グランド・マスターとの闘い～フィナーレ

次の一手を待っていたヒゲの目に、ベント・ラーセンの右手が　ｈ　のポーンの方に動いた。
フン、なるほどナ。
とりあえず　ｈ３　としておけば、トン死は避けられる。
妥当な選択だろう。
しかし　・・・
３３．　ｈ４！
　　　　　　　　　
何だ！　コレは？
ｈ３　ではなく、　ｈ４！　　　学生ヒゲは、我が目を疑いました。
黒のクイーンは白陣に侵入し、今にもチェックから、パーペチュアルＣＨのドローを画作している。
そんな時、離れ駒のリスクを冒すとは！
当時のヒゲ（或いは当時の日本）の棋力では、思いもよらぬ妙手です。

３３．　・・・　　Ｋｆ７　　　３４．　Ｑｅ１！　　Ｂｅ６　　　３５．　ｈ５！　　Ｑｂ２
　　　　　　　　
Ｑｅ１　が、前述の　ｈ４　と関連してるのです。
ｅ６ｃｈ　を許せないので、顔面受けの　Ｂｅ６　。　何とも辛い受けだ。
そして、ヒゲの　Ｑｂ２　と潜り込むンで、脅した。
次は、ポーンを獲って、しかもチェックだ。
しかし、　・・・

３６．　Ｑｈ４！　　　ウワ－ッ！
そんなコケ脅しは無視して、コペンハーゲンのＧマスターは決めにきた。

３６．　・・・　　Ｑ×ｄ４ｃｈ　　　３７．　Ｋｈ２
今度は、黒が守る番だ。
Ｑｆ６ｃｈ　を塞がないといけない。

３７．　・・・　　Ｎ×ｅ５　　　３８．　ｈｇｃｈ　　Ｎ×ｇ６
黒ナイトは、八艘跳び顔負けの活躍で凌ぐけれど、とうとう力尽きる。
　　　　　　　　　　
３９．　Ｑ×ｈ７ｃｈ　　Ｑｇ７　　　４０.　Ｑ×ｇ７ｃｈ　　Ｋ×ｇ７　　　４１.　　Ｎ×ｅ６ｃｈ　　Ｋｆ６
４２．　Ｎｄ４　　　　Ｎ×ｆ４　　　４３．　Ｎ×ｃ６　　　　Ｋｅ６ 　　　４４．　Ｂｃ２ 　 Black resign
　　　　　　

世の中には、こんな強い人も居るンだ。
ヒゲは、驚きました。
更に、こんな強い人を、６ー０　でスイープしてしまうプレーヤーがいる。
世界は広いことを、悟らされた瞬間でした。
そんな最強の選手・Ｂフィッシャーの映画　『 完全なるチェックメイト』　が、
１２月２５日から公開されるようだ。
ＶＳ　スパスキーのチャンピオンシップがテーマ。
その当時、リアルタイムに生きたヒゲには見逃せない。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
こうして、ファッション用語・シックの赤恥から始まり、エキシビションの誤解を経て、
ノーネクタイ対局までの長い長い２日間が、終了したのでございます。

　　　　　　　
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