8月の読了本はこの3冊。
『日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』森下典子/新潮文庫
**お茶を習い始めて二十五年。(中略)がんじがらめの決まりごとの向こうに、やがて見えてきた自由。「ここにいるだけでよい」という心の安息。雨が匂う、雨の一粒一粒が聴こえる・・・季節を五感で味わう歓びとともに、「いま、生きている!」その感動を鮮やかに綴る。** カバー裏面の本書紹介文より引用。
著者は秋11月の雨音と梅雨6月の雨音が違うことに気がつく。そして同じ雨なのになぜだろう?と考える。そして気がつく。11月は葉っぱが枯れてしまっていて、雨は淋しげに土にしみ込んでいく。6月の雨音は、若い葉が雨をはね返す音なんだ、と。
豊かな感性を以って感じる四季のうつろい、時の流れ。いいなあ。
『屋根の日本史 職人が案内する古建築の魅力』原田多加司/中公新書
著者の原田氏は檜皮葺師・杮葺師で、国宝・重文などの屋根の修復を多数手がけておられる。
本書で、原田氏は現場で得た直接的な経験・情報(知識)を基にこの国の伝統建築の屋根について、いや、建築そのもについて詳細に論じている。机上で得られる間接的な情報を基にした論考とはやはり違う。 2009年初読
『新 共生の思想』黒川紀章/徳間書店
何年ぶりかの再読。
「共生」をキーワードに広く経済・社会・文化を論じている。これだけ広範な領域を対象に論考した黒川氏はやはりすごい。これ程の知的バックボーンを以って建築設計に取り組んだ建築家を他に知らない。
今夏盛り上がったサッカー・ワールドカップロシア大会、その主要会場だったサンクトペテルブルク競技場は黒川氏の設計。
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ただ、出版物という形で、ちゃんとした版元から上梓できるというのは、ありがたいことです。来春には岩波新書からも出す予定です。
さすがに、中公・岩波・ちくま新書あたりになると、編集者のレベルが有象無象とは違い、大学の先生と話しているような感じです。
光文社新書や集英社新書からも、お声はかけていただきますが、「御三家」あたりとどうしても比べてしまいますので、話がなかなか前に進みませんw
先日「屋根の日本史」を再読しました。
中公新書に岩波新書とは・・・、
すごいの一言です。