飛び道具でひとりユニゾンしているのがボブ・ジェームスらしい-笑)、その分リトナーとイーストのユニゾン(ご両人になんという余裕の表情!)で見せ場をつくってカバーしており、これはこれでまた一興....という訳で、第1部を見終わったところだが、第2部は明日の夜の楽しみにでもしておこうか。
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ベスト・オブ・ウィンナ・ワルツ 第1集/エシェベ&ウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団

2010年01月04日 00時05分26秒 | クラシック(一般)
 うーん、懐かしいアルバムだ。ウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団といえば、現在でも毎年正月になると日本にやって来て、ほとんどベンチャーズ並に日本の津々浦々でウィンナ・ワルツを演奏する「ニューイヤー・コンサート」をやっていているのだけれど、このアルバム1990年、アルフレッド・エシェベが率いていた頃に、確か日本資本で制作されたアルバムだった。カラヤンがニューイヤーに登場して以来、日本でも「新年にウィンナワルツ」というイベント人気がにわかに高まってきた時期でもあり、それに乗じて作られた、思えばかなりバブリーなアルバムであった。当時の私はカラヤン、アバド、クライバー、メータと立て続けにスター指揮者が登場し、以前にも増して華麗なるイベントへとイメチェンを遂げた本家ニューイヤー・コンサートの華やかさに、きっと煽られてしまっていたのだろう、このアルバムが出た前後数年間はお正月といえばこのウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団やウィーン・フォルクスオーパーの来日公演に、柄にもなくお洒落してけっこう通ったものだった。まさにバブルの時代、わが青春の80年代である(笑)。

 さて、このアルバム、ずいぶん久しぶりに聴いた。なにしろ近年、正月にウィンナ・ワルツを聴くとなれば、既に20年分はストックしたニューイヤーコンサートのライブ盤はあるし、カラヤンのスタジオ盤、ウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団にしたところでボスコフスキーのアルバムと百花繚乱状態だったので、このアルバムのことはほとんど忘れていたといってもいい。先ほどから、新調したヘッドフォンで聴いているのだが、意外にも....などといったら失礼だが、実に素晴らしい演奏だ。例の2拍目と3拍目の間隔がちょいと長くなる、どちらかといえばウィーンのローカルなリズムに、ふんわりとしてちょっと厚ぼったいこれまたウィーン風なサウンドをベースにしつつ、そこに適度に現代的なスマート感を加味したその演奏は、いい意味で匿名性の高く、スタンダードな安定感があって、聴いて気持ち良いことこの上ないのである。シャープに弾けすぎない「こうもり」、この曲がワルツであることを再認識させる「オーストリアの村つばめ」、壮麗さが勝ちすぎない「美しく青きドナウ」、もっさりとしたところが逆にひなびた風情を感じさせる「ラデツキー」などなど、その楽しさはなかなかであった。明日にでもさっそくiTunesライブリに入れるとしよう。
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