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在沖米軍基地で新型コロナウイルス感染が拡大

2020年07月16日 | 国際・政治
7月13日以降の当ブログでも紹介していますように、在沖米軍基地で新型コロナウイルス感染者が拡大しており、7月14日現在100名を超えました。普天間基地やキャンプ・シュワブではクラスターも発生しています。12日に羽田空港に到着した米軍関係者3人がPCR検査で陽性が確認されたにもかかわらず、検疫結果を待たずに米軍岩国基地に移動するなど、日米地位協定を盾にした傍若無人ぶりが表面化しました。
2020年7月15日付け「しんぶん赤旗」から記事を転載させていただき、紹介することにします。(サイト管理者)


※以下、転載はじめ↓


<在日米軍感染拡大>
――沖縄で100人 情報公表は米側次第――


在沖縄米軍基地で新型コロナウイルスの感染が急増しています。(7月)14日までに100人の陽性が確認され、基地とフェンス1枚隔てた生活を余儀なくされている県民に衝撃を与えました。なかでも普天間基地(宜野湾市)、キャンプ・ハンセン(金武町など)ではクラスター(感染者集団)発生の可能性が濃厚です。

さらに12日には、羽田空港に到着し、PCR検査で陽性が確認された米軍関係者3人が、検疫結果を待たずに岩国基地(山口県岩国市)まで移動。在日米軍司令部は、日本の手順を順守すると表明していましたが、これを公然と踏みにじった形です。現在、米国からの入国は原則禁止されていますが、日米地位協定で米軍は出入り自由なため、日本の当局には入国拒否も、隔離措置を取る権限もありません。


■県が公表を要請
 
沖縄に加え、本土では7基地で感染者が確認されていますが、人数や所属部隊、行動履歴、感染経路など詳細はほとんど明らかにされていません。なかでも、横須賀基地(神奈川県横須賀市)をめぐっては、在日米海軍のフォート司令官が「30人以下」と述べていたものの、地元への情報提供は6人にとどまっています。

沖縄での感染拡大についても、在沖縄米軍は当初、人数などについて非公表を求めていたものの、沖縄県が強く要請し、公表に踏み切りました。

日米地位協定に基づく日米合同委員会合意では、米軍基地内での検疫情報について、米軍当局と地元の保健所の間で情報が共有されることになっています。しかし、公表の可否は米側の判断に委ねられています。さらに、米国防総省は3月30日、基地や部隊ごとの新型コロナ感染状況を非公開とする指針を公表。日本政府はこれを口実に、米側に感染状況の公表を求めようとしていません。


■在韓米軍は公表
 
一方、在韓米軍司令部は基地内の感染状況について、所属部隊や感染者の属性、感染経路、隔離場所にいたるまで詳細に公表しています。菅義偉官房長官は13日の会見で、沖縄県と在沖縄米軍の対応は「例外的」だと説明しましたが、例外扱いは許されません。


【出典】2020年7月15日付け「しんぶん赤旗」


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沖縄の在日米軍基地で新型コロナのクラスター発生(2)

2020年07月15日 | 国際・政治
一昨日の当ブログで、沖縄県の在日米軍基地の「普天間基地」と「キャンプ・ハンセン」において、新型コロナウイルスの感染者が61人確認されたことを紹介しました(その後、63人との報道あり)。
そこで、昨日の当ブログで転載した2020年7月10日配信「現代ビジネス」に続き、今日は13日配信の「現代ビジネス」から同じく元東京新聞論説兼編集委員で防衛ジャーナリストの半田 滋氏の記事を2日に渡って連続して転載させていただき、紹介することにします。(サイト管理者)


※つづいて【2020年7月13日配信「現代ビジネス」】から
 以下、転載はじめ↓


<唖然…沖縄で「コロナ大感染」恐れていた最悪の事態が起きてしまった>
――それでも沖縄県は何もできない…――


半田 滋(防衛ジャーナリスト)


■ついに大規模感染が起きた…

恐れていた事態が、ついに現実になった。

沖縄の米軍基地で新型コロナのクラスターが複数発生し、感染者は今月に入って12日までに63人にのぼった。

しかも米軍は、感染者が米兵なのかその家族なのか属性を明らかにせず、行動履歴の開示も拒んでいる。これでは基地を抱える沖縄県は感染症対策の手の打ちようがない。

普天間基地(宜野湾市)で7月8日に5人の新型コロナの感染者が判明、9日にはキャンプ・ハンセン(金武町)で複数の感染者が出たが、11日なって数字が跳ね上がり、一気に60人を越えた。

一方、沖縄県内では8日に69日ぶりに県内で2人の感染がわかり、9日に1人増えて合計3人の感染が確認されているが、沖縄県民の人口約145万人のうちの3人に対し、在沖縄米軍は2万5843人(2011年6月現在、沖縄県調べ)のうちの63人となり、異常なほど高い感染率を示している。

沖縄の中には、日本と米国という2つの国があるのに等しい。米国は基地を提供している側の日本に対し、基本的な情報さえ提供しない。これで信頼関係など築けるはずがない。

米国では感染者が300万人を越え、8日には6万人の新規感染者を記録した。日本政府は米国からの上陸拒否を続け、水際対策を徹底しようとしている。

しかし、米軍だけは例外なのだ。


■数百人でバーベキュー

日米地位協定第9条2項には「合衆国軍隊の構成員は、旅券及び査証に関する日本国の法令の適用から除外される」とあり、米兵は入国に関わる一切の手続きを免除されている。当然ながら検疫もない。日本政府の水際対策は「ただし、米兵を除く」という一文が加わったザルというほかない。

米国は9月に会計年度が切り替わる。これに合わせて米軍では7月、8月に世界規模での人事異動があり、在日米軍専用施設の7割が集中する沖縄には大勢の米兵や軍属が押し寄せている。

基地が所在する他の自治体も例外ではない。11日には神奈川県の米海軍厚木基地(大和市、綾瀬市)が「基地内で複数のコロナ感染者が出た」と発表した。だが、沖縄の米軍同様、感染者の属性、行動履歴は発表していない。

米軍は出国前に14日間の行動制限(隔離措置)を行い、日本に入国した後も同じく14日間の行動制限をしているという。こうしたコロナ対策が確実に実行されているならば、なぜ基地内で感染者が急増しているのか。

米国の独立記念日にあたる7月4日、沖縄県の各部隊は記念行事を縮小する方針を示していたが、実際にはバーベキュー・パーティーなどが開かれ、基地の外に繰り出す米兵たちが目撃されている。

沖縄タイムスによると、同日、うるま市の肝高公園で管理者の県から許可を得ないまま元米兵の男性が主催するバーベキューやアルコールを提供するイベントが開かれ、米国人や地元の人ら数百人が参加した。

東京の在日米軍司令部が健康保護のための警戒レベルをC(重大)からB(中程度)引き下げたのに合わせて、沖縄の在日米海兵隊は6月17日から米兵の外出を緩和していた。このタイミングで独立記念日を迎えたのだ。


■最高レベルの感染防止対策?

米軍はクラスターの発生に伴い、10日になって普天間基地とキャンプ・ハンセンのロックダウン(閉鎖)を実施し、さらに1日後の11日午後になって、ようやく感染の急拡大を沖縄県に通報した。

慌てた玉城デニー沖縄県知事は、在沖縄米軍トップのステーシー・クラーディー四軍調整官(海兵隊中将)と約30分にわたり、電話で会談した。

玉城氏は「米国から沖縄への移動禁止」「基地内の感染防止対策を最高レベルに引き上げ、違反者の米国への送還」などを求めたのに対し、クラーディー氏は「私の権限における最高レベルの感染防止対策を取っている。米国から沖縄への移動禁止は私の権限では答えられない」と答えたという。

電話会談後、玉城氏は「米軍の感染対策に強い疑念を抱かざるを得ない」と強い口調で米軍を批判した。

沖縄県は米軍の要請にもとづき、提供された感染者数の公表を控えてきたが、クラーディー氏が「私に権限はないが、県が公表しても報告を続けたい」と答えたため、県が感染者数の公表に踏み切った。これにより、11日だけで45人が感染し、7月に入って60人を越えたことが明らかになった。

米軍が情報を出し渋るのは、米国防総省が3月30日、「新型コロナ・データの公表基準」を発出し、「運用上の安全への懸念から、(感染者の所属する)個別の部隊、基地、司令部での集計は公表しない」との方針を示しているためだ。

一方、日米両政府の間には2013年1月の日米合同委員会で取り交わした「在日米軍と日本国の衛生当局間における情報交換について」(2015年9月修正)があり、「人の感染症」について「確認した場合は、可能な限り早期に通報する」ことになっている。

米軍は政府間の取り決めよりも米国防総省の通達を優先させていると考えるほかない。とはいえ、ある程度の情報を沖縄県側に伝えているのをみると、新型コロナの重大性との間で揺れているのだろう。


■米軍がホテルを借り上げた理由

基地内の感染爆発を受けて、米軍は北谷町の外資系ホテルを1棟借り上げ、海外からの人事異動者の隔離施設として利用を始めた。収容人数や使用期間は分かっていないが、同ホテルのホームページには、客室160室とあり、2つの屋外プールを備えている。

琉球新報によると、北谷町の野国昌春町長は「人事異動期間を延ばして人数を分散するなど、異動者を基地内で隔離できる方法を考えてほしい」と苦情を述べた。町は外務省沖縄事務所のほか、在沖縄米国総領事館などに対して抗議文を郵送したという。

町長の怒りはもっともだ。基地の中ではどのように感染が広がっているのか皆目わからないのに、今度はフェエンスを越えて町内の施設を使って米兵を隔離するというのだ。

基地内で十分な感染症対策が取られていれば、クラスターの発生など起きるはずがない。実効性が疑わしいにもかかわらず、そうした対応を基地の外に広げる米軍の判断を、住民の命を守る立場の町長が受け入れられるはずがない。

米軍はホテルを借り上げた理由を「基地内の施設では収容しきれないため」としている。すると、次には感染者が増え、基地内の医療施設で収容しきれなくなった場合、基地外の病院の利用を可能性が出てくる。


■コロナ禍まで沖縄に押しつけるのか

沖縄県は米軍関係者から住民に感染が広がるおそれがあるとして、中部地域のPCR検査体制を強化するほか、感染した軽症者や無症状者の療養施設を確保する準備を始めた。また沖縄県議会は10日、感染防止対策の徹底と米軍に情報開示を求める意見書と決議を満場一致で採択した。

沖縄で起きている米軍の問題は、もはや沖縄県に任せるレベルを越えている。日米両政府が前面に出るべき局面を迎えたといえる。現にクラーディー四軍調整官も「米国から沖縄への移動禁止は私の権限では答えられない」と述べているではないか。

日米両政府で提供し合うべきなのは情報だけにとどまらない。米軍の異動を一時的に停止させ、基地内で発生したクラスターを日米双方の協力によって解消する必要があるのは言うまでもない。

基地を沖縄に押しつける日本政府が、米軍基地のコロナ禍まで沖縄に押しつけていいはずがない。


【半田 滋】1955年(昭和30)年生まれ。防衛ジャーナリスト。元東京新聞論説兼編集委員。獨協大学非常勤講師。法政大学兼任講師。防衛省・自衛隊、在日米軍について多くの論考を発表している。2007年、東京新聞・中日新聞連載の「新防人考」で第13回平和・協同ジャーナリスト基金賞(大賞)を受賞。著書に、「零戦パイロットからの遺言-原田要が空から見た戦争」(講談社)、「日本は戦争をするのか-集団的自衛権と自衛隊」(岩波新書)、「僕たちの国の自衛隊に21の質問」(講談社)などがある。


【出典】2020年7月13日配信「現代ビジネス」


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沖縄の在日米軍基地で新型コロナのクラスター発生(1)

2020年07月14日 | 国際・政治
昨日の当ブログで、沖縄県の在日米軍基地の「普天間基地」と「キャンプ・ハンセン」において、新型コロナウイルスの感染者が61人確認されたことを紹介しました(その後、63人との報道あり)。
そこで、2020年7月10日配信と13日配信の「現代ビジネス」から元東京新聞論説兼編集委員で防衛ジャーナリストの半田 滋氏の記事を2日に渡って連続して転載させていただき、紹介することにします。(サイト管理者)


※はじめに【2020年7月10日配信「現代ビジネス」】から
 以下、転載はじめ↓


<日本政府がコロナ感染の把握も対策もできない「米軍基地という聖域」>
――クラスター可能性アリでも詳細は不明…――



半田 滋(防衛ジャーナリスト)


■沖縄で69日ぶりのコロナ感染

沖縄県で7月8日、新型コロナウイルスの感染者が69日ぶりに確認された。感染したのは男女2人で、40代の男性は福岡県、50代の女性は鹿児島県にそれぞれ滞在歴があり、県外で感染したとみられる。

一方、9日までに米海兵隊普天間基地(宜野湾市)で働く軍属ら6人が新型コロナに感染していたことが判明した。全員が基地内の同じ職場で働いており、クラスターが発生した可能性が高い。感染経路は不明で、海兵隊は感染した6人が基地の内外で地元住民と接触したかどうか明らかにしていない。同日、キャンプ・ハンセン(金武町)でも数人の感染が判明した。

沖縄には在日米軍専用施設の7割が集中する。しかも米軍基地は、日本政府にとって不可侵の「聖域」だ。米国では感染者が300万人を越え、世界の感染者の4分の1余りを占める。どんなに沖縄県が感染防止に努めても「米軍」というもうひとつの感染源を抱えることになりかねない。

沖縄の米軍関係では、空軍の嘉手納基地で3月、米兵2人と米兵の家族1人が感染した。海兵隊では7月1日、キャンプ・マクトリアス(うるま市)のに駐留する隊員の家族1人がPCR検査で陽性となった。


■何もかも非公表

今回、普天間基地で判明した感染者について、海兵隊は7日に「複数人」とのみ発表し、感染源は「調査中」とした。感染の確認後、海兵隊は日本人を含む従業員らに基地内にとどまるよう指示。待機は午後3時ごろから始まり、同7時ごろまで続いた。

夜になると、米兵が運転するYナンバーの車が基地から出てきて、マスクをしないまま基地の外へ歩いていく米兵の姿もあったという。

一夜明けた8日午前、沖縄県の問い合わせに米側は「5人」と伝え、ようやく感染者の人数が判明した。米側は「陽性確認者とその濃厚接触者は隔離措置に置かれている」としているが、5人の中に軍属が含まれるものの、米兵やその家族がいるのか、また国籍、性別、年代など、基本的な情報は何も明らかにしていない。行動履歴も、基地内の居住者かも非公表だ。

米軍は9日になって、同じ職場で働く1人の感染を発表した。またキャンプ・ハンセンで「数人」の感染を発表、同じ組織や別の組織で働く人たちという。

もともと沖縄の米兵は3分の1が基地の外に居住している。基地の中では日本人従業員と接触し、基地の外では住民と接触する可能性がある。

米軍は世界規模での人事異動の季節を迎え、沖縄の米軍基地も米兵や軍属の出入りが激しくなっている。

在日米海兵隊は7月6日、自らのフェイスブック上で「キャンプ・フォスター(沖縄県北谷町)の隊員食堂では毎日食堂で出す800~900食の食事以外にも300食の弁当を作って、隔離された隊員に配っています」と伝えており、この基地だけで300人程度の米兵や軍属が新たにやってきて行動制限下(隔離措置)にあることを示している。


■米軍なりの「事情」

東京の在日米軍司令部が6月12日、健康保護についての警戒レベルをC(重大)からB(中程度)引き下げたことにより、米兵の外出が緩和され、制限付きながら飲食店の利用などが可能になった。

今回、8日までに普天間基地での感染が判明した軍属ら5人は、国外移動に伴う14日間の隔離措置が終わった後で、自由に外出できる状態だった。外出して感染したのか、それとも隔離が不十分だったかはわかっていない。

沖縄タイムスによると、玉城デニー知事は8日の記者会見で「ローテーションや転勤などで沖縄の外から入ってくる米軍関係者の数などの状況について、一切情報がないということは大きな問題だ」と述べた。

当然だろう。どれほど厳格な感染症対策をとったしても、米軍というブラック・ホールに飲み込まれてしまえば、すべての努力は水泡に期す。

ただ、米軍には米軍なりの「事情」がある。米軍の元締めにあたる米国防総省は3月30日、「新型コロナ・データの公表基準」を発出し、「運用上の安全への懸念から、(感染者の所属する)個別の部隊、基地、司令部での集計は公表しない」との方針を示した。

感染者が増えた基地名や部隊名が明らかになることにより、米軍の戦力ダウンを察知されるのを回避する措置だ。各国が協力して取り組んだとしても、打ち勝つことが困難な新型コロナに対し、米軍は自己都合を優先したと考えるほかない。


■残念な日本政府の弱腰

だが、感染症をめぐる米軍からの情報提供は、従前より政府レベルの取り決めがある。

日米両政府は2013年1月の日米合同委員会で「在日米軍と日本国の衛生当局間における情報交換について」(2015年9月修正)を取り交わし、「人の感染症」について67の疾病を挙げ、「確認した場合は、可能な限り早期に通報する」ことで合意した。

疾病の中には「指定感染症」「新感染症」があり、新型コロナはこれらに該当しそうなものだが……。

今回、感染が判明した軍属らについて、米軍からの沖縄県への情報が小出しとなったうえ、不完全なのは、この取り決めと矛盾する。もはや沖縄県だけに任せることなく、日本政府が前面に出るべき時期を迎えているのではないだろうか。

だが、残念ながら、その日本政府が何とも弱腰なのだ。

日米双方にとって共通の問題である感染症対策についてさえ、あらためて米軍との間で協力を取り決める必要があったのは、一方的に米側に強い権限が与えられているからだ。日米安全保障条約にもとづき、日本側には米軍に対する基地提供義務があり、米軍は日米地位協定にもとづいて様々な特権が付与されている。

米軍は、日本政府に対してはもちろん、基地が所在する自治体にも基地内部の情報を明らかにする義務はない。日本が「占領国状態」と呼ばれる所以である。

日米地位協定第9条2項には「合衆国軍隊の構成員は、旅券及び査証に関する日本国の法令の適用から除外される」とあり、米兵は入国に関わる一切の手続きを免除されている。当然ながら検疫もなく、感染症を患った米兵を日本側がチェックする術はない。


■日本の法律が適用されない「聖域」

不公平は、まだある。日本の法律が適用されないのだ。日本政府が改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づき、再び緊急事態宣言を発令したとしても米兵とその家族、軍属は従う必要がない。

つまり、こういうことだ。

日本政府は、米軍基地の米兵がいつ、どこから何人来て、どのような生活を送っているのか、わからず、基地の米兵やその家族、軍属は日本の法令に従う必要もない。まさに基地は「聖域」なのである。

だが、新型コロナが特別なのは、米軍も熟知しているはずである。米国では感染者が300万人を越え、死者も13万人に達した。在日米軍司令部は6月30日、米軍独自の非常事態宣言の継続を決めており、警戒レベルを緩和しつつも、油断していないことがわかる。

普天間基地でクラスターが発生しているのか否か、またキャンプ・ハンセンの感染状況はどうなっているのか、この際、沖縄県の保健所と米軍の衛生当局が連携する必要があるのではないだろうか。感染者の行動履歴をたどって情報を共有するのは、それほど難しくないはずだ。

好むと好まざるとにかかわらず、沖縄は日米双方の生活圏となっている。日本の衛生当局が基地に立ち入ることができない以上、米軍は日本側に適時適切な情報を提供する道義的な責任がある。

感染症は基地のフェンスに遮られることなく拡散する。新型コロナ対策を最優先させるのに、わずかなためらいも不要のはずである。


【半田 滋】1955年(昭和30)年生まれ。防衛ジャーナリスト。元東京新聞論説兼編集委員。獨協大学非常勤講師。法政大学兼任講師。防衛省・自衛隊、在日米軍について多くの論考を発表している。2007年、東京新聞・中日新聞連載の「新防人考」で第13回平和・協同ジャーナリスト基金賞(大賞)を受賞。著書に、「零戦パイロットからの遺言-原田要が空から見た戦争」(講談社)、「日本は戦争をするのか-集団的自衛権と自衛隊」(岩波新書)、「僕たちの国の自衛隊に21の質問」(講談社)などがある。


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沖縄在日米軍基地で米軍関係者61人感染――2つの基地をロックダウン

2020年07月13日 | 国際・政治
沖縄県の在日米軍基地の「普天間基地」と「キャンプ・ハンセン」で、新型コロナウイルスの感染者が61人確認されたことがわかりました。

沖縄県によると、県の要請を受け、アメリカ軍が報告したことでは、普天間基地で38人、キャンプ・ハンセンで23人ということです。

沖縄県の玉城デニー知事は「県民が一丸となり感染防止に取り組む中、米軍関係者の感染が短期間で多数発生していることは、極めて遺憾であります」と談話を発表。

玉城知事と電話で会談した在沖縄米軍トップのクラーディ沖縄地域調整官は、2つの基地についてロックダウンを行っていると伝えたといいます。

政府は米軍関係者の感染状況について、これまで米軍が対策を講じているとして問題視してきませんでした。「日米地位協定」により米軍関係者は日本の国内法ではなく米側の検疫手続きが義務付けられている上に、日本政府が基地内の部隊の移動や人員の異動について多くを把握していません。基地内のことに日本側を関わらせないと言うのなら、米軍で対応をはっきりして欲しいものです。


【出典】2020年7月12日配信「FNNプライムオンライン」、「琉球新報」


※以下、8日配信「沖縄タイムス」からコロナ感染が疑われた時点での記事ですが、緊迫した内容を転載させていただき、紹介します。(サイト管理者)


<“普天間閉鎖” 異常を告げるアラート コロナ感染「県内の可能性」>

(7月)7日に新型コロナウイルス感染者が複数確認された沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場。異常を知らせる警報が鳴った職場で、情報がないまま基地従業員らは待機を強いられた。「基地の外にもウイルスが広がるのでは」と同市内の住民も不安がる。専門家は不明とされている感染源の特定を日米で急ぐべきだと指摘した。

全駐労によると、基地内で7日午後3時前、訓練時や不審者の侵入時に鳴るアラートが発令された。基地外にいる従業員は「基地のゲートを閉める。基地内の職場に戻るように」と指示を受け、職場での待機指示が同日午後6時半ごろまで続いた。コロナとの関連は不明のままだという。

全駐労沖縄地区本部の與那覇栄蔵委員長は沖縄防衛局に事実確認したが情報がなかったという。

米軍普天間飛行場内の感染者が今回、どういう形で基地内に隔離され、結果として周囲への感染リスクがどの程度抑えられているのかについても、きちんと確認する必要があるとみる。「防衛局は本来であれば米側からしっかり情報を取り、組合に提供してほしい。従業員への感染脅威を調べた上で、対応を考えていきたい」とコメントした。


■感染源の特定を
――県立中部病院・高山義浩医師の話――

問題は米軍が現時点で「感染源不明」としていることだ。米国からのウイルス持ち込みでないとすれば、感染源が基地内にいることになる。複数人が同時発症しているということは、1週間前くらいに何らかの出来事があったのだろう。

確認された感染者は(米国からの渡航による)行動制限下になかった。ということは、感染の発生は基地の外であれ中であれ、沖縄である可能性が高い。必要なことは感染源を同定することだ。それができれば、どれだけ感染が広がっているかを明らかにすることができる。

米軍の公衆衛生当局と沖縄の保健所が連携し、徹底的に感染者の行動履歴をたどり、クラスターを洗い出すこと。沖縄において互いに生活圏を共有しているという理解のもと、リアルタイムの情報共有を進めるべきだ。感染症にフェンスはない。こだわっていては封じ込められない。(談、感染症内科)


【出典】2020年7月8日配信「沖縄タイムス」


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今やることか、F35購入約2.5兆円

2020年07月11日 | 国際・政治
コロナ禍で多くの企業や商店の売上が減少し、倒産や廃業を余儀なくされ、多くの国民が自粛に疲れ、日常生活で困窮、医療従事者は感染リスクに負けずにボーナスカットでも奮闘しているというのに……また、九州などでは局地的豪雨で甚大な被害を被っているというのに、この期に及んで「不要不急」な高額兵器爆買いを今やることか?
欠陥も指摘されているF35の調達に使う約2.5兆円は、コロナ禍によって経営が立ち行かなくなった中小企業や商店にために使うべきです。また大企業の経済優先により招いた地球温暖化が原因の自然災害で被害を被った国民の生活復旧のために使うべきです。
そこで2020年7月10日配信「JIJI.COM」から記事を転載させていただき、紹介することにします。(サイト管理者)

※以下、転載はじめ↓

<米、日本へのF35売却承認 105機、総額2兆4800億円>

米国務省は(7月)9日、最新鋭ステルス戦闘機F35計105機と関連機器の日本への売却を承認し、議会に通知した。

売却総額は推定約231億ドル(約2兆4800億円)。金額ベースでは、2010年にF15戦闘機84機やミサイルなど総額294億ドル(約3兆1500億円)のサウジアラビアへの売却を承認したのに次ぎ、過去2番目の規模となる。

売却されるのは、空軍仕様のF35A63機、短距離離陸・垂直着陸能力を持つ海兵隊仕様のF35B42機など。日本政府は18年12月の閣議で、中期防衛力整備計画(中期防)に沿い、旧型のF15戦闘機を置き換えるために、F35を105機追加調達し、計147機体制にする方針を了解していた。 


【出典】2020年7月10日配信「JIJI.COM」


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ネット署名はこちら=> http://hibakusha-appeal.net
(「ヒバクシャ国際署名」推進連絡会)
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