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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
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PAUL MCCARTNEY / Driving Rain [6]

2007年11月07日 21時52分30秒 | Beatles
15. 雨粒を洗い流して
 アルバム中最大の問題作か、演奏時間約10分、70年代ロックのドラマチックな仕掛け、パンキッシュでリフ満載のインストパート、凶暴ともいえるムードなどなど、新しもの好きのポールとしても、かなり冒険した音楽という感じだろうか。しかも、ユースと組んだアンビエント・ハウスやしばらく前にレビュウしたコラージュ作品のような「遊び」ではなく、そのシリアスさといい、テンションの高さといい、まぎれもない本気を感じさせるのが異色である。前半のヴォーカルのいきり立ちようなど、聴いていて「何をポールはそんなに怒っているんだ?」とか思ってしまうし、中間部のインスト・パートなど、ギンギンのリード・ベースという感じで、ポールのベースがバンドをぐいぐいひっぱり現役感覚十分、後半のヴォーカル・パートの切迫感あるドラマチックさ、終結部の回想シーンのシュールな仕掛けなど、なんかただならぬ雰囲気すら感じてしまうのだ。
 まぁ、このあたりまで聴いて思うのだが、このアルバム、70年の「マッカートニー」に続いて、ひっょとするポールが展開していたかもしれなかった「ラム」とは違ったベクトルの音楽という仮定で聴くとおもしろいかもしれない。ご存じのように「ラム」以降のポールはどんどんポップな音楽に傾斜していく訳だけれど、そうならず当時隆盛していたニュー・ロック的な音楽をやっていたら、こうした音楽をあるいはやっていたのかも....などと思わせるのだ。

16. フリーダム
 スタジアム・コンサートのクライマックスで、ポールが大歓声の中のセミアコ・ギターで歌い始めたみたいな曲。タイトルからしてメッセージ・ソングだし、この手の曲にありがちなある種の説教臭さ、ポールらしい事大主義的なところがなきにもあらずなのだが、ポールがやるなら許せてしまえると思わせるのは、やはりミュージシャンとして貫禄なのだろうと思う。曲自体は「トーキング・バウト・フリーダム」というコーラスがキャッチーだし、ある種の晴れやかさみたいなものもあって、ジョンの「愛こそすべて」と同等とまではいかないまでも、メッセージ・ソングとして受ける要素はかなり備えている思う(ポールが作ったこの手の曲としては最良の部類だろう)。また、アルバム全体のトーンが暗く、あれだけダークに盛り上がった曲の後に配置されただけに、この曲の明るさ、力強さはなかなかのものだとう思う。
コメント
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