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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
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HENRY MANCINI / Music from Mr. Lucky

2007年11月14日 22時16分36秒 | サウンドトラック
 こちらは1959年のテレビ・シリーズのサウンド・トラック。私はマンシーニのフィルモグラフィをあまり正確に把握していなのだが、おそらく「ピーター・ガン」と先日レビュウした「ティファニーで朝食を」の間くらいの作品ではないかと思う。ちなみにこれは映画ではなく、「ピーター・ガン」同様、ブレーク・エドワーズの制作によるTVシリーズのサウンド・トラックで、一種の探偵ものらしく、「ついてる男」として日本でも放映されていたようだ。当時の私はこの作品をテレビでひょっとすると見ていたかもしれないが、なにしろ小学校に入ってもいなかった時期なので、当然のことながら全く記憶にない。

 音楽はなかなか魅力的だ。優雅さとちょいとばかりやくざなところが奇妙に入り交じったテーマ曲は、そもそもマンシーニズ・スタンダーズのひとつだろうし、その独特な風情は忘れがたい印象を残す。なんでもこのTVシリーズの主人公であるミスター・ラッキーは、豪華ヨットにのったリッチなカジノのオーナーという設定らしく、この雰囲気はそのあたりをきっとうまく表現していたのだろうと思う。また、3曲目り「ソフトリー」ではマンシーニのもうひとつのメルクマールである、イタリア的な哀愁の旋律を流麗なストリングスとアコピで演奏する黄金のパターンが早くも登場しているのも興味深いし、「マーチ・オブ・キュー・ボールス」は「子象の行進」でお馴染みのユーモラスなマンシーニ調行進曲。「ピーター・ガン」でも聴かせたジャジーでムーディーなセンスが心地よい「ナイト・フラワー」、「ブルー・サテン」といった曲もあるし、カリプソ風なラテン風味もあって、全体にバラエティに富んでいる印象だ。

 また、ほぼ全編に渡ってストリングスが鳴っていて、「ピーター・ガン」的なオシャレでジャジーなセンスを引き継ぎつつも、全体に明るさが増し、優雅な趣が強いのは、もちろんドラマの性格もあったのだろうが、マンシーニ自身がアレンジャー的なお仕事としてではなく、いよいよ映画音楽家として、一本立ちというかいよいよ独自の主張を始めたスタンスの変化も伺わせるに十分であろう。
コメント
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