透明タペストリー

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北 杜夫が現代語訳した「竹取物語」を読んで

2024-03-26 | A 読書日記

 私の村では4か月児にファーストブック(絵本)を、小学1年生にセカンドブックをプレゼントする事業を既に実施している。令和6年度から小学6年生にサードブックをプレゼントする事業を実施する予定とのことで、図書館協議会委員を務めている関係で私もサードブックに相応しい本の推薦を依頼され、3冊推薦した(過去ログ)。その中の1冊に「21世紀版 少年少女古典文学館」(講談社)の第1巻、橋本 治が現代語訳した「古事記」を選んだ。


私が推薦したサードブックの3冊

先日、図書館へ推薦本を持参し、担当者に3冊の本の推薦理由を説明した。その際、図書館に「21世紀版 少年少女古典文学館」全25巻が揃っていると聞いた。このシリーズの第2巻に北 杜夫の「竹取物語」と俵 万智の「伊勢物語」が収録されている。北 杜夫の「竹取物語」も読んでみたい、と前から思っていたので、第2巻を借りてきた。

本の見返しに「寄贈本」というスタンプが押してある。どなたかが全巻寄贈されたのだろう。すばらしい。


スタバで朝カフェ読書。昨日(25日)第2巻の『竹取物語』(図書館本)を読んだ。私は小学生の時に「かぐや姫」という書名の『竹取物語』を読んでいると思う。多くの人が私と同様に小学生の時に読んでいるだろう。

『竹取物語』は平安前期に成立した物語で、『源氏物語』に出てくる。第17帖「絵合」に**まず、最初につくられた、物語の元祖というべき「竹取物語」と「宇津保物語」を取り上げて勝負を競う。**とある。(角田光代 現代語訳『源氏物語』上巻 河出書房新社 518頁)

『竹取物語』はこのように日本最古とも言われる物語。改めてこの物語を読んで、これはSFだと思った。そう、日本最古の『竹取物語』はSF。物語の最後に、「え、そうなのか」と思った箇所があったので、記しておきたい。

**調石笠(つきのいわかさ)はそのおことばをうけたまわって、兵士たちをおおぜい引きつれて、山にのぼったが、そのときから、その山を「富士の山」、つまり「士(つわもの)に富んだ山」と名づけたのである。**(112頁)

私は、二つとない山という意味で不二の山、その表記が富士の山となったという説明を記憶しているが・・・。富士山という名前の由来が『竹取物語』にあったとは。

調石笠は帝の使者で、本の注釈に**調氏(つきし)は古く応神朝に帰化した百済系の氏族。もちろん、月と同音なので選ばれた登場人物。石笠(いわかさ)の名も、山の岩と月の暈(かさ)を響かせてあるのかもしれない。**(112頁)とある。少年少女向けとはいえ、解説は詳しい。「古事記」もそうだった。

このシリーズには朝ドラ「らんまん」の寿恵子がこよなく愛した『南総里見八犬伝』も収録されている。第21巻の「里見八犬伝」だ。現代語訳したのは栗本 薫。これ、読んでみよう。

他にも、「うつほ物語」津島佑子、「西鶴名作集」藤本義一、「東海道中膝栗毛」村松友視など、読みたい物語がこのシリーズに収録されている。安部公房も年内に手元の新潮文庫22冊を読みたいし、他にも読みたい本は次々出てくる。忙しいなぁ。でもうれしい。


 


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