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ブラームス ピアノ協奏曲第1番(ピアノ連弾版)他/マティーズ&ケーン

2007年11月10日 22時47分05秒 | ブラームス
 マティーズとケーンによるブラームスの4手のためのピアノ作品全集の一枚。このシリーズで前回聴いたのは、セレナードの1番と2番をカップリングしたもので、あれは原曲がピアノ・デュオによるものじゃないかと思うくらいに、4手というスタイルにハマっていた仕上りで、私などここ数ヶ月ウォークマンのライブラリーに入れて、日々の移動中のBGMなどととして愛聴しているところなのだが、このアルバムに収録されたのはピアノ協奏曲第1番と大学祝典序曲となっている。セレナードは2台のピアノ版だったような気がするのだが、こちらはピアノ1台を連弾しているスタイルで、かつあの疾風怒濤な大曲に挑戦しているというのだから興味深い。

 まず前者だが、4手をソリストとオーケストラという協奏曲の図式で割り振った編曲ではなく、4手をフルにつかってあの大曲をなんとか再現しているというようだ。したがって協奏曲的というより、この曲が元々もっていた交響曲的、あるいは大規模なピアノ・ソナタみたいな趣が全面に出てる感じがした。ブラームスの場合、オーケストラ曲といっても、かなりピアノ的というかそもそもピアノ曲として構想されている場合も多いので、この曲でも予想されたような量感の不足だとか箱庭的なちんまりとしてしまっているようなところはあまりなく、けっこう楽しめる。前述の物言いとは矛盾するようだが、第3楽章などなかなかスリリングである。後者は元々セレナードなどと共通する田園的、祝典的な趣の強い曲なので、こちらは全く違和感のない演奏になっている。この曲は元々少しばかりとりとめがないところが散見する曲だから、こうしたクリアですっきりとした見通しの良い演奏にしてくれると、この曲のブラームス的な幸福感のようなものをかえって、忠実に伝えてくれているのかもしれない....などとも感じたくらいだ。

 それにしても、このマティーズとケーンによる4手のためのピアノ作品全集(ナクソス・レーベル)は現在まで何枚くらい出ているのだろうか?。ここ数年、気が付くとぽつりぽつりと購入しているのだが、ナクソスの場合、カタログが膨大すぎ既発のアルバムというのが把握しづらいし、よぼどきちんとチェックしないと新譜でも出たのも知らずそのまま売り切れなんてことがよくあるから、シリーズが膨大であればあるほど集めにくいみたいなところがないでもない。最近はあまりないようだけれど、完結したきちんボックスに収めて出してもらえないだろうか。なにしろ、4手のためのピアノ作品全集なんて、他のレーベルでやることはまずないだろうから、将来にわたって資料的にも非常に貴重なものとなるのは間違いない思うのだが....。
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