チック・コリア・エレクトリック・バンドの第三作。前2作では最新鋭の各種デジタル楽器を駆使し、モダンでポップなサウンドをクリエイトしたチック・コリアだが、2作でそのあたりは達成したと踏んだのか、飽きてしまったのか、それとも思った程売れなかったのか、その全てだったのか、とにかく本作では前二作とはかなり趣を変えた作品になっている。具体的にいえば、当時、売れ筋だったファンク・フュージョン的なリフやリズム・パターンをひっこめ、幻想的なシンセ・オーケストレーション、チック・コリアお得意のスペイン趣味を随所に押し出しつつ、やや生真面目手にまとめた作品といえるだろう。相変わらずデジタル・シンセは多用しているものの、本作ではアコピの出番も多いし、他のメンバーも総じてアコスティック系の楽器を多用しているのも特徴だ。あれこれ深読みするムキもあるが、要するにややテクノロジー偏重だった前二作の反動でもって作られたというのが、意外にアルバムのコンセプトなのかもしれない。
アルバムはトータル・アルバム風というか、全体が組曲のような感じになっている。冒頭から3曲目までは、シンセ・オーケストレーション、アコギ、アコピなどフィーチャーした短い楽曲がメドレー風に続き、4曲目「パッセージ」でもって、ようやく比較的前2作のパターンで作られたポップなフィーリングをもったフュージョンらしい作品となる。もっともこれも前に比べるとかなりゆったりしているが。5曲目の「ビューティー」はRTFの無国籍アコスティック・サウンドを80年代に甦らせたような作品だが、けっこう長い作品の割にはどうもイマイチ盛り上がりに欠く印象がないでもない。続く「キャスケイド」は組曲風の作品だが、前二作の作風をいったん解体して、構成する要素をすっきりと再構成したような趣がある。タイトル・トラックと「アムネジア」はおそらく本作で一番、CCEBらしいタイトな作品か、前者のスパニッシュ風なテーマに入り組んだ展開、後者のボーダレスに8ビートに4ビートを交錯させていくお馴染みのやり口は、「ライヴ・フロム・エラリオズ」の「トゥィーク」を思わせるものとなっている。
という訳で、本作はトータル・アルバムなのだろうが、どうも彼の描いたストーリーがリスナーにイマイチ伝わらないところがあるのではないか(チック・コリアという人のこの種のアルバムはたいていそうなんだけど)。また、ドラマを感じさせるには、前半はちと散文的過ぎるし、後半のハイライトに当たる部分はあっさりし過ぎの感があると思う。特に「アムネジア」がせっかく盛り上がったところでフェイドアウトするのは意味不明だ。こんなこといったらコリアに怒られるかもしれないけれど、前作もやり過ぎだが、本作は逆にやらな過ぎと....いったところかもしれない。
アルバムはトータル・アルバム風というか、全体が組曲のような感じになっている。冒頭から3曲目までは、シンセ・オーケストレーション、アコギ、アコピなどフィーチャーした短い楽曲がメドレー風に続き、4曲目「パッセージ」でもって、ようやく比較的前2作のパターンで作られたポップなフィーリングをもったフュージョンらしい作品となる。もっともこれも前に比べるとかなりゆったりしているが。5曲目の「ビューティー」はRTFの無国籍アコスティック・サウンドを80年代に甦らせたような作品だが、けっこう長い作品の割にはどうもイマイチ盛り上がりに欠く印象がないでもない。続く「キャスケイド」は組曲風の作品だが、前二作の作風をいったん解体して、構成する要素をすっきりと再構成したような趣がある。タイトル・トラックと「アムネジア」はおそらく本作で一番、CCEBらしいタイトな作品か、前者のスパニッシュ風なテーマに入り組んだ展開、後者のボーダレスに8ビートに4ビートを交錯させていくお馴染みのやり口は、「ライヴ・フロム・エラリオズ」の「トゥィーク」を思わせるものとなっている。
という訳で、本作はトータル・アルバムなのだろうが、どうも彼の描いたストーリーがリスナーにイマイチ伝わらないところがあるのではないか(チック・コリアという人のこの種のアルバムはたいていそうなんだけど)。また、ドラマを感じさせるには、前半はちと散文的過ぎるし、後半のハイライトに当たる部分はあっさりし過ぎの感があると思う。特に「アムネジア」がせっかく盛り上がったところでフェイドアウトするのは意味不明だ。こんなこといったらコリアに怒られるかもしれないけれど、前作もやり過ぎだが、本作は逆にやらな過ぎと....いったところかもしれない。