透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

8 佐久市伴野の火の見櫓

2024-04-04 | A 火の見櫓っておもしろい


1497 佐久市伴野 4柱4〇型トラス脚 2024.04.02

 浅間山を背景に立つ火の見櫓。周辺が雑然としているのが残念。


浅間山を背景にすることを諦めて撮った写真。


見張り台に比して屋根が小さいが、なんとなくまとまって見えるのはなぜ? 見張り台の手すりが内傾していて、屋根に向かって徐々に小さくなっていく、というようなイメージを抱かせるのも、その一因か。見張り台の手すりの他に、4本柱の3方を囲む手すりが設置されている。


脚部 錆止めのシルバー塗装がかなり剥離している。

  

柱の接合部分 当て板をして溶接接合している。このような接合に気がついたのは初めて。右の写真のように柱材の等辺山形鋼を重ねてボルト接合するのが一般的。この場合、普通は上部の山形鋼の方が下部の山形鋼よりサイズが小さい。


 


7 佐久市伴野の火の見櫓

2024-04-04 | A 火の見櫓っておもしろい


1496 佐久市伴野 今岡公民館の近く 4柱4〇型トラス脚 2024.04.02

屋根の上がにぎやかだ。見張り台の手すりがふわっと柔らかそうな印象。




地上から踊り場まで掛けられている外付け梯子。注目は梯子に付けられている手すり。櫓内の梯子まで伸ばしている。これは見た目はともかく、機能的には良い。


柱材と補強材の間に入れられている部材が2本。3本なら迷うことなくトラス脚とするが2本だと迷う。


 


6 佐久市伴野の火の見櫓

2024-04-04 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)佐久市伴野 道路の右側は岸野小学校 4柱8〇型たばね脚 2024.04.02


この立ち姿! なかなか好い。


8角形の屋根は東信地域では少なく、4柱の櫓では7.5%(21/281)に過ぎない。




脚部の直上に櫓内に入るための開口がある。


開口まで柱材に取り付けたアングルピースに足を掛けて登る。


 


5 佐久市根岸の火の見櫓

2024-04-04 | A 火の見櫓っておもしろい


)佐久市根岸 4柱4〇型ロングアーチ脚 2024.04.02




撮影日2016.10.10

 この火の見櫓を目にした時、既視感があった。だが、周囲の様子が違う・・・、初めて見る火の見櫓なのかな。帰宅して確認した。②と③の写真を見比べる。橋が架けかえられ、雑木も撤去されている。だが近くの電柱が全く同じ。








脚部のタイプ トラス脚と言えなくもないが、脚部の主材(柱材)を補強する部材の形状にまず注目してロングアーチ脚とする。櫓全体を見ると、端脚。



⑦のように真正面から立面的な写真を撮ることができれば、プロポーションを数値的な指標を把握しやすい。プロポーションは櫓の逓減率(柱脚の間隔と見張り台床面の柱の間隔の比  黄色い線分)と柱脚から櫓の見張り台の床面の高さ( 赤い線分)とで示すことができるのではないか。以前からこのように考えていたが、どうだろう。


 


ブックレビュー 2023.03

2024-04-04 | A ブックレビュー



 安部公房生誕100年の今年(2024年)、『箱男』が映画化され、公開される。あの前衛的な作品がどう映像化されたのか興味深い。観たいと思う。新潮文庫に収められた安部公房作品(戯曲を除く)を一通り年内に再読しようと思い、3月は4作品読んだ。

さて、3月読了本のレビュー。

『他人の顔』安部公房(新潮文庫1968年発行、1972年8刷 解説 大江健三郎)
自己を根拠づけるものは一体何なのか、それは顔なのか・・・。

『人間そっくり』安部公房(新潮文庫1976年発行、1993年28刷)
「私は人間である」という証明不可能なことに対処するって、どういうことなのか・・・。

『石の眼』安部公房(新潮文庫1975年)
推理小説仕立ての作品。よくできたストーリーだとは思うが、なんとなく物足りなさを感じてしまった。

『夢の逃亡』安部公房(新潮文庫1977年)
初期の短編集。人間とはなにか、人間が存在するとはどういうことなのかを問う。安部公房の一貫したテーマ。

『ウマは走る  ヒトはコケる』本川達雄(中公新書2024年)
**サイズとデザインの生物学 完結篇!**(帯から)
歩く・走る、泳ぐ、飛ぶ。動物の移動という運動行為そのもののメカニズム、それを可能にしている動物の体のメカニズムを網羅的に分かりやすく説く。

『豆腐の文化史』原田信男(岩波文庫2023年)
豆腐の発生地、発生時期に関する論考、さらに全国各地を訪ね歩き、その地に伝わる豆腐の製法、調理法などを調査した成果をまとめた1冊。書名の「文化史」にこの本が決定版だという自負が感じられる。

『流人道中記』上下巻 浅田次郎(中央公論新社2020年 図書館本)
浅田さんはこの小説で裁きが依拠する「法」とは何か、を問う。
姦通の罪を犯し、蝦夷松前藩への流罪となった旗本・青山玄蕃と押送人の見習与力・石川乙次郎。津軽の三厩を目指す奥州街道ふたり旅に起こる騒動。最後に明らかにされる罪の真相。
浅田さんは上手い。『一路』上下巻(中公文庫)など他の作品も読みたい。

「21世紀版 少年少女古典文学館」(講談社 全25巻 図書館本)第2巻「竹取物語」現代語訳:北 杜夫 
「源氏物語」にも出てくる日本最古と言われる物語。


※ 『言語の本質』今井むつみ 秋田喜美(中公新書 過去ログ)が「新書大賞2024」に決まった(2024年3月24日付 信濃毎日新聞 文化短信)。


「13歳からの地政学」を読む

2024-04-04 | A 読書日記


朝カフェ読書@スタバ 2024.04.01

『13歳からの地政学』田中孝幸(東洋経済新報社2022年3月10日第1刷発行、2023年2月8日第11刷発行)を読んだ。

この本は3月23日付 朝日新聞の読書面に「売れている本」として紹介されていた。紹介文の最後は**文字通り13歳から社会人まですべての人に読んでもらいたい一冊である。**と結ばれていた。ならば、自分も読んでみようと、いきつけの書店で買い求めていた。数日前に読み始め、昨日(3日)読み終えた。

高校生の兄と中学生の妹が夏休みの間、カイゾクというあだ名のおじいさんから受ける7日間の講義。自分が経営するアンティークショップで、おじいさんが地球儀を使って兄妹に説くのは「世界の政治、経済、社会のなぜ」。なぜ中国は南シナ海を欲しがるのか、なぜアフリカは貧しいのか・・・。

なるほど、こういうことなのか。

難しいことを難しく語るよりも、難しいことを易しく語る方が難しい。この本は後者だ。中高生の兄妹に上記のような難題を易しく説いている。小説仕立てにして読みやすくしたのはなかなかのアイデア。7日間の講義が7章に対応付けられ、それぞれの章末にポイントが箇条書きにされているのもありがたい。

カイゾクは最終日に出す問題に答えられたら地球儀をプレゼントするとふたりと約束する。講義で使ったのはディプロマットという地球儀で、ホワイトハウスで歴代の大統領が使っていたものと同じモデル。それはショップのウィンドウに飾られていた年代物の地球儀で値札には時価と表示されていた。

7日間の講義が終わり、カイゾクがふたりに出した問題は、自分にとっての世界の中心はどこか、というものだった。

ぼくは、どこだろう・・・。そう言えば『世界の中心で、愛をさけぶ』という小説があったなぁ、などと思いつつ、ふたりはどんな答えをしたんだろうと、先を読んだ。

ふたりの答えはここには書かない。様々な答えがあるだろうが、ふたりの答えはそれらの代表的なもの、だと思う。

一読をお薦めしたい。