今日の日記は巨額原発マネーについて記した前回の日記の後編です。このような話、もうウンザリした方もいらっしゃることと思いますが、よろしければもうしばらくおつき合いくださいませ
前回の日記では原発を受け入れさせるために地元(原発を受け入れている自治体)に国の交付金、電源三法交付金によるお金がジャブジャブ降ってくる仕掛けについて記しましたが、今日は原発を推進するためのもう一つの、巧妙なる仕掛けについての話です。
原発推進を容易にするための国のもう一つの施策は「電気事業法」という法律により定められている「総括原価方式」と称される電力料金の決定方式です。この方式は発電・送電・電力販売費、人件費などの発電事業を営むために要するすべての費用を「総括原価」としてコストに反映させ、さらにその上に一定の報酬(利潤)を上乗せした金額が、電気の販売収入に等しくなるように電気料金を決定するというものです。
わかりやすく申しますと、あなたが実際に使用した電気の量に基づいて算出された金額に電力会社の利潤が上乗されたものを、あなたは「電気料金」と称してして支払わされているというわけなのです。実際に使用した量に基づく電気の料金に電力会社の利潤を上乗せしたものを「電気料金」と称して市民に支払わせるのは限りなく詐欺に近い、と思うのですが、みなさんはどうお考えでせうか・・・
この方式に基づいて電気料金を決定することが法的に認められているため、電力会社はどのような経営を行っていても、様々な費用をすべてコストとして計上することができます。たとえば地元対策のために電力会社がいくら多額の資金を投入しようとも、またこのたびの関電スキャンダルに見られるように、地元対策として意図的に高値で地元企業に工事をやらせたために不公正で不要な費用を支出しても、発電事業を営むために必要な経費として計上しさえすれば、自社の利益に悪影響が及ぶことはありません。
すなわち、この「総括原価方式」という仕掛けのおかげで、電力会社はどう転んでも安泰なのです。どのような経営をしていても利潤が国の法律により保障されているのです。
こんな結構なビジネスがわが日本には存在しているのです!大手電力会社のビジネスはまさに「親方日の丸」の典型です。
しかしながら、このことこそが関電に限らず電力業界全体に底なしの腐敗をもたらしているのです。
底なし腐敗の例を挙げますと、たとえば、電力会社は地元対策としてしばしば地元に秘密裏に、あるいは堂々と、億円単位の多額の寄付を行っています。寄付の意図は正確には不明であり、場合によっては地元の自治体が水面下で暗に寄付を要求することがあるのではないかとも推測されますが、要するに寄付行為は受け入れ自治体や地元の人々を懐柔することを意図したものであることは間違いないでありませう。
たとえば、朝日新聞(2010年11月)の報道によれば、福井県と原発が立地されている福井県内の4つの市町に2010年まで500億円余の大口寄付が行われたとされており、このうちの少なくとも150億円が関電による匿名の寄付であったと報じられています。また関電は1970年以降高浜町には45億円を寄付していたとされています(2013.8.21朝日など)。
匿名で大口の匿名の寄付を行ったりするのは電力会社以外には考えられませんから、残りの寄付もおそらく関電によるものではないかと疑われます。
一方、中部電力など原発関連の6社・団体は福島原発事故の後に、原発や核関連施設が存在する6自治体に対し、計31億余を寄付しています(2012.8.20朝日)。中国電力も未着工の上関原発計画(山口県)に関して2007年以降36億円を寄付しています。また、東北電力は原発が休止している村に数億円を寄付しています。そのうえ、福島原発事故を起こした東電までもが、建設中の青森県東通原発に関して地元に4億円の寄付を行うことを検討していると最近報じられています。とにかく電力業界、原発に関連した寄付のオンパレードであります。
また電力大手は寄付行為以外にも様々な不明朗あるいは不公正な行為を行っています。
たとえば、ご記憶の方もおられることと思いますが、九電は2011年、住民が原発再稼動に賛成しているように見せかけるため、社員にテレビ番組に賛成意見を送らせる「やらせメール問題」を引き起こしています。また、珠洲(しゅす)原発計画(石川県珠洲市)では、途中で計画は中止されたものの、用地買収にあたってカネ目当てに暴力団が介入していたとされています。様々な巨額の原発マネーが動くためにこれまで原発推進を巡ってこのように様々な不明朗な不祥事が生じおり、不正行為が行われてきました。
関電の社長さんはスキャンダル発覚後すぐに大手電力会社の業界団体である「電気事業連合会」の代表を辞任しましたが、電気事業連合会はその「行動指針」において、
「我々は、社会の一員として事業活動の原点は社会との信頼関係にあることを自覚し、法令順守はもとより公正で透明性のある事業を着実に展開する」
「本指針に反するような事態が発生したときは・・・権限と責任を明確にした上、自らの処分を含めて厳正な処分を行う」
などとまことにリッパなことを唱っております。したがいまして、関電の経営陣が即刻退陣すべきであることは電事連のこの行動指針からも自明でありませう・・・
原発の安全性がほんとうに確立されているならば、あるいは原発が安全であると社会的に認められているのならば、これまでに述べたような巨額のか各種「原発マネー」が必要になるとは考えられません。したがって、これまで記したように、原発推進を意図して国により電力業界と地元を手厚く「おんぶにだっこ」する体制が「構築」されているという事実は、国も電力会社も、また立地自治体も、原発が潜在的に非常な危険性を有していることを認めていることの何よりの証拠であると言えるでせう。
しかしながら、このような「原発マネー」により結びついている国・電力会社・地元による三位一体の強固なトライアングル体制が存在する限り、今後も電力業界による不祥事・不正行為が跡を絶たないでありませう・・・・
けれども、この甘き腐敗臭が漂う「原発マネー」の果てに、決定的な破局が待っていないとも限りませぬ・・・
今日の写真はわが湖畔の秋を撮ったものです。秋らしきものは写っておりませぬが、この写真の奥、80キロばかり彼方に世界一の原発集中地帯、福井県若狭湾が位置しております。
なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・
グッドナイト・グッドラック!
前回の日記では原発を受け入れさせるために地元(原発を受け入れている自治体)に国の交付金、電源三法交付金によるお金がジャブジャブ降ってくる仕掛けについて記しましたが、今日は原発を推進するためのもう一つの、巧妙なる仕掛けについての話です。
原発推進を容易にするための国のもう一つの施策は「電気事業法」という法律により定められている「総括原価方式」と称される電力料金の決定方式です。この方式は発電・送電・電力販売費、人件費などの発電事業を営むために要するすべての費用を「総括原価」としてコストに反映させ、さらにその上に一定の報酬(利潤)を上乗せした金額が、電気の販売収入に等しくなるように電気料金を決定するというものです。
わかりやすく申しますと、あなたが実際に使用した電気の量に基づいて算出された金額に電力会社の利潤が上乗されたものを、あなたは「電気料金」と称してして支払わされているというわけなのです。実際に使用した量に基づく電気の料金に電力会社の利潤を上乗せしたものを「電気料金」と称して市民に支払わせるのは限りなく詐欺に近い、と思うのですが、みなさんはどうお考えでせうか・・・
この方式に基づいて電気料金を決定することが法的に認められているため、電力会社はどのような経営を行っていても、様々な費用をすべてコストとして計上することができます。たとえば地元対策のために電力会社がいくら多額の資金を投入しようとも、またこのたびの関電スキャンダルに見られるように、地元対策として意図的に高値で地元企業に工事をやらせたために不公正で不要な費用を支出しても、発電事業を営むために必要な経費として計上しさえすれば、自社の利益に悪影響が及ぶことはありません。
すなわち、この「総括原価方式」という仕掛けのおかげで、電力会社はどう転んでも安泰なのです。どのような経営をしていても利潤が国の法律により保障されているのです。
こんな結構なビジネスがわが日本には存在しているのです!大手電力会社のビジネスはまさに「親方日の丸」の典型です。
しかしながら、このことこそが関電に限らず電力業界全体に底なしの腐敗をもたらしているのです。
底なし腐敗の例を挙げますと、たとえば、電力会社は地元対策としてしばしば地元に秘密裏に、あるいは堂々と、億円単位の多額の寄付を行っています。寄付の意図は正確には不明であり、場合によっては地元の自治体が水面下で暗に寄付を要求することがあるのではないかとも推測されますが、要するに寄付行為は受け入れ自治体や地元の人々を懐柔することを意図したものであることは間違いないでありませう。
たとえば、朝日新聞(2010年11月)の報道によれば、福井県と原発が立地されている福井県内の4つの市町に2010年まで500億円余の大口寄付が行われたとされており、このうちの少なくとも150億円が関電による匿名の寄付であったと報じられています。また関電は1970年以降高浜町には45億円を寄付していたとされています(2013.8.21朝日など)。
匿名で大口の匿名の寄付を行ったりするのは電力会社以外には考えられませんから、残りの寄付もおそらく関電によるものではないかと疑われます。
一方、中部電力など原発関連の6社・団体は福島原発事故の後に、原発や核関連施設が存在する6自治体に対し、計31億余を寄付しています(2012.8.20朝日)。中国電力も未着工の上関原発計画(山口県)に関して2007年以降36億円を寄付しています。また、東北電力は原発が休止している村に数億円を寄付しています。そのうえ、福島原発事故を起こした東電までもが、建設中の青森県東通原発に関して地元に4億円の寄付を行うことを検討していると最近報じられています。とにかく電力業界、原発に関連した寄付のオンパレードであります。
また電力大手は寄付行為以外にも様々な不明朗あるいは不公正な行為を行っています。
たとえば、ご記憶の方もおられることと思いますが、九電は2011年、住民が原発再稼動に賛成しているように見せかけるため、社員にテレビ番組に賛成意見を送らせる「やらせメール問題」を引き起こしています。また、珠洲(しゅす)原発計画(石川県珠洲市)では、途中で計画は中止されたものの、用地買収にあたってカネ目当てに暴力団が介入していたとされています。様々な巨額の原発マネーが動くためにこれまで原発推進を巡ってこのように様々な不明朗な不祥事が生じおり、不正行為が行われてきました。
関電の社長さんはスキャンダル発覚後すぐに大手電力会社の業界団体である「電気事業連合会」の代表を辞任しましたが、電気事業連合会はその「行動指針」において、
「我々は、社会の一員として事業活動の原点は社会との信頼関係にあることを自覚し、法令順守はもとより公正で透明性のある事業を着実に展開する」
「本指針に反するような事態が発生したときは・・・権限と責任を明確にした上、自らの処分を含めて厳正な処分を行う」
などとまことにリッパなことを唱っております。したがいまして、関電の経営陣が即刻退陣すべきであることは電事連のこの行動指針からも自明でありませう・・・
原発の安全性がほんとうに確立されているならば、あるいは原発が安全であると社会的に認められているのならば、これまでに述べたような巨額のか各種「原発マネー」が必要になるとは考えられません。したがって、これまで記したように、原発推進を意図して国により電力業界と地元を手厚く「おんぶにだっこ」する体制が「構築」されているという事実は、国も電力会社も、また立地自治体も、原発が潜在的に非常な危険性を有していることを認めていることの何よりの証拠であると言えるでせう。
しかしながら、このような「原発マネー」により結びついている国・電力会社・地元による三位一体の強固なトライアングル体制が存在する限り、今後も電力業界による不祥事・不正行為が跡を絶たないでありませう・・・・
けれども、この甘き腐敗臭が漂う「原発マネー」の果てに、決定的な破局が待っていないとも限りませぬ・・・
今日の写真はわが湖畔の秋を撮ったものです。秋らしきものは写っておりませぬが、この写真の奥、80キロばかり彼方に世界一の原発集中地帯、福井県若狭湾が位置しております。
なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・
グッドナイト・グッドラック!