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国連特別報告者ケナタッチ氏、日本政府の「抗議文」に反論

2017年05月27日 | 国際・政治

日本政府の「抗議文」に対して、ケナタッチ氏の「反論」を2017年5月23日付け「東京新聞」 朝刊」から転載させていただき、紹介します。(サイト管理者)


※以下、転載はじめ↓


<「共謀罪」書簡の国連特別報告者 日本政府の抗議に反論>


安倍晋三首相宛ての公開書簡で、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案に懸念を表明した国連のプライバシー権に関する特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏は二十二日、菅義偉(すがよしひで)官房長官が同日の記者会見で抗議したと明らかにした日本政府の対応を「中身のないただの怒り」と批判し、プライバシーが侵害される恐れに配慮した措置を整える必要性をあらためて強調した。電子メールで本紙の取材に答えた。


ケナタッチ氏によると、「強い抗議」は十九日午後、国連人権高等弁務官事務所を訪れた在ジュネーブ日本政府代表部の職員が申し入れ、その後、約一ページ余りの文書を受け取った。しかし、内容は本質的な反論になっておらず「プライバシーや他の欠陥など、私が多々挙げた懸念に一つも言及がなかった」と指摘した。

抗議文で日本側が、国際組織犯罪防止条約の締結に法案が必要だと述べた点について、ケナタッチ氏は「プライバシーを守る適当な措置を取らないまま、法案を通過させる説明にはならない」と強く批判。法学者であるケナタッチ氏自身、日本のプライバシー権の性質や歴史について三十年にわたって研究を続けてきたとし、「日本政府はいったん立ち止まって熟考し、必要な保護措置を導入することで、世界に名だたる民主主義国家として行動する時だ」と訴えた。

ケナタッチ氏は日本政府に引き続き、法案の公式な英訳文とともに説明を求めている。菅官房長官は二十二日、ケナタッチ氏の書簡に「不適切だ」と反論していた。


犯罪の合意を処罰する「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案を巡り、衆院議院運営委員会は二十二日の理事会で、衆院本会議を二十三日に開くことを佐藤勉委員長(自民党)の職権で決めた。与党は「共謀罪」法案を採決し、衆院を通過させる方針。二十四日の参院での審議入りを目指している。

与党が理事会で「共謀罪」法案の採決を提案したのに対し、民進、共産両党は、与党が衆院法務委員会で法案の採決を強行したことに反発して拒否。双方が折り合わず、佐藤氏が本会議開催を決めた。「共謀罪」法案を採決するかどうかは与野党の協議に委ねた。

法案を巡っては、安倍晋三首相(自民党総裁)が二十二日の党役員会で「今国会での確実な成立を目指す」と強調。高村正彦副総裁も「二十三日に間違いなく衆院通過させる」と話した。民進党の野田佳彦幹事長は記者会見で「審議は不十分だし、この間のやり方は極めて遺憾だ」と与党の国会運営を批判した。

与党は法案の成立を確実にするため、来月十八日までの今国会の会期延長も検討している。  


<国連特別報告者> 国連人権理事会から任命され、特定の国やテーマ別に人権侵害の状況を調査したり、監視したりする。子どもの人身売買や、表現の自由に関する人権状況などの報告者がいる。政府や組織などから独立した専門家で、調査結果は理事会に報告する。


【出典】2017年5月23日付け「東京新聞」 朝刊


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次に、ケナタッチ氏自身の「反論」そのものを2017年5月23日配信「OurPlanet-TV」から転載させていただき、紹介します。(サイト管理者)


※以下、転載はじめ↓


<日本政府の見解に対するケナタッチ氏のコメント>
 
私の書簡は、特に日本政府が、提案された諸施策を十分に検討することができるように十分な期間の公的議論を減ることなく、法案を早急に成立させることを愚かにも決定したという状況のおいては、完全に適切なものです。
 
私が日本政府から受け取った「強い抗議」は、ただ怒りの言葉が並べられているだけで、全く中身のあるものではありませんでした。その抗議は、私の書簡の実質的内容について、一つの点においても反論するものではありませんでした。この抗議は、プライバシー権に関する私が指摘した多くの懸念またはその他の法案の欠陥について、ただの一つも向き合ったものではありません。
 
私はその抗議を受けて、5月19日(金)の朝、次のような要望を提出しました。
 
「もし日本政府が、法案の公式英語訳を提供し、当該法案のどこに、あるいは既存の他の法律又は付随する措置のどの部分に、新しい法律が、私の書簡で示唆しているものと同等のプライバシー権の保護措置と救済を含んでいるかを示すことを望むのであれば、私は、私の書簡の内容について不正確であると証明された部分について、公開の場で喜んで撤回致します。」
 
日本政府は、これまでの間、実質的な反論や訂正を含むものを何一つ送付して来ることが出来ませんでした。いずれかの事実について訂正を余儀なくされるまで、私は、安倍晋三内閣総理大臣に向けて書いた書簡における、すべての単語、ピリオド、コンマに至るまで維持し続けます。日本政府がこのような手段で行動し、これだけ拙速に深刻な欠陥のある法律を押し通すことを正当化することは絶対に出来ません。
 
日本政府は、その抗議において、2020年の東京オリンピックに向けて国連越境組織犯罪防止条約を批准するためにこの法律が必要だという、政府が多用している主張を繰り返しました。
 
しかし、このことは、プライパジシーの権利に対する十分な保護措置のない法律を成立させようとすることを何ら正当化するものではありません。日本が国連条約を批准することを可能にし、同時に、日本がプライバシー権及び他の基本的人権の保護分野でリーダーとなることを可能にする法案(それらの保護措置が欠如していることが明らかな法案でなく)を寄贈することは確実に可能でした。
 
私は日本及び文化に対して深い愛着を持っています。更に、私は日本におけるプライバシー権の性質および歴史についてこれまで調査してきており、30年以上にわたるプライバシー権とデータ保護に関する法律の発展を追跡してきたものです。私は、日本が高い基準を確立し、この地域における他の国々及び国際社会全体にとって良い前例を示していただけるものと期待しております。ですので、私が先の書簡を書かなければならなかったことは、私にとって大きなる悲しみであり、不本意なことでした。
 
現在の段階において、日本政府が私の書簡で触れたプライバシーの権利に着目した保護措置と救済の制度に注意を払い、法案の中に導入することを望むばかりです。私は書簡にて述べましたとおり、私は日本政府が私の支援の申し出を受け入れて下さるのであれば、日本政府が更に思慮深い地位への到達できるように喜んでお手伝いさせて頂きます。今こそ日本政府は、立ち止まって内省を深め、より良い方法で物事を為すことができることに気づくべき時なのです。私が書簡にてアウトラインをお示しした全ての保護措置を導入するために、必要な時間をかけて、世界基準の民主主義国家としての道に歩を進めるべき時です。日本がこの道へと進む時、私は全力を尽くして支援することと致しましょう。(訳 小川竜太郎弁護士) 


【出典】2017年5月23日配信「OurPlanet-TV」


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