局の道楽日記

食道楽、着道楽、読書道楽  etc
生活色々を楽しんで暮らしている日々の記録です

ある夏の日の思い出(後編)~うってかわって暗いかも

2006-08-24 11:17:05 | 記憶の箱
さて、アホをしながら金沢を満喫した後、局一家は友人一家4人と合流した。
子供たちの幼稚園が一緒でご近所だったこと、そこのママと気もあって家族ぐるみのお付き合いをしていた一家だ。アウトドア好きなご主人が金沢出身だった。キャンプ道具を積んでエスティマで来ていた。それに同乗して 福井の海岸のキャンプ場へ・・・

私にとってキャンプ場って言うのは初めての経験だった。友人夫が手際よく二つのテントを張って行くのを感心しながら眺めて、(夫も私も役立たずだったと記憶している)金沢で仕入れた食材の下準備をした。バーベキューと焼きそばというキャンプの定番みたいな食事をして、大人がビールを飲んでいる傍ら、子供たちは花火をしたり、ゲームをしたりで楽しそうだった。
楽しかったが、隣の学生たちがうるさいのと、下の地面の凹凸が気になったりで私は殆ど一睡もできなかった。夫も眠れなかったようだ。その後アウトドアとかキャンプとかまるっきり言い出さないのでほっとしている。彼は虫嫌いで、モノグサで、所詮都会っ子ってことだろう。
友人夫の頼もしい働きぶりや、パパの命令に従ってきびきび動きまわる子供たち、よくしつけたもんだわね~ と 友人に言ったものだった。


そして、友人一家(H家)と我が家ともこういう交流がずっと続き、お互いの子供たちの成長もずっと見られると思っていたのだ・・・

その翌年、H家のご主人の会社が倒産した。バブルの弾けた後もがんばっていたらしいがそれが裏目に出た形でかなり負債も背負ってしまった。
専業主婦だった友人はパートに出て、ご主人は色々な職を掛け持ちして朝から夜中まで不規則に働いていた。
子供達には今まで通りのことをさせたいとかなり無理していた と 後で友人から聞かされた。
そして、上の女の子が高校に入ったばかりの年、ご主人の肺がんがわかった。若かったから進行が早く、脳に転移してしまい、半年後に亡くなった。友人は若い未亡人になった。パート先から 正社員にならないかと言われ 言われるままに正社員になった。そして残業代も出ないで一日12時間くらい働き続けている。
上の女の子は、高校時代はずっとママを助けて家事をしていた。とても美少女に育った彼女が遊びにも行かずに家にいるので 私は「Mちゃんそんなに可愛いのにボーイフレンドいないの?」と からかったもんだった。ところが大学に入ってバイト先の一回り年上のカフェの店長と仲良くなったあげく、彼女は家を捨てた。外泊が多くなり、連絡をとりたがる友人に一切の連絡をしなくなった。友人は反対しているわけではなく、きっちりけじめをつけて大学も卒業して欲しいだけなのに。ごくたまに連絡がとれても はい、とごめんなさい としか言わないらしい・・・
大学も行っていないようだ。
友人は浪人中の下の男の子と二人暮らしをしている。今の生きがいはその子だけだけど、あまりそればっかりだとまた上の子の二の舞になるから怖いと友人は言う。

今思うと、亡くなったHさんは昔ながらの家長だった。完全に家庭を統率し、自分が法律、自分の価値観が絶対だった。それに従っていた友人と子供たち。上の女の子はものすごくパパっ子だった。客観視すれば今回も自分を導いてくれるパパを外に求めてしまっただけだと思う。
私は、その間彼女(ママ)とずっと付き合いを続けてきた。
そして、悲しいけれど、家族って言うものが 決して磐石ではないこと、何かのきっかけでもろく崩れていくってことを学ばせてもらった。
自分も親から離れて別に一家を構えているわけだけど、子供が離れていった両親の気持ちを初めて (淋しかったのかもな) と しみじみ思いやるきっかけになったし、子供たちは自分から離れていくものだという覚悟もできたような気がする。

先週も、ビール持込で彼女の家で飲んだ。
大変な思いをしてさすがにやつれたけど、夫が昔「幼稚園のママの中で一番光り輝いてる(笑)」と言った美貌は健在だし、苦労してるのに人への思いやりは忘れないし、相変わらず良い人だ。
おせっかいにも浪人生に 「がんばりなさいよ」と声をかけて、毎日の激務で疲れた~と嘆く彼女に そんなに仕事ばっかりやって雇い主の思うツボになってどーすんのよ?といつも通り言ってしまった(だって本当に搾取されてるんだもの)
また「誰か男でも作れ、あーたならまだイケル」と言ってしまって 遺影と目があって少しあせった。

あの夏の写真、家の子供達は自由研究のネタにしたのでたくさん撮ってアルバムに張ってある。しかし、そのキャンプの写真は見たくない。Hさんを恨んでしまいそうだから。



コメント
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