透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「心星ひとつ」 高田 郁

2017-03-15 | A 読書日記

みをつくし料理帖シリーズ全10巻 高田 郁/ハルキ文庫
「八朔の雪」
「花散らしの雨」
「想い雲」
「今朝の春」
「小夜しぐれ」
「心星ひとつ」
「夏天の虹」
「残月」
「美雪晴れ」
「天の梯」



■ みをつくし料理帖シリーズ全10巻 高田 郁/ハルキ文庫 第6巻「心星ひとつ」を読み終えた。

二十歳そこそこの主人公、澪は人生の大きな岐路に立たされる。

吉原の翁屋の楼主の誘いを受けて吉原で天満一兆庵を再建するのか、登龍楼の店主の神田須田町の店を居抜きで買わないかという申し出を受けてつる屋を移すか・・・。

**「ひとは与えられた器より大きくなることは難しい。あなたがつる屋の料理人でいる限り、あなたの料理はそこまでだ」**(75頁)という料理番付の行司に名を連ねる料理屋の店主の言葉。

この巻の終盤。**「妹早帆から、母がつる屋に乗り込んだ、と聞いたのはこの夏のこと。さらにその母から、澪という娘を小野寺家へ嫁として迎えよ、と命じられたのは、半月ほど前のことだった」**(252頁)**「腎の臓を病んだ母の、命がけの懇願だった。それに詳しくは申さぬが、文月の初めに同役の者が二名、失態で腹を切ったことも重なり、ふと、このまま死ぬるならば悔いは何か、と柄にもなく考えた」**(252頁) 小野寺が澪にこう語る。(中略)**「俺の女房殿にならぬか」**(253頁

**源斎先生、と澪は口を開いた。
「道が枝分かれして、迷いに迷った時、源斎先生なら、どうされますか」
(中略)
「私なら、心星を探します」
(中略)
「悩み、迷い、思考が堂々巡りしている時でも、きっと自身の中には揺るぎないものが潜んでいるはずです。これだけは譲れない、というものが。それこそが、そのひとの生きる標となる心星でしょう」**(281、2頁)

敢えて引用しないが、澪が出した結論が巻末、最後の2行に書かれている。

経緯は書かないが、この巻で澪は野江と最接近する。澪はこれからどう生きていくのだろう、野江はこの先どうなるのだろう・・・。

お芳さんのことも気になる。**「(前略)どこか大店の旦那の後添いにおさまって、女将としての采配を振るなんてのが、ご寮さんには、いかにもはまり役だと思いますがねぇ」**(32頁)と、おりょう。


 **百五十年ほど昔のことだが、「明暦の大火」では、死者は十万人を超え、千代田の城も本丸を失った。**(147頁)つる屋のある元飯田町でぼやが頻発して、火の使用時間の制限を受けてしまうなどということも起きた。その時、澪は料理を工夫して切り抜けたが。


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