本年のニューイヤー・コンサートは、一昨年に続きフランスのジョルジュ・プレートルが指揮を担当、マゼール、メータ、ムーティといった常連組を除けば、これに2回以上登場するのは、クライバーとアーノンクールくらいだから、プレートルという指揮者は日本での認知度に低さに比べ、ウィーンではたぶん絶大な人気があるのだろう。
今回は第1部のトップに「こうもり」という、ウィーンを象徴するような曲を持ってきたところに、この外国人指揮者の登場2回目という余裕を感じさせる。演奏も非常に快調で、プレートルは現在85歳とのことだが、なにしろその指揮振りが若々しい、こういうのを「老いてなお矍鑠」というのであろう。79歳でこのステージに登場したカラヤンのことを思い出してみても、それ自体直接音楽に関係ないことだしても、やはり凄いことである。なにしろ指揮台のイスを持ち込まず立ちっぱなしなのだ(ついでに暗譜だ)。
音楽も一昨年と同様、フランスの指揮者らしい垢抜けた流麗さがあり、「こうもり」という曲に満ち満ちているはじけるようなリズムも過不足なく伝えてくれていた。リズムの切れや推進力といった点でも、全く高齢を感じさせないのはさすがだ。第1部ではワルツ「酒、女、歌」は序奏部からきっちりと演奏、ワルツのリズムはさすがに角が丸めですいすい流れるていく感じなのは、フランスの指揮者故だろうが、一昨年同様、これはこれで悪くない。ついでにいえば「常動曲」の軽快なスマートさもこの曲にぴったりである。
第2部は「ウィンザーの陽気な女房たち」からスタート。シュトラウスの曲ではないが、これもこのコンサートでは定番のひとつで、ウィーン風な旋律の美しさをスマートに歌い上げているのが印象的だ。「ウィーンのボンボン」(客席にロジャー・ムーアが居る!)、「シャンパン・ポルカ」、「朝の新聞」はけっこう渋い選曲だが、いずれも定番のひとつであろう。これまた非常に洗練され、滑らかな美しさが印象的な演奏であった。オッフェンバックの喜歌劇「ライン川の水の精」、ロンビの「シャンパン・ギャロップ」といった楽曲はこれはプレートルのお国柄を反映しての選曲。アンコールはこれも定番中の定番ポルカ「狩り」に始まり、お約束の2曲で締めくくられた。いずれもスマートで、洗練された愉悦感に満ちた演奏であった。
という訳で、昨年の生真面目なバレンボイムとは対照的な軽妙洒脱なニューイヤーだったが、一昨年と比べてもよりプレートルがこのコンサートに馴染んでいる分、ウィーンらしさのようなものも期せずして、一昨年より感じられたし、全編に渡り安心して楽しめたといったところか。
ついでにいうと、今回の中継ではいつもと違って、各部の冒頭にNHKの女性アナウンサーがさらりと紹介した後、ストレートにウィーンから中継をそのまま流していたが、これは歓迎である。例年、シュトラウスのことをろくに知りもしなそうなアナウンサーと場違いなゲストが出てきて、歯の浮くような賛辞を繰り返す座談会には辟易していたので、一部と二部の間は地元局が制作したとBGV風な映像でリハの風景だの、美人のバレリーナを眺めていた方が遙かに雰囲気あったし、楽しめたという感じだ。
今回は第1部のトップに「こうもり」という、ウィーンを象徴するような曲を持ってきたところに、この外国人指揮者の登場2回目という余裕を感じさせる。演奏も非常に快調で、プレートルは現在85歳とのことだが、なにしろその指揮振りが若々しい、こういうのを「老いてなお矍鑠」というのであろう。79歳でこのステージに登場したカラヤンのことを思い出してみても、それ自体直接音楽に関係ないことだしても、やはり凄いことである。なにしろ指揮台のイスを持ち込まず立ちっぱなしなのだ(ついでに暗譜だ)。
音楽も一昨年と同様、フランスの指揮者らしい垢抜けた流麗さがあり、「こうもり」という曲に満ち満ちているはじけるようなリズムも過不足なく伝えてくれていた。リズムの切れや推進力といった点でも、全く高齢を感じさせないのはさすがだ。第1部ではワルツ「酒、女、歌」は序奏部からきっちりと演奏、ワルツのリズムはさすがに角が丸めですいすい流れるていく感じなのは、フランスの指揮者故だろうが、一昨年同様、これはこれで悪くない。ついでにいえば「常動曲」の軽快なスマートさもこの曲にぴったりである。
第2部は「ウィンザーの陽気な女房たち」からスタート。シュトラウスの曲ではないが、これもこのコンサートでは定番のひとつで、ウィーン風な旋律の美しさをスマートに歌い上げているのが印象的だ。「ウィーンのボンボン」(客席にロジャー・ムーアが居る!)、「シャンパン・ポルカ」、「朝の新聞」はけっこう渋い選曲だが、いずれも定番のひとつであろう。これまた非常に洗練され、滑らかな美しさが印象的な演奏であった。オッフェンバックの喜歌劇「ライン川の水の精」、ロンビの「シャンパン・ギャロップ」といった楽曲はこれはプレートルのお国柄を反映しての選曲。アンコールはこれも定番中の定番ポルカ「狩り」に始まり、お約束の2曲で締めくくられた。いずれもスマートで、洗練された愉悦感に満ちた演奏であった。
という訳で、昨年の生真面目なバレンボイムとは対照的な軽妙洒脱なニューイヤーだったが、一昨年と比べてもよりプレートルがこのコンサートに馴染んでいる分、ウィーンらしさのようなものも期せずして、一昨年より感じられたし、全編に渡り安心して楽しめたといったところか。
ついでにいうと、今回の中継ではいつもと違って、各部の冒頭にNHKの女性アナウンサーがさらりと紹介した後、ストレートにウィーンから中継をそのまま流していたが、これは歓迎である。例年、シュトラウスのことをろくに知りもしなそうなアナウンサーと場違いなゲストが出てきて、歯の浮くような賛辞を繰り返す座談会には辟易していたので、一部と二部の間は地元局が制作したとBGV風な映像でリハの風景だの、美人のバレリーナを眺めていた方が遙かに雰囲気あったし、楽しめたという感じだ。