透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

― 気がつかなかった・・・

2014-01-26 | A 火の見櫓っておもしろい

 塩尻西小学校の近くにあるこの火の見櫓を取り上げるのは2回目です。1回目の記事はこちら。1回目はカーブの美しさに注目していました。逓減(ていげん)率*1が大きく、柱のカーブが美しい櫓です。

1回目に注目しなかった、もとい、気がつかなかったのが脚元の屋根。不思議ですね、見てはいるのに、脳が認識しないなんて・・・。1回目の写真を見直していて、もしかして、もしかして・・・と思い、確認に出かけてきました。



防災無線のスピーカーを設置している火の見櫓は少なくないですが、このように屋根の頂部にきちんと設置しているものは少ないように思います。半鐘を踊り場に移設し、替わりにサイレンを設置しています。なぜ手すりを内側から囲っているのか・・・、分かりません。4隅を面取りしてありますが、その見付け幅を調整して手すり子のピッチを揃えてあります。総じて丁寧なつくりだと思います。



左側手前の柱を見るとなめらかな曲線を描いていることがわかります。この曲線は櫓の美しさを決める大きなポイントです。



いつも指摘していますが、脚部のトラスが下端まで伸びていないで、途中で終わってしまっているのは残念です。美脚ポイントを下げています。

でも、かなり美しい部類に入る火の見櫓です。

1 櫓のプロポーション ★★★★★
2 屋根・見張り台の美しさ ★★★★☆ 
3 脚の美しさ ★★★★☆



やはりそうでした。脚が屋根を貫いています。このように表現すると屋根が先にあって、その屋根を後から脚が貫いたと理解されてしまいそうです、屋根が先で脚が後だと。でも実際はその逆、そう考えるのが妥当でしょう。南信方面に多い、この貫通型が塩尻にもありました。


*1 逓減率  脚の直上にある横架材の長さ(L1)に対する見張り台直下の横架材の長さ(Ln)の比、Ln/L1と定義しています。nはn段目の横架材であることを示しています。この櫓の場合、nは6です。多重塔のプロポーションの定量化に関する研究の方法に倣いました。L1が4メートルでLnが2メートルなら逓減率50%となります。この火の見櫓の場合、およそ33%と1回目の記事にあります。逓減率は現場で目測するか、全形写真にスケールを当てて測って知ることができます。櫓を実測できれば正確な値を得ることができますが、現実的ではありません。


   


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