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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

ニューイヤー・コンサート 2010/プレートル&VPO

2010年01月01日 22時20分14秒 | クラシック(一般)
 本年のニューイヤー・コンサートは、一昨年に続きフランスのジョルジュ・プレートルが指揮を担当、マゼール、メータ、ムーティといった常連組を除けば、これに2回以上登場するのは、クライバーとアーノンクールくらいだから、プレートルという指揮者は日本での認知度に低さに比べ、ウィーンではたぶん絶大な人気があるのだろう。
 今回は第1部のトップに「こうもり」という、ウィーンを象徴するような曲を持ってきたところに、この外国人指揮者の登場2回目という余裕を感じさせる。演奏も非常に快調で、プレートルは現在85歳とのことだが、なにしろその指揮振りが若々しい、こういうのを「老いてなお矍鑠」というのであろう。79歳でこのステージに登場したカラヤンのことを思い出してみても、それ自体直接音楽に関係ないことだしても、やはり凄いことである。なにしろ指揮台のイスを持ち込まず立ちっぱなしなのだ(ついでに暗譜だ)。

 音楽も一昨年と同様、フランスの指揮者らしい垢抜けた流麗さがあり、「こうもり」という曲に満ち満ちているはじけるようなリズムも過不足なく伝えてくれていた。リズムの切れや推進力といった点でも、全く高齢を感じさせないのはさすがだ。第1部ではワルツ「酒、女、歌」は序奏部からきっちりと演奏、ワルツのリズムはさすがに角が丸めですいすい流れるていく感じなのは、フランスの指揮者故だろうが、一昨年同様、これはこれで悪くない。ついでにいえば「常動曲」の軽快なスマートさもこの曲にぴったりである。
 第2部は「ウィンザーの陽気な女房たち」からスタート。シュトラウスの曲ではないが、これもこのコンサートでは定番のひとつで、ウィーン風な旋律の美しさをスマートに歌い上げているのが印象的だ。「ウィーンのボンボン」(客席にロジャー・ムーアが居る!)、「シャンパン・ポルカ」、「朝の新聞」はけっこう渋い選曲だが、いずれも定番のひとつであろう。これまた非常に洗練され、滑らかな美しさが印象的な演奏であった。オッフェンバックの喜歌劇「ライン川の水の精」、ロンビの「シャンパン・ギャロップ」といった楽曲はこれはプレートルのお国柄を反映しての選曲。アンコールはこれも定番中の定番ポルカ「狩り」に始まり、お約束の2曲で締めくくられた。いずれもスマートで、洗練された愉悦感に満ちた演奏であった。

 という訳で、昨年の生真面目なバレンボイムとは対照的な軽妙洒脱なニューイヤーだったが、一昨年と比べてもよりプレートルがこのコンサートに馴染んでいる分、ウィーンらしさのようなものも期せずして、一昨年より感じられたし、全編に渡り安心して楽しめたといったところか。
 ついでにいうと、今回の中継ではいつもと違って、各部の冒頭にNHKの女性アナウンサーがさらりと紹介した後、ストレートにウィーンから中継をそのまま流していたが、これは歓迎である。例年、シュトラウスのことをろくに知りもしなそうなアナウンサーと場違いなゲストが出てきて、歯の浮くような賛辞を繰り返す座談会には辟易していたので、一部と二部の間は地元局が制作したとBGV風な映像でリハの風景だの、美人のバレリーナを眺めていた方が遙かに雰囲気あったし、楽しめたという感じだ。
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メル・ブルックス/新サイコ

2010年01月01日 14時10分49秒 | MOVIE
 私がよく使う宅配型のレンタルビデオで先日検索していたら、「わぁ、こんなのレンタルしてるんだねぃ」と驚いて即座に予約したものが、この「メル・ブルックス/新サイコ」である。1970~80年代のアメリカで、「喜劇王」として絶大な人気のあったメル・ブルックスが1977年に制作した作品で、タイトルからも分かるとおりヒッチコックのパロディ映画となっている(ただし、「新サイコ」という邦題ほど「サイコ」に関連がある訳ではない、オリジナルタイトルは「High Anxiety(高所恐怖症)」である)。そもそも私は「モンティ・パイソン」のようなパロディ色の強いコメディが大好きだったので、メル・ブルックスの作品はたいていどれも好きだったが、とりわけこの作品は、私は映画を観まくっていた20代前半の頃愛好していたヒッチコック作品のパロディであることから、そのヒッチコック・ファンなら思わずニヤニヤしてしまうマニアックなパロディぶりや、お下品なギャグにゲタゲタ笑ったりして、名画座やテレビで何度となく観たほど好きな作品なのであった。

 さて、四半世紀ぶりにこの作品観てみた訳だけれど、なにしろ30年以上前のコメディ故古びてしまっていることも予測していたけれど、意外にも昔通りに楽しめた。この作品は精神分析や病院が舞台となっている点で「白い恐怖」、主人公が高所恐怖症である点で「めまい」、主人公が偽装犯人に仕立て上げられる点「北北西に進路をとれ」が、まぁ、骨格になっているといえなくもないのでだけれど、どれも非常にヒッチコック的なところを頂いていて、観ていて相変わらずニヤニヤしてしまった。カメラが窓から室内に入っていくお得意のシーンのパロディ、「サイコ」のシャワールーム、「鳥」のジャングルジムに鳩が集まるシーン、「めまい」舞台となってゴールデン・ゲート・ブリッジ、そこで起こる「ダイアルM」な殺人など、ヒッチコックの「茶化し」も満遍なく散りばめられて楽しいし、元ネタが古典化しているとこういうものも意外と風化しないもんだな....と感心してしまったりもした。ついでに音楽も時にハーマン風だったり、ローザ風だったりする。ブルックス作品の常連であるマデリーン・カーンもここでは金髪でエレガントな容姿でヒッチコックのヒロイン風だ。

 メル・ブルックスのギャグはえげつない下ネタ満載だし、他のネタも割とひねりがないため、当時の日本人にはあまり受けなかった記憶がないのだけれど、例の狼男のシーンだとか今観てもけっこう笑えたし、田舎芝居みたいな泥臭いギャグ・センスもガチな分、古びてないかったと思う。ついでにメル・ブルックス自身がバーで歌う「高所恐怖症」のディナー・ショーというか、ミュージカル風といえなくもないシーンも何故か楽しく、途中でロス・フィルの団員が乗ったバスがBGMよろしく、音楽を演奏しながら主人公の乗った車を追い越していくシーンもおかしくて(あれ本物のLAPOなのか?)、おとそ気分の元旦にリラックスして観るにはぴったりの90分間であった。なんだか、ゴールディー・ホーンの「ファールプレイ」も観たくなってきたな。
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平成22年 明けましておめでとうございます

2010年01月01日 00時28分51秒 | Books


※ 作った後に「トラ」ではなく「豹」だということに気がついた(笑)、
 悪趣味で間抜けな没ヴァージョンデス。
コメント (2)
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