えん罪は人の命を奪ってしまうという死刑と同様、国家による深刻な人権侵害であるとGGIは考えています。
日本の警察や検察のみなさんは、いつまでたっても客観的な科学的証拠に基づくのではなく、あてにならぬカンに頼った見込み捜査と密室での強引な取調べにより自白を迫り犯人を特定するという時代遅れの捜査手法に頼っています。ですから、わが湖国でもご多分に漏れず冤罪事件が跡を絶ちません。
冤罪を晴らすのは容易なことではありません。濡れ衣を着せられた人物は有罪が確定したのちに裁判のやり直し、いわゆる「再審」を請求するのですが、ほとんどの場合請求は認められません。再審請求が認められ再び裁判が行われ無罪判決が下されることは極めて稀にしかありません。ところが、わが湖国であるところの滋賀県内でかつて起きた二つの事件について、最近立て続けに、冤罪の疑いが極めて濃厚であるとして再審の開始を認める決定が下されています。
ひとつは日本弁護士連合会も支援している、1984年(昭和59年)に起きた酒屋さんの女主人が殺害された「日野町事件」と称される事件です。裁判の途中で、ご丁寧に裁判所が「このままでは犯行を立証できないから当初の犯行時間も犯行現場も大幅に変更してはどうか」と検察側に示唆するというまことにお粗末な裁判でありました。
犯人とされた人物は取り調べでは自白したものの裁判中は終始犯行を否認していました。しかし2000年に無期懲役が確定、彼は服役中に再審請求を行っていましたが認められず、2011年1月に病死(当時75歳)。その後2012年12月に遺族が湖都の大津地裁に対して第二次再審請求を行っていましたが、有罪の重要な証拠であるとされた金庫発見現場へ「犯人」が捜査官を案内する様子を撮った写真の順序がネガと入れ替えられた捏造であるとの弁護側の主張が認めら、その結果大津地裁は昨年7月、再審開始の決定を下しました。
本人が死去した後の再審、遺族などによるいわゆる「死後再審」の請求が認められた例はこれまでほとんどありませんので、これは画期的な再審決定です(しかし検察側がこの決定に対して抗告しているため、先行きは定かではありません。今後検察による抗告が認められて再審開始の決定が取り消されるということもあり得ます)。
もうひとつは「湖東記念病院人工呼吸器事件」と称されている2003年5月に起きた、看護助手の女性が入院患者の人工呼吸器を外して殺害したとされる事件です。犯人とされた女性は懲役12年の刑を科せられ服役した後、第二次再審請求を行っていましたが、2017年2月、大阪高裁が新証拠の医師の意見書などを基に不整脈による自然死の可能性や、虚偽の自白の疑いを指摘し、再審開始を決定、今年3月に最高裁で再審開始が確定しました。その後10月23日に弁護団が記者会見を行い、「検察側が実質的に有罪立証を断念する旨の意向を弁護団に示しており、無罪が確実な状況になった。即日結審で来年三月末までに判決を受ける見通し」としています。
このように「再審開始」というグッドニュースもあるのですが、一方においてわが湖国、わが湖都で起きた、とんでもない冤罪事件も報じられています。つい最近のことです。
去る10月18日に京都新聞が以下のような見出しの記事を掲載していました
《逮捕4回、勾留10カ月、内定だめに 詐欺で無罪の男性「犯人と決めつけられた」》
それほど長い記事ではありませんので以下に全文を記しておきます。
----------------------------------------------
『詐欺罪に問われ10カ月以上勾留された後、9月に大津地裁で無罪判決を受けた20代の大学4年の男性=大阪府=が17日までに、京都新聞社の取材に応じた。客観証拠がほぼない中、滋賀県警と大津地検が「共犯者」の虚偽供述を別の共犯者に伝えて供述を引き出す強引な手法で、有罪立証に突き進んだ。「初めから犯人と決めつけられた。自分のように苦しむ人が今後なくなってほしい」と訴える。
■「なんで黙秘すんねん。やってるからやろ」「しゃべれや、うそつくなや」
昨年7月30日、男性は大阪市内で大津北署の刑事3人に呼び止められ、逮捕状を見せられた。「え、どういうこと?」。心当たりがなく「身に覚えありません」と答えたが、「分かった分かった。あっち(大津)で話を聞くから」と手錠を掛けられた。
容疑は、共謀し、高齢者から現金計200万円をだまし取った疑い。「共犯者」の知人とはアルバイトを通じて知り合ったが、詐欺グループの一員とは知らなかった。男性は知人らの供述によって特殊詐欺の「上位役」にされていた。
答えることがないので、調べには黙秘した。「なんで黙秘すんねん。やってるからやろ」「しゃべれや、うそつくなや」「詐欺は長いぞー、4回は逮捕されるな」などと追及された。それでも黙秘し続け、攻めあぐねた担当の男性刑事は居眠りをし、「調べることがないなら終わって」と男性が起こす始末だった。
■独居房「本当につらかった」
逮捕は4回、勾留は10カ月に及んだ。就職活動で数社から内定を得ていたが、全部だめになった。大学は休学し、留年した。
拘置所は独居房。「会話する相手が全くおらず、本当につらかった」。えん罪に関する本など段ボール6箱分の本を読んだ。母親が連日、大阪から面会に来てくれたのが支えになった。
今年5月、「証拠隠滅の恐れがない」として保釈された。10カ月ぶりに大好物だったコーラを買った。拘置所の食事になれた舌には甘すぎて飲めなかった。
9月27日の判決。知人が自分を陥れたのは分かっていたが、有罪になるかもしれない。不安を抱えて臨んだ法廷で、裁判官は「知人らの証言は信用性に重大な疑義がある」と無罪を言い渡した。傍聴席で母親が号泣し、自分も涙がこぼれた。
県警も地検も、最初から決めつけて取り調べたと感じる。男性は「少しでも『やっていないのでは』という視点があれば変わったのでは」と話す。今月復学し、就活も始めるという。
--------------------------------
(この記事には書かれていませんが、検察側は10月17日に控訴を断念しており、無罪が確定しています)
この記事を読みますと、警察による取り調べ、わが湖都の警察署である北大津署による取調べ、あいもかわらず見込み捜査と自白の強要・・・何も警察は変っていないことがよく分りますね。これでは警察や検察が変ることなど期待できそうもありませぬ・・・
幸い、この犯人扱いされた大学生、とてもしっかりした強い意志の人物でありましたので、自白の強要にも屈せず、冤罪を免れたのですが、誰でもこの人物のように自白を拒否して黙秘を貫き通すことができると限りません。あなたはいかがでせう?密室での強引な取り調べに耐えられますか?
GGIはまったく別の用事で警察署に行ったときに、応接室が空いていないために取調べ室で警察官に会ったことがあるのですが、その密室感はナカナカのものでありました。机と椅子、電話機のほかには何もない部屋、ドアは一つだけ、机を挟んでドアを背に警官が座ります。これでは、逃げ出そうとしても警官に阻まれてしまうという結構な構造です・・・ですから、えん罪に陥れられる可能性は常にだれにでも存在しているというべきでありませう。
この大学生、就職も内定していたのに、さぞかしショックであったことでありませう。でも、誰も話し相手のいないまま、独房に10カ月ものあいだ閉じ込められていたのですが、その間に冤罪などについての本を段ボール6箱分も読んだそうです!すごいですね。強い精神力の持ち主なのでありませう。GGIはいたく感心するとともにダラダラ生活のわが身を深く恥じてしまいました。
しかしながら、この大学生君には悪いのですが、この記事を読んでいて思わずワッハッハと笑ってしまったことがあるのも事実であります。刑事の取調べの様子についてのくだりです。
《それでも黙秘し続け、攻めあぐねた担当の男性刑事は居眠りをし、「調べることがないなら終わって」と男性が起こす始末だった・・・》
取調べの刑事がもう追いつめるセリフを思いつかなくて、考えあぐねているうちに思わず居眠りしてしまうなんて、もうまったくのマンガです!大戯作者のあの井上ひさし氏でも思いつかないシーンです。これが笑わずにおられませうか!やはり事実は小説なんかよりもずっとずっとヘンなのですね。それにこの大学生君、わざわざ刑事を起こしてやるなんて、しっかりした精神の持ち主であるだけではなく、心優しき人物でもあり、GGIはますますこの青年に感心してしまいました。
この大学生君、よき就職先が見つかりますよう、こころからお祈りいたします。
今日の写真は記事に添えられていた、「自分みたいに苦しむ人を生み出さないで」と話す大学生君の姿です(大阪市内)
また、冤罪にまでは至らなくても、警察がたいした法的根拠もなしに狙いをつけた人物を拘留することが少なからずあります。
たとえば、数年前のことですが、湖都の警察署に某知人がつまらないことで捕まり拘留されていたことがありました。出会いがしらに殴った殴ってないという喧嘩とまでは言えない小さなイザコザだったのですが、起訴できる見込みなどまったくないのに、嫌がらせに警察での勾留が許される最長の期間、すなわち20間勾留されるというがありました。
途中何回か会いにいったのですが、接見禁止ということで一度も会うことはできませんでした。このとき、別の知人に「GGIよ、これはひどい、人権侵害であることは明らか、GGIよ、警察署長宛て即時無条件釈放を求める要求書のひとつぐらい書いたらどうだ」と言われてしまいましたので、実名・実住所で手紙を出したことがあります。もちろん返事なんか来ませんでした・・・
なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・・
グッドナイト・グッドラック!
日本の警察や検察のみなさんは、いつまでたっても客観的な科学的証拠に基づくのではなく、あてにならぬカンに頼った見込み捜査と密室での強引な取調べにより自白を迫り犯人を特定するという時代遅れの捜査手法に頼っています。ですから、わが湖国でもご多分に漏れず冤罪事件が跡を絶ちません。
冤罪を晴らすのは容易なことではありません。濡れ衣を着せられた人物は有罪が確定したのちに裁判のやり直し、いわゆる「再審」を請求するのですが、ほとんどの場合請求は認められません。再審請求が認められ再び裁判が行われ無罪判決が下されることは極めて稀にしかありません。ところが、わが湖国であるところの滋賀県内でかつて起きた二つの事件について、最近立て続けに、冤罪の疑いが極めて濃厚であるとして再審の開始を認める決定が下されています。
ひとつは日本弁護士連合会も支援している、1984年(昭和59年)に起きた酒屋さんの女主人が殺害された「日野町事件」と称される事件です。裁判の途中で、ご丁寧に裁判所が「このままでは犯行を立証できないから当初の犯行時間も犯行現場も大幅に変更してはどうか」と検察側に示唆するというまことにお粗末な裁判でありました。
犯人とされた人物は取り調べでは自白したものの裁判中は終始犯行を否認していました。しかし2000年に無期懲役が確定、彼は服役中に再審請求を行っていましたが認められず、2011年1月に病死(当時75歳)。その後2012年12月に遺族が湖都の大津地裁に対して第二次再審請求を行っていましたが、有罪の重要な証拠であるとされた金庫発見現場へ「犯人」が捜査官を案内する様子を撮った写真の順序がネガと入れ替えられた捏造であるとの弁護側の主張が認めら、その結果大津地裁は昨年7月、再審開始の決定を下しました。
本人が死去した後の再審、遺族などによるいわゆる「死後再審」の請求が認められた例はこれまでほとんどありませんので、これは画期的な再審決定です(しかし検察側がこの決定に対して抗告しているため、先行きは定かではありません。今後検察による抗告が認められて再審開始の決定が取り消されるということもあり得ます)。
もうひとつは「湖東記念病院人工呼吸器事件」と称されている2003年5月に起きた、看護助手の女性が入院患者の人工呼吸器を外して殺害したとされる事件です。犯人とされた女性は懲役12年の刑を科せられ服役した後、第二次再審請求を行っていましたが、2017年2月、大阪高裁が新証拠の医師の意見書などを基に不整脈による自然死の可能性や、虚偽の自白の疑いを指摘し、再審開始を決定、今年3月に最高裁で再審開始が確定しました。その後10月23日に弁護団が記者会見を行い、「検察側が実質的に有罪立証を断念する旨の意向を弁護団に示しており、無罪が確実な状況になった。即日結審で来年三月末までに判決を受ける見通し」としています。
このように「再審開始」というグッドニュースもあるのですが、一方においてわが湖国、わが湖都で起きた、とんでもない冤罪事件も報じられています。つい最近のことです。
去る10月18日に京都新聞が以下のような見出しの記事を掲載していました
《逮捕4回、勾留10カ月、内定だめに 詐欺で無罪の男性「犯人と決めつけられた」》
それほど長い記事ではありませんので以下に全文を記しておきます。
----------------------------------------------
『詐欺罪に問われ10カ月以上勾留された後、9月に大津地裁で無罪判決を受けた20代の大学4年の男性=大阪府=が17日までに、京都新聞社の取材に応じた。客観証拠がほぼない中、滋賀県警と大津地検が「共犯者」の虚偽供述を別の共犯者に伝えて供述を引き出す強引な手法で、有罪立証に突き進んだ。「初めから犯人と決めつけられた。自分のように苦しむ人が今後なくなってほしい」と訴える。
■「なんで黙秘すんねん。やってるからやろ」「しゃべれや、うそつくなや」
昨年7月30日、男性は大阪市内で大津北署の刑事3人に呼び止められ、逮捕状を見せられた。「え、どういうこと?」。心当たりがなく「身に覚えありません」と答えたが、「分かった分かった。あっち(大津)で話を聞くから」と手錠を掛けられた。
容疑は、共謀し、高齢者から現金計200万円をだまし取った疑い。「共犯者」の知人とはアルバイトを通じて知り合ったが、詐欺グループの一員とは知らなかった。男性は知人らの供述によって特殊詐欺の「上位役」にされていた。
答えることがないので、調べには黙秘した。「なんで黙秘すんねん。やってるからやろ」「しゃべれや、うそつくなや」「詐欺は長いぞー、4回は逮捕されるな」などと追及された。それでも黙秘し続け、攻めあぐねた担当の男性刑事は居眠りをし、「調べることがないなら終わって」と男性が起こす始末だった。
■独居房「本当につらかった」
逮捕は4回、勾留は10カ月に及んだ。就職活動で数社から内定を得ていたが、全部だめになった。大学は休学し、留年した。
拘置所は独居房。「会話する相手が全くおらず、本当につらかった」。えん罪に関する本など段ボール6箱分の本を読んだ。母親が連日、大阪から面会に来てくれたのが支えになった。
今年5月、「証拠隠滅の恐れがない」として保釈された。10カ月ぶりに大好物だったコーラを買った。拘置所の食事になれた舌には甘すぎて飲めなかった。
9月27日の判決。知人が自分を陥れたのは分かっていたが、有罪になるかもしれない。不安を抱えて臨んだ法廷で、裁判官は「知人らの証言は信用性に重大な疑義がある」と無罪を言い渡した。傍聴席で母親が号泣し、自分も涙がこぼれた。
県警も地検も、最初から決めつけて取り調べたと感じる。男性は「少しでも『やっていないのでは』という視点があれば変わったのでは」と話す。今月復学し、就活も始めるという。
--------------------------------
(この記事には書かれていませんが、検察側は10月17日に控訴を断念しており、無罪が確定しています)
この記事を読みますと、警察による取り調べ、わが湖都の警察署である北大津署による取調べ、あいもかわらず見込み捜査と自白の強要・・・何も警察は変っていないことがよく分りますね。これでは警察や検察が変ることなど期待できそうもありませぬ・・・
幸い、この犯人扱いされた大学生、とてもしっかりした強い意志の人物でありましたので、自白の強要にも屈せず、冤罪を免れたのですが、誰でもこの人物のように自白を拒否して黙秘を貫き通すことができると限りません。あなたはいかがでせう?密室での強引な取り調べに耐えられますか?
GGIはまったく別の用事で警察署に行ったときに、応接室が空いていないために取調べ室で警察官に会ったことがあるのですが、その密室感はナカナカのものでありました。机と椅子、電話機のほかには何もない部屋、ドアは一つだけ、机を挟んでドアを背に警官が座ります。これでは、逃げ出そうとしても警官に阻まれてしまうという結構な構造です・・・ですから、えん罪に陥れられる可能性は常にだれにでも存在しているというべきでありませう。
この大学生、就職も内定していたのに、さぞかしショックであったことでありませう。でも、誰も話し相手のいないまま、独房に10カ月ものあいだ閉じ込められていたのですが、その間に冤罪などについての本を段ボール6箱分も読んだそうです!すごいですね。強い精神力の持ち主なのでありませう。GGIはいたく感心するとともにダラダラ生活のわが身を深く恥じてしまいました。
しかしながら、この大学生君には悪いのですが、この記事を読んでいて思わずワッハッハと笑ってしまったことがあるのも事実であります。刑事の取調べの様子についてのくだりです。
《それでも黙秘し続け、攻めあぐねた担当の男性刑事は居眠りをし、「調べることがないなら終わって」と男性が起こす始末だった・・・》
取調べの刑事がもう追いつめるセリフを思いつかなくて、考えあぐねているうちに思わず居眠りしてしまうなんて、もうまったくのマンガです!大戯作者のあの井上ひさし氏でも思いつかないシーンです。これが笑わずにおられませうか!やはり事実は小説なんかよりもずっとずっとヘンなのですね。それにこの大学生君、わざわざ刑事を起こしてやるなんて、しっかりした精神の持ち主であるだけではなく、心優しき人物でもあり、GGIはますますこの青年に感心してしまいました。
この大学生君、よき就職先が見つかりますよう、こころからお祈りいたします。
今日の写真は記事に添えられていた、「自分みたいに苦しむ人を生み出さないで」と話す大学生君の姿です(大阪市内)
また、冤罪にまでは至らなくても、警察がたいした法的根拠もなしに狙いをつけた人物を拘留することが少なからずあります。
たとえば、数年前のことですが、湖都の警察署に某知人がつまらないことで捕まり拘留されていたことがありました。出会いがしらに殴った殴ってないという喧嘩とまでは言えない小さなイザコザだったのですが、起訴できる見込みなどまったくないのに、嫌がらせに警察での勾留が許される最長の期間、すなわち20間勾留されるというがありました。
途中何回か会いにいったのですが、接見禁止ということで一度も会うことはできませんでした。このとき、別の知人に「GGIよ、これはひどい、人権侵害であることは明らか、GGIよ、警察署長宛て即時無条件釈放を求める要求書のひとつぐらい書いたらどうだ」と言われてしまいましたので、実名・実住所で手紙を出したことがあります。もちろん返事なんか来ませんでした・・・
なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・・
グッドナイト・グッドラック!