透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「ソラリスの陽のもとに」スタニスワフ・レム

2010-02-14 | A 読書日記
 

「ワインバーグの文章読本」読了。文章を構成することは自然石を積み上げて壁をつくることと似ている。文章を書く方法を自然石構築法に喩えて教える本。



全20章で構成されているが、各章の扉には石積みの写真とその説明文が載せられている。それが各章の概要を分かりやすく伝える役目を果たしているのが巧み。この手の本をときどき読み返すことも必要かも知れない。

この本の一番の教えは帯の**興味のないことについて書こうと思うな**だった。ブログにも、もちろん当て嵌まるだろう・・・。



 哲学的思索に満ちたSF小説『ソラリスの陽のもとに』スタニスワフ・レム/ハヤカワ文庫を読んでから17年が経つ。

「惑星ソラリス」はこの小説を原作とするタルコフスキーの映画。キューブリックの「2001年宇宙の旅」と共に印象に残っているが、両者は全くタイプの異なる映画だ。「ソラリス」というタイトルで7、8年前に再度映画化されたが観たいとはあまり思わなかった。

久しぶりのSF、ようやく小説モードになってきた。名作には再読させる力がある。


「キリマンジャロの雪が消えていく」

2010-02-14 | A 読書日記



■ **アフリカ大陸と聞いただけで、反射的に大草原を移動する野生動物の群れや、雨季の到来とともに大地を覆う花を思い出す。アフリカほど、動植物の種類に恵まれて多様な自然に富んでいる大陸はないだろう。** 著者はアフリカについてこう書いている。私もテレビの番組などを通じてアフリカに対してこのようなイメージを抱いている。

その一方で、**干ばつ、飢餓、内戦、クーデター、政治腐敗、エイズ、海賊・・・** アフリカ発のニュースはこんなことに終始する。

本書は30年間アフリカに足を運んだ著者による「アフリカ環境報告」。

**貧困や環境破壊の大波に翻弄されるアフリカを救い出す特効薬は、これまでのところ見つかっていない。多分、そうしたものはないだろう。** 著者はあとがきにこう書いている。

本書を読むとアフリカを救う手立てはないな・・・と暗澹とした気持ちになる。

**国土の北半分がサハラ砂漠というチャドでは、森林保全と砂漠化進行の防止のため、政府は二〇〇八年一二月から「木炭」の使用を禁止した。木炭を運搬する車両は焼却処分され、取引に関与した者は逮捕されることになった。政府は価格を抑えてはいるが、貧しい住民に代替燃料の天然ガスボンベを購入する余裕はなく、きびしい措置に暴動騒ぎまで起きた。アフリカの人々にとって、燃料材は自分たち自身の「呪いの資源」である。**

アフリカの実情をあまりにも知らない・・・。