『昨日のまこと、今日のうそ』宇江佐真理/文春文庫
■ 久しぶりの髪結い伊三次捕物余話シリーズ。文春文庫に昨年12月に収録されたばかりの『昨日のまこと、今日のうそ』を読む。
巻を重ね、時は流れ、伊三次とお文さんは今や脇役で主役は息子たちの世代に。**互いに連れ合いに恵まれた子供達の姿を見るのも伊三次の楽しみだった。さて、子供達はどんな女房や亭主を持つのだろうか。**(「花紺青」180頁)と思ったりする。
伊三次とお文さんが一緒になるのか、ならなのか、と気をもみながら読んだのがいまや懐かしい。
「汝、言うなかれ」はサスペンスタッチの作品。例えば松本清張の短編の推理小説にもありそうなストーリー展開で、収録されている6作品の中では異色。
シリーズ全16作品の内、文庫化されていないのは次の2作品のみとなった。今年中に文庫化されるのではないか。早く読みたい気もするが、このシリーズを読み終えてしまうのが寂しいような気もする。