という訳でこの2週間、ほとんど毎日聴いている。予想通りというか、今のノリならなんでも聴けてしまう....というところなのかもしれないが、このアルバムを何度も何度も聴いているうちに、なんともいえない味....滋味といいたいようなものを感じてきている。前回も書いたとおり、作品自体は非常に地味で、もはや枯れきったといいたいような感触が強いけれど、そこからぽっかりと浮かび上がる「ポール・マッカートニー的感触」がなんとも心に響くのである。60代を越えたポールが到達した音楽的な境地がかくも、木枯らしの吹く冬のような枯淡なものだったとは!。それまでの「華やかなポップ・センスに彩られた緩急自在のメロディーの妙」こそが、ポールの地だと思っていた私のような人間にとって、意外であると同時に、やっぱ素のポールってこうだったのよ....と妙に納得もできるものであるからだ。
思えば、ビートルズの「ホワイト・アルバム」には、どことなく寂しげでメランコリックな、リスナーの方に顔を向けていないポールが随所に顔をだしていたけれど、このアルバムはそうした感触を思い出させたりもする。前回も書いたとおり、個人的にはこうした感触を持ったバラード系、アコスティック系の作品が味わい深かった。3曲目の「Jenny Wren」は「ブラック・バード」系列のアコスティック作品だが、妙にもの悲しく。遠い昔を回想しているような雰囲気が実にいいし、ちょっと不思議なメランコリーを感じさせる4曲目「At the Mercy」の枯れたムード、8曲目の「A Certain Softness」では「フラワーズ」に収録されていた「Distractions」と良く似たノスタルジックなミディアム作品という感じでお気に入りになっている。また、それらに増して好きなのが、12曲目の「This Never Happened Before」で、リズム・ボックスに単調なリズムではじまり、まるで聖歌のようなムードが素晴らしいし、特にサビのあたりは聴いていて魂が浄化されるような美しさは絶品である。ラストの「Anyway」はいかにもポールがアルバム・ラストにもってきそうな拡がりのあるドラマチックさのある曲だか、やはり今回は少々苦みと枯れた風情があって、逆にそれが自然さを感じさせていいのだ。
思えば、ビートルズの「ホワイト・アルバム」には、どことなく寂しげでメランコリックな、リスナーの方に顔を向けていないポールが随所に顔をだしていたけれど、このアルバムはそうした感触を思い出させたりもする。前回も書いたとおり、個人的にはこうした感触を持ったバラード系、アコスティック系の作品が味わい深かった。3曲目の「Jenny Wren」は「ブラック・バード」系列のアコスティック作品だが、妙にもの悲しく。遠い昔を回想しているような雰囲気が実にいいし、ちょっと不思議なメランコリーを感じさせる4曲目「At the Mercy」の枯れたムード、8曲目の「A Certain Softness」では「フラワーズ」に収録されていた「Distractions」と良く似たノスタルジックなミディアム作品という感じでお気に入りになっている。また、それらに増して好きなのが、12曲目の「This Never Happened Before」で、リズム・ボックスに単調なリズムではじまり、まるで聖歌のようなムードが素晴らしいし、特にサビのあたりは聴いていて魂が浄化されるような美しさは絶品である。ラストの「Anyway」はいかにもポールがアルバム・ラストにもってきそうな拡がりのあるドラマチックさのある曲だか、やはり今回は少々苦みと枯れた風情があって、逆にそれが自然さを感じさせていいのだ。