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コロナ禍のもとで国民の意識の変化を利用した改憲のあやうさ

2021年05月12日 | 国際・政治
菅政権のコロナ対応への不満から、菅内閣支持率は不支持率を下回って、発足以来最低になっている調査結果もありますが、自民党支持率はそれほど下がっていません。菅政権はコロナ禍に乗じて「緊急事態条項」を憲法に盛り込むと「改憲論」を展開。自公与党が立憲の修正案に応じたことから「改憲手続法」(国民投票法)改定案は成立される状況です。こうした動きの背景に、朝日、毎日といった比較的政権に一定距離を置いた立場の新聞社の“護憲派”読者の多いと言われる世論調査でも「改憲」について「必要」が「不必要」を上回る状況が見られることから「憲法改正の必要性が緊急事態宣言下の“矛盾”で醸成か」との見方が出ています。
このような状況は極めて危険で「コロナ禍のもとで国民の意識の変化を利用した改憲のあやうさ」という観点で警鐘を鳴らしたいと思います。
一連の動向を2021年5月9日配信「yomiDr.」、10日配信「TBS NEWS」、「JIJI.COM」、9日配信「ニッポン放送NEWS ONLINE」から記事を転載させていただき、紹介することにします。(サイト管理者)


※以下、転載はじめ↓


<政府のコロナ対応「評価」最低23%、内閣支持43%・不支持46%…読売世論調査>

読売新聞社が(5月)7~9日に実施した全国世論調査で、新型コロナウイルスを巡る政府の対応を「評価する」との回答は23%(前回4月2~4日調査35%)に下がり、同様の質問をした昨年2月以降で最低だった。「評価しない」は68%(同59%)で、最も高かった。

菅内閣の支持率は43%で、前回の47%から4ポイント低下。不支持率は46%(前回40%)で、2月以来3か月ぶりに不支持が支持を上回った。

東京都や大阪府など4都府県の緊急事態宣言について、政府が愛知県と福岡県を追加し、期間を今月末までとしたことについては、この期間が「短すぎる」43%、「適切だ」39%、「長すぎる」8%だった。

政党支持率は、自民党37%(前回39%)、立憲民主党7%(同5%)などの順で、無党派層は44%(同43%)だった。


【出典】2021年5月9日配信「yomiDr.」


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<JNN世論調査、内閣支持率が40%と菅政権発足後最低に>

菅内閣の支持率が、政権発足後最低の40.0%となったことが最新のJNNの世論調査でわかりました。

菅内閣を支持できるという人は、先月の調査結果より4.4ポイント下落し40.0%と、政権発足後最低を記録しました。支持できないという人は4.3ポイント増え57.0%でした。

新型コロナウイルスの感染防止に向けた政府のこれまでの取り組みについて聞いたところ、「評価する」は27%と、こちらも政権発足後最低となりました。「評価しない」は63%でした。

政府は緊急事態宣言を今月31日まで延長し、新たに福岡・愛知を対象地域に加えました。この決定について「評価する」と答えたのは72%、「評価しない」は21%でした。

宣言延長などで「自粛」生活が長引く中、どの程度疲れを感じているか尋ねたところ、「とても感じる」「ある程度感じる」を合わせると68%に達しました。先月よりも7ポイント増加しています。

ワクチンについてたずねたところ、感染拡大防止策として「期待する」人は83%に達しました。一方で、政府が7月末までに高齢者への接種を終えたいとしていることについて、「できると思う」は20%にとどまり、「できるとは思わない」が73%に達しました。

今年夏に予定される東京オリンピック・パラリンピックについてどうすべきか聞きました。「開催すべきだ」と答えた人のうち、最も多かったのは「無観客」の20%で、「中止すべきだ」は37%でした。

憲法改正の是非について聞いたところ、「改正すべき」は51%と、「改正すべきでない」の32%を上回りました。一方で、憲法改正の手続きを定めた国民投票法の改正案をこの国会で「成立させるべきだ」は39%で、「成立させる必要はない」の41%と拮抗しています。




【出典】2021年5月10日配信「TBS NEWS」


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<自民、コロナ禍てこに改憲論 「緊急事態創設」、立憲は反発>

自民党と野党の一部から、憲法改正で緊急事態に備えるべきだとの主張がここへきて相次いでいる。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、秋までに行われる衆院選へ危機管理や改憲に取り組む姿勢をアピールするためだ。政府・自民党にはなかなか効果が出ない感染対策へのもどかしさもあるようだ。一方、立憲民主党などは反発している。


「医療逼迫(ひっぱく)が起きたらコロナ専用病院をつくる必要があるが、今のスキーム(仕組み)では不可能だ」。自民党の下村博文政調会長は3日、東京都内で開かれた改憲派の集会でこう指摘し、緊急事態条項創設を訴えた。
 日本維新の会の足立康史氏も同じ集会で、複数の知事が法的根拠のない独自の緊急事態宣言を出したことに触れ、現状のままでは「権利や自由の制限がなし崩し的に恒常化される」と主張。国民民主党の山尾志桜里氏は6日の衆院憲法審査会で「事前にルールを定めるべきだ」と述べた。
 
改憲論議の前提となってきた国民投票法改正案は、11日に衆院を通過し今国会で成立する見通し。国民の間で改憲機運が醸成されていない中、「緊急事態」を起爆剤に議論を本格化させる思惑がありそうだ。
 
菅義偉首相も7日の記者会見で、「緊急事態への国民の関心が高まっている」との見方を示し、私権制限に言及した。
 
コロナ禍で欧米ではロックダウン(都市封鎖)など厳しい私権制限を伴う措置が取られた。一方、コロナ対応の特別措置法に基づく日本の緊急事態宣言で不要不急の外出自粛要請は、あくまで「お願いベース」(自民党幹部)で強制力はない。
 
これに対し、立憲の枝野幸男代表は3日の護憲派集会で「必要な対策を打てないのは政府の政治判断(が原因)だ。憲法に押し付けるのは許されない」と批判。共産党の志位和夫委員長も「医療崩壊は菅政権による人災」と断じ、「改憲をどさくさ紛れで行うのは火事場泥棒だ」と語気を強めた。
 
与党内にも慎重論がくすぶる。自民党中堅は「政権が有効な手を打っていないだけ。憲法の議論にすり替えたら国が危ない方向に行く」と懸念する。公明党幹部は「緊急事態条項とコロナ対応は別の話だ。急ぐ流れにはならない」と語った。


【出典】2021年5月10日配信「JIJI.COM」


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<“護憲派”新聞の世論調査でも「賛成」が上回る~憲法改正の必要性が緊急事態宣言下の“矛盾”で醸成か>

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月3日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。憲法改正について解説した。

新聞各紙世論調査での賛否 朝日は拮抗、毎日は賛成が大きく上回る
飯田)5月3日は祝日、憲法記念日ということで、各紙で世論調査などが載っていますが、(憲法改正の)賛成が反対を上回る調査がかなり増えて来ています。どういう論点に注目されていますか?

須田)特に驚いたのが、護憲派と言われている朝日、毎日の結果です。例えば朝日新聞では、


『いまの憲法を変える必要があるかを聞くと、「変える必要がある」45%(昨年調査は43%)、「変える必要はない」44%(同46%)だった』

~『朝日新聞デジタル』2021年5月3日配信記事 より


須田)……ということで、拮抗しています。しかし、驚くのは毎日新聞なのです。


『毎日新聞と社会調査研究センターが4月18日に実施した全国世論調査で、憲法改正について「賛成」が48%と「反対」の31%を上回った』

~『毎日新聞』2021年5月3日配信記事 より


須田)……ということです。これまで毎日新聞が苦労して記事を書いていたのは何だったのか、という感じなのですが。しかし憲法改正というと、9条2項の問題について焦点が当たってしまうのだけれども、これについても変えた方がいいという比率は、やや上がって来ているのです。


緊急事態宣言下における私権の制限の矛盾

須田)もう1つは、緊急事態条項という、平時・有事の切り分けで言うと有事の場合に、どういう対応をしたらいいのか。特に私権制限の部分ですね。

飯田)私の権利。

須田)それについて、いまの日本の憲法には決めごとがないのですよ。きちんと設定がないことで、いろいろなところに歪みが出て来ている。どうしてかと言うと、新型コロナウイルスはまさに有事ですよね。日本国内だけではないでしょうけれども。そうすると、きちんと憲法で規定がないものですから、法律の部分があやふやで、わけがわからない状況になっています。

具体的に言えば、法律で営業時間について変更することはできるため、それに基づいて営業時間の短縮要請をする。いまは法に基づいてそれを出していますよね。ところが不思議なことが起こっていて、酒類、アルコールの提供については法律上の規定がないのですよ。それよりも下位の条文によって、酒類の提供を禁止することができるという形になっているのです。ところが、バーやクラブといった、もっぱらお酒の提供をしているところに、酒類の提供を禁止するということになると、営業禁止ではないですか。

飯田)事実上はそうなりますよね。

須田)とんでもない私権の制限になるわけです。

飯田)営業の自由も本当は認められているはずですものね。

須田)営業時間の短縮は法律上でできることですが、法律ですら営業を禁止することはできないのです。これをやると憲法上、私権制限との整合性は取れるのかということになってしまうから、法律の立て付け上、営業を禁止することはできない。それよりも下位の法令で、つまり所管省庁の大臣やお役所が、国会の審議を経ることなく出せる政省令の類で酒類の提供を禁止してしまうと、それはものすごい私権の制限になってしまう。憲法上その規定がないのに、やっていいのかと。こういうわけのわからない矛盾した状況が出て来るのです。

その辺り、こういった形できちんと論点整理ができて、理解が広がっているわけではありません。「いまの状況がおかしい」ときちんと理解されているわけではないけれども、何となく新型コロナに関連する緊急事態宣言下において、いろいろな矛盾を感じているのではないかと。だから、憲法改正の必要性を認識し始めているのではないかと思います。

飯田)空気によってエスカレートしているような。

須田)そうですね。


【出典】2021年5月9日配信「ニッポン放送NEWS ONLINE」


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<「空想的平和主義」の時代が終わったいま、憲法改正の“中身”の議論を~国民投票法改正案が衆議院憲法審査会で可決>

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月7日放送)に内閣官房参与で外交評論家の宮家邦彦が出演。国民投票法の改正案が衆議院憲法審査会で可決されたというニュースについて解説した。


■国民投票法の改正案が衆議院憲法審査会で可決~今国会で成立へ

憲法改正の手続きを定めた国民投票法の改正案は、衆議院憲法審査会で、立憲民主党が求めていた国民投票の広告規制などについて修正を行った上で、自民・公明両党や立憲民主党などの賛成多数で可決された。改正案は近く開かれる衆議院本会議で可決され、参議院に送られる運びで、平成30年に提出されて以来、約3年を経て成立する見込みとなっている。

飯田)ということで一応、衆院は通過します。

宮家)これは全然わからない。


■どのように改正するかではなく手続きについての議論になっている現状

飯田)憲法そのものではない。

宮家)変えるわけではないのだから。憲法にはきちんと改正の手続きが書いてあるので、憲法改正というのは、国民の権利であり、同時に義務でもあるわけです。もし状況が変われば当然、憲法も変わって行く。だからこそ、改正手続きがあるのです。となると、いまの議論というのは、どのように改正するかではなく、手続きでしょう。

飯田)そうですよね。中身をどう変えるかという話ではない。

宮家)その手続きのプロセスがないということは、我々の義務にせよ権利にせよ、憲法改正をすることがそもそもできないわけですよ。

飯田)システム上それができない。


■憲法が求めていることをやって来なかった~提出された3年前にやるべきであった

宮家)つまり国会が、憲法が求めていることをやっていないのですよ。憲法ができてから何十年もやらなかったわけです。誰もおかしいと思わない。ようやく3年かかって、野党が言って来たのを飲み込んだ。それは合意したいからやりますよね。であれば3年前にやればいいではないですか。なぜこんなことになるのか、私には理解できない。


■手続きの合意ができただけ~中身の議論をするべき

飯田)国民投票法の中身は、投票するという意味では、他の国政選挙とも同じなのだけれど、これだけシステムがいままで通りで、いまの公職選挙法と違うからそれを元に戻すというか、並べるだけの話ですよね。

宮家)入り口論でグズグズしている時代はとっくに終わっていると思うのです。憲法改正をしても「何が悪いのですか」と言う人もいるだろうし、「絶対に変えたくない」と言う人もいるかも知れませんが、手続きくらいは合意しましょうよと。やっとそれができあがったということで、一歩前進ではありますけれど、もっと中身の議論をしなければいけないと思うわけですよ。


■世論調査では「憲法改正をするべき」が多数~平場で議論を

飯田)憲法記念日に各社の世論調査が行われましたけれども、「憲法改正をするべきだ」という意見が「すべきでない」という意見を上回るという結果が出ています。

宮家)それは当然でしょうね。戦後、憲法ができてすぐのころや米ソ冷戦時代、いろいろな平和主義が盛んだった時代がありました。いまでも平和主義者はたくさんいるし、私もそのつもりですけれども、平和は軍事を否定することで保たれるものではないのです。場合によっては、軍事が必要である場合があると思うのです。警察官がなぜいるかと言えば、警察官は合法的に暴力を使っていいからです。変なことをする人は、場合によっては暴力を使うわけだから、それに対しては警察官が法に基づいて強制力を使う。それによって平和が保たれるのだけれど、国内でのそれには誰も文句を言いません。

飯田)そうですね。

宮家)しかし国外になると、突然そのロジックが消えるのです。「日本は戦力がない、軍隊を持ってはいけない、攻撃的な兵器を持ってはいけない」と。それは違うだろうと思います。問題は使い方です。我々がかつて使い方を失敗したのは事実かも知れないけれども、だからと言ってすべてを否定するのはおかしいと何十年も思って来ました。未だにこの議論が進まないというのは、どういうことなのかと思います。

飯田)議論はされ尽くしているところがあるとも思うし。

宮家)確信犯でやりたくない人たちがいるのです。もちろんその意見を尊重しますよ。だけど、そうでない人が増えているのであれば、きちんとした議論は平場でやりましょう、そして多数決で決めましょうとなるのではないかと思います。


■21世紀になり、激変した東アジアの安全保障環境~いままでのままではやれない

飯田)どう国を守るのかという話で、具体的な中身を議論して欲しいと。

宮家)日本は本当に恵まれていたと思います。特に1945年から20世紀の間くらい、いい意味でも悪い意味でも冷戦体制があって、その残滓があり、自分は武装しない、対外的に最小限の強制力しか持たない。だけれども、実は我々はビニールハウスのなかにいたわけです。21世紀になり、いままで慣れ親しんで来た「何もしなくてもうまく行った」時代が終わり、東アジアの国際的な安全保障環境が激変してしまった。そしてビニールハウスのビニールが飛んでしまったわけです。そうすると、冷たい風が入って来るのです。冷たい風が入って来たらどうするのか。いまのままではやれないのです。

飯田)風邪をひいてしまう。

宮家)これを言い出してから10年以上経っているけれど、まったく議論が進まないのは悲しいことですね。


■「空想的平和主義」の時代は終わった

飯田)歴史で見ると、米ソ冷戦の時代は、正面の部分はヨーロッパが最も大きかったと思えばいいのですか?

宮家)ただ我々にとっては、ロシアという巨大な存在と、中国というもっと巨大な存在があるのです。ヨーロッパ方面はロシアだけでいいのかも知れないけれど、当時の我々の安全保障環境は奇跡的に安定していたのです。

飯田)そこが湾岸戦争などで中東になり、いよいよ東アジアまで迫って来たのに、感覚がヨーロッパ正面の冷戦時代と変わらない。

宮家)私はそれを「空想的平和主義」と呼んでいるのですが、「もうその時代は終わったのではないですか」と言いたいですね。


【出典】2021年5月9日配信「ニッポン放送NEWS ONLINE」


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2021年1月22日、核兵器禁止条約が発効へ!
引き続き署名国・批准国を増やし、実効性ある条約に! 
♯日本政府は核兵器禁止条約に背をむけるな
♯米国など核保有国は核兵器禁止条約に参加、署名・批准を


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